術野を映さずに手術を描写するパターンが定着してきたドラマ『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2427.html" target="_blank" title="ブラックペアン">ブラックペアン</a>』第7話。
今日の私のツボは2カ所。いずれも今回のメインの手術ではないことを、最初にお断りしておきます。
1例目は、人工心肺回路の接続を間違えた医療ミスの回想シーン。
イラついた執刀医が、モタつく看護師から奪い取って大動脈への送血管に接続したのは、脱血用のチューブ。
そのまま体外循環を開始したものだから、致命的な循環動態になってしまいましたが、そんなことあり得ない。
まず、送血管と脱血管は、コネクタの太さがまったく違います。接続を間違えること自体が不可能です。
人工心肺回路は必要最小限の長さにしてあるので、脱血用チューブが送血管のところまで届くのも不可解。
送血管に接続してすぐに体外循環を開始するなど、まったくナンセンス。脱血管はどうしたの、って話です。
トラブルをリアルに描きたいのであれば、とことん正確に描写してほしいものです。
おまけに、執刀医が自分のミスを他人のせいにしたシーンを見て、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-37.html" target="_blank" title="女子医大の事件">女子医大の事件</a>を思い出してしまいました。
2例目は、術中に発症した心筋梗塞に対して、緊急冠動脈バイパス手術を行ったシーン。
主人公が、バイパスに使う「内胸動脈」を剥離しつつ、「お前サフェナ取れ」と助手に命じます。
「サフェナ」というのは、やはりバイパスに用いる下腿の「大伏在静脈(saphenous vein)」のことです。
私にも、「サフェナ取れ」と指導医に命じられた経験が何度もあるので、その言葉は妙に懐かしく響きました。
サフェナ取りは基本的な手術手技ですが、その出来具合は重要で、若手心臓外科医の腕の見せ所なんですよね。
このドラマ、毎度ツッコミどころ満載なのに見てしまうのは、そのような懐かしさゆえかもしれません。