本日午後、高熱でぐったりした成人が来院されました。
聴診しようと服をまくると、麻疹(はしか)かと思うような発疹が、びっしりと出ていました。
カタル症状に乏しく、熱型も典型的でなく、旅行歴もない方でした。普通に考えたら、麻疹ではありません。
しかしその強烈な発疹を見て麻疹を否定する自信がなかったので、すぐ基幹病院に行ってもらいました。
この方を自宅に帰した場合、もしも麻疹だったら熊本での麻疹流行の引き金になると考えたからです。
感染拡大を防ぐためには、「疑わしきは隔離」で臨むのが正しいはず。こういう場合は慎重第一です。
しばらくして、どうやら麻疹ではなさそうだという連絡を病院からいただき、ほっと胸をなでおろしました。
結果的に、麻疹じゃないのに麻疹を疑うという誤診ではありましたが、その逆の誤診よりはマシでしょう。
高熱患者に対する当院の通常の対処法に準じて、今日の患者さんも裏口から直接隔離室に入れました。
診察後には再び裏口から駐車場に出ていただきました。そのまま自家用車で病院に行ってもらいました。
先方の病院に着いたら駐車場の車内で待機して、病院医師の指示に従うように、念押ししておきました。
ところが、麻疹を疑う患者がいたので病院に行ってもらったと保健所に連絡したら、その返事がこうでした。
「患者さんを移動させたのは、まずかったですね」
麻疹の拡散を危惧する気持ちはわかりますが、こちらの言い分も聞かず、第一声が「まずい」とはどうなの。
まあ当院と同様に、熊本の保健所も麻疹流行は未経験。きっとピリピリしているのでしょう。