最新鋭の医療機器による手術の失敗を、主人公が驚異的な技術で挽回するドラマ『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2413.html" target="_blank" title="ブラックペアン">ブラックペアン</a>』第5話。
今日の前座は、両側肺動脈血栓除去術でした。
ファロー四徴症根治術後の癒着があるため、正中切開ではアプローチできない、さてどうする、というケース。
左開胸で臨んだところに驚きました。そっちの方がよっぽどリスキーじゃないの?
正中切開で慎重に剥離して、良い視野を出した方が安全に思えますが、まあケースバイケースでしょうかね。
さてメインは、7歳の女の子の心房中隔感染巣の除去術です。「感染巣」とは感染した組織という意味です。
心臓内の感染「感染性心内膜炎」は、そこに人工物が関与している場合、それを除去するしかありません。
人工弁置換術後や心内欠損閉鎖術後に感染性心内膜炎を来して、とても苦労した経験が私にもあります。
血行動態が許せば、まず強力な薬物治療によって感染の沈静化を図り、その後、感染巣除去術を行います。
ドラマでも、何かの薬物治療の後にロボット手術が行われましたが、その終盤に、お約束のトラブル発生です。
そこでようやく、主人公の活躍が始まりました。今日は主人公の執刀シーンはここだけ。
輸血のできないその子に対して、いつのまにか貯血していた自己血を使って対処したというところがミソ。
どうやら、ロボット手術の失敗を見越して、造血剤を注射しながら貯血して開胸手術に備えていたようです。
でも、感染性心内膜炎で、敗血症を示すプロカルシトニンが異常値の患者の自己血って、使えるんでしょうか。
その血を輸血したら、感染巣を切除・縫合した部分に、また心内膜炎が起きそうな気がしてなりません。
きっと術後にものすごく苦労したと思うのですが、そこを描くのは省いたのでしょうね、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2404.html" target="_blank" title="ドラマ的">ドラマ的</a>には。