旅行を振り返る

さきほど(って、いつ?)熊本に戻ってまいりました。3泊以上の旅行は、十数年ぶりでした。

旅行慣れしていないため、計画・準備段階から旅行当日まで、挑戦と驚愕と失敗と修復と感動の連続でした。

次の旅行のために、そして皆さまのために、今夜のうちに覚え書きを記載しておきます。

(1)早期計画

航空券とホテルの予約は、早いに越したことなし。思い立ったら仮押さえ。この点は今回、正解でした。

キャンセル料がかからないかごく低額のうちに、必要なら何度でも計画を修正すればいいですからね。

オプショナルツアーやその他の移動手段も含めて、今回はすべてネットで予約しました。便利です。

(2)準備万端

旅行をイメージしながら、早めに必要物品を揃える。バタバタすると、高い物か不要な物を買ってしまいます。

スーツケース以外のカバン類に、リュックサックを新規購入したのですが、あちこち歩き回るには大きすぎた。

むしろ小さなショルダーが必需品。ちょうど良いのが家にあったのに、不要と思って持って行きませんでした。

(3)油断大敵

降雨の可能性が少しあるのに、油断して傘をホテルに置いて外出したら、ひどいにわか雨に打たれました。

某空港の保安検査では靴を脱がされました。そういう時に限って、カチッとしたヒモ靴を履いてたんですよね。

(4)あわてない、あわてない

スーツケースのダイヤルロックが設定番号で解錠できなくなり、旅先で、工具でこじ開ける羽目になりました。

帰宅後、設定番号でもう一度試したら、解錠できました。ダイヤルが微妙にズレていただけだったのかも。

今回の旅行は、自分の性格通りの顛末でした。計画は極めて細かく、直前にバタバタして、本番でポカをやる。

出張とマイル

私にしては珍しい旅行中なので、今日も関連ネタでいきます。

旅客機に乗ることなど、つい最近までは2年に1回あるかないかだった私ですが、昨年末から急に増えてます。

この半年で9回。便数でいうと23便(乗り継ぎ5回含む)。離着陸数だと48回(緊急着陸含む)。

毎週上京しているような出張族の方から見れば、半年で9回など屁みたいなものでしょうけどね。

聞けば、年に100回近い出張をこなしている猛者(社畜?)もいるとか。

このようにたびたび航空機を利用すると、「マイル」が貯まり(溜まり?)ますね、自然と。

溜まってくると、ますます貯めたくなるのが心情ってもの。

私など微々たるものですが、出張族の方々はマイルがザクザクでしょう。

公用や社用の出張で得たマイルが、個人の懐に入るところがミソ。これはある意味、ご褒美ですね。

航空会社のマイレージ規約では、マイルは搭乗者個人に付与されるので、会社等に所有権はありません。

ある調査によると、一般企業のほとんどが、出張による社員のマイル獲得という「役得」を黙認しているとか。

たぶん、それらの会社の上層部の人間の多くが、マイルの恩恵を受けているからでしょう。

一方でお役所は、公務で発生したマイルを個人が私用で使うことを黙認したのでは、何かと問題がある。

そこでそのマイルを次の出張で使わせる「公用マイレージ制度」を導入しつつあります。

これで経費節減でき世間の批判もかわせますが、職員にはブーイングかも。こりゃ参る、たまらんね、なんて。

(追記)読者の方にご指導を頂き、オチを変えさせていただきました。

非日常でリフレッシュ

「お前は5連休もとって何しとるの?」と疑問を感じている方へ。リフレッシュに決まってるじゃないですか。

世の中の多くの方は土日が休みなので、週に1回しか、リフレッシュすることができません。

ところが私の場合、火曜と金曜が休診日なので、毎週2回も、リフレッシュを行うことができるのです。

と、これまでは強がってはきたのですが、連休が取れないのはなんとも不自由。まず、旅行ができません。

遠隔地で用事があるとき、たとえば学会などはすべて、火曜日か金曜日の日帰りです。

連休があるのは、年末年始かお盆か、大型連休中に臨時休診したときぐらいでした。

そこへ今回、祝日が1日もない6月に突入しようかという世間を尻目に、私は5連休に打って出たわけです。

当然、宿泊込みの旅行が可能となり、それならば少々遠くまで足を伸ばそうかと、いま某所に来ております。

見るもの、食べるもの、出会う人たち、町並みや道路や空や日差しや湿度、そして香り。すべてが非日常。

こういうのが、旅行の醍醐味なんですよね。現地に身を置かなければ、決して体感できない経験です。

まさか旅先に、やり残した仕事や宿題を持って行くようでは、リフレッシュになりませんからね。

などと偉そうに言いながら、こうしてブログを書いているわけですが、それも旅のうち。非日常の一環です。

ただしそれでも、旅日記みたいなことは書きたくない。

私のポリシーとして文章だけのブログを続けている関係上、旅行の写真を掲載することも控えます。

いま私がどこにいるのかも、あえて秘密にしておきましょう。私は今、非日常を堪能しているのです。

5連休に突入

今日から金曜日まで、当院は5連休です。地域の皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。

年末年始を除いて、4日以上連続で休診するのは、開院して11年目にして2度目のことです。

前回は、2014年の4/28(月)から5/2(金)までの5連休。大型連休中であり、途中に祝日を挟みました。

今回は、5/28(月)から6/1(金)までの5連休。途中に祝日なし。全部、平日。

この連休をモチベーションとして、今年の大型連休(4/28〜5/6)は全部、診療しました。

厳密に言えば、5/4の「みどりの日」は休診しましたが、これは5/4が金曜日だったからです。

当院では祝日診療を謳っていますが、火曜・金曜の休診の方が祝日診療よりも優先なのです。

ちなみに開院当初は火曜・金曜の休診よりも祝日診療を優先させていたので、とてもつらい週がありました。

このたびの大型連休では、土日祝日が全部で7日ありましたが、当院が休診したのは5/4(金)の1日だけです。

考え方としては、次の2点。

(1)日曜祝日はなるべく休まない(地域の他の医療機関の多くが休診しているので)

(2)臨時休診するなら平日(地域の他の医療機関の多くは診療をしているので)

はい、前振りはここまで(ていうか、すでに長い)。

「アラ還」の私や、ずっと休日診療を支えてくれているスタッフが、リフレッシュするための5連休なのです。

その理屈で言えば、今後年々休診日が増えるかもしれませんが、その点もあらかじめご容赦願います。

左房粘液腫

複雑な人間関係が明らかになってきて、逆に手術シーンがつまらなくなってきた『ブラックペアン』第6話。

今日の手術は、心臓の腫瘍「粘液腫」の切除と、その残存腫瘍の摘出と、そのまた合併症への対処手術でした。

一粒で3度の、美味しくない、でも臨床現場ではありがちな設定でした。

粘液腫の多くは、左心房にできる「左房粘液腫」で、組織としては良性なのですが、生命の危険があります。

なぜなら、左房の出口である僧帽弁にはまり込んだり、腫瘍の一部がちぎれて脳まで流れたりするからです。

術前検査で、大きな粘液腫が心臓の拍動と伴に動き回る映像を見るのは、実に心臓に悪いものです。

担当患者の巨大な粘液腫が、まるで鞠のように心臓の中を転げ回っている様子を目にしたこともあります。

体の向きで粘液腫の動き方が変わり、何かの拍子に僧帽弁にはまり込み、突然死することもあり得ます。

手術中に粘液腫を見ると、表面が少し房状になった、ぷるんぷるんの赤いゼリーのような外観です。

つるんっと取れればいいのですが、下手に触るとぐじゃっと砕けます。

砕けた腫瘍のほんのごく一部でも、あとで脳に流れて行けば極めて重大な脳梗塞を引き起こします。

ロボットで粘液腫を切除するのは、ホントに高度な技術が必要だろうと思いますが、現実に行われています。

ただそのような難手術が、このドラマではあまり詳細に描かれておらず、それほど難しそうに見えません。

監修の渡邊剛先生からすれば、簡単な手術だからでしょうか。

いつも思うのですが、手術描写の大半は、左房かどこかの切開部の縫合シーンという、どうでもいい部分です。

最後に「メッツェン」で縫合糸を切る瞬間をたいそう重々しく描いているのを見ると、何かガッカリします。

もっと、ホントに難しい手術手技の部分を、一度でもまともに描写してほしい。

機能強化加算の意味

診療報酬が改定されて2カ月近く経った今日になって、ようやく腑に落ちたことがあります。

それは、「かかりつけ医」の基準を満たした医療機関が算定する「機能強化加算」。

機能強化加算は、医者が「かかりつけ医」になることを推進するために設けられたインセンティブです。

ひとたび「かかりつけ医」となれば、その医療機関では、すべての患者の初診料に800円ほど上乗せできます。

しかしこれを患者側から見れば、「かかりつけ医」にかかると初診料が割増になってしまいます。

むしろ患者は「かかりつけ医」以外にかかった方が医療費が安くなるという、逆転を生み出しているのです。

なので私は前に、この機能強化加算を「かかりつけ医割増し」だと書きました。

しかしよく考えてみると、この加算は初診料にだけ算定できるという点が、実はミソなんですね。

つまり、日頃からその医療機関を受診しているような「再診」患者には、何も影響のない加算なのです。

たとえば、いま当院に定期的に来院している方は、当院を受診して割増料金を取られる心配はありません。

しかしその方が別の病院を受診したら、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2329.html" target="_blank" title="かかりつけ医割増し">かかりつけ医割増し</a>」が取られる可能性があるのです。

つまり「機能強化加算」とは、「かかりつけ医」以外を受診したらペナルティーを科すシステムなんですね。

そう考えると合点がいきます。意外と理にかなった仕組みかもしれません。

スーツケース

勤務医時代には、学会に行くときにはたいてい、ダレスバッグとガーメントバッグの2つを携行していました。

「ダレスバッグ」は、本来は「ドクターズバッグ」と呼ばれるもので、上部がパカッと開く手提げカバンです。

たいていは革製で、内部はポケットに乏しく、開けたら中が完全に丸見えになるという特徴があります。

書類を探し易いのは良いのですが、下着とか食べ物を入れていると学会の受付や空港などで恥をかきます。

私は昔から、ヌメ革の感触が好きで、茶色のダレスバッグばかりを3代ほど使いつぶしました。

「ガーメントバッグ」というのは、背広とズボンをハンガーに掛けたまま収納する、かまぼこ形のヤツですね。

下着類やお土産品なども収納できますが、あまり入れすぎると、手に提げたときすごく下ぶくれになります。

十数年前、海外の学会に参加するために、旅行グッズを買おうと街に出ました。

ある店の人に、旅行グッズを買うのはどこがいいかと尋ねたら、そのご高齢の女店主がこう言ったのです。

「ぼんぼ屋じゃろ」

ぼんぼり等を扱う店かと思いながらも、教えられた場所へ行くと、そこにあったのは「ボンボヤージュ」。

いや、ネタではなく、ホントにそう聞こえたのです、「ぼんぼ屋」と。

今日は十何年かぶりにその店に行き、スーツケースを買いました。

その店のサイトで見つけて一目惚れしたスーツケースでしたが、現物はさらに良かった。それにすごく軽い。

なにしろ昭和の時代のスーツケースなんて、ケース単体で制限重量の3割ぐらいありそうな勢いでしたから。

例に漏れず「TSAロック」です。ダイヤルロックはありますが、カギは付いていません(←コレ大事)。

数年前、「スーツケースのカギが無い!」と、旅行の出発当日になって大騒動したことを思い出します。

何でも早め早めに準備しておかないと、どうでもいいことで慌てますね。

当院ではしか騒ぎ?

本日午後、高熱でぐったりした成人が来院されました。

聴診しようと服をまくると、麻疹(はしか)かと思うような発疹が、びっしりと出ていました。

カタル症状に乏しく、熱型も典型的でなく、旅行歴もない方でした。普通に考えたら、麻疹ではありません。

しかしその強烈な発疹を見て麻疹を否定する自信がなかったので、すぐ基幹病院に行ってもらいました。

この方を自宅に帰した場合、もしも麻疹だったら熊本での麻疹流行の引き金になると考えたからです。

感染拡大を防ぐためには、「疑わしきは隔離」で臨むのが正しいはず。こういう場合は慎重第一です。

しばらくして、どうやら麻疹ではなさそうだという連絡を病院からいただき、ほっと胸をなでおろしました。

結果的に、麻疹じゃないのに麻疹を疑うという誤診ではありましたが、その逆の誤診よりはマシでしょう。

高熱患者に対する当院の通常の対処法に準じて、今日の患者さんも裏口から直接隔離室に入れました。

診察後には再び裏口から駐車場に出ていただきました。そのまま自家用車で病院に行ってもらいました。

先方の病院に着いたら駐車場の車内で待機して、病院医師の指示に従うように、念押ししておきました。

ところが、麻疹を疑う患者がいたので病院に行ってもらったと保健所に連絡したら、その返事がこうでした。

「患者さんを移動させたのは、まずかったですね」

麻疹の拡散を危惧する気持ちはわかりますが、こちらの言い分も聞かず、第一声が「まずい」とはどうなの。

まあ当院と同様に、熊本の保健所も麻疹流行は未経験。きっとピリピリしているのでしょう。

悪い大人の見本

日大アメフト部の、危険なタックルを行った選手の昨日の記者会見は、聞いていて納得できるものでした。

彼の潔い態度に私は少しばかり感動し、一方でその対極にある監督・コーチの汚さに愕然としました。

その昨日の会見を受けて今夜、日大の監督とコーチが、緊急会見を開きました。

これはもしや、ついに監督の口から真実が語られるのか?、と期待したのはしかし、間違いでしたね。

「私からの指示ではございません。ですが(略)スタートからゴールまで私の責任だと思っています」

この相変わらずのずるい表現には、うんざりします。

「QBを潰してこい」という指示を、選手は「QBにケガをさせろ」という意味に受け取りました。

しかし監督やコーチは、そのような意図はなかった、選手が誤解したのだと釈明しています。

比喩的な表現を真に受けて、まさかルールを破るとは思わなかったと、監督はトボケます。

もちろん、真実は当事者にしかわかりません。私が監督を誤解しているのかもしれません。

しかし常識的に推測できる真実は、監督らが選手の誤解を誘導するような指示をしたということでしょう。

誤解や「忖度」を誘導して間接的に非道な指示を出す手法は、政治家の専売特許ではないようです。

誠実に証言をする者がいる一方で、見え見えのシラを切り通そうという者がいます。

最近の報道番組を見ていると、悪い大人の見本のオンパレードですね。

MRワクチン今のうち

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2407.html" target="_blank" title="麻疹(はしか)">麻疹(はしか)</a>の全国患者数は、昨日までに170人を超えました。お隣の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2416.html" target="_blank" title="福岡県">福岡県</a>でも17人出ています。

熊本ではまだ感染者は報告されていないようですが、予防のためにワクチンを接種する方が急増しています。

もちろん麻疹単独ワクチンはもう入手困難なので、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2401.html" target="_blank" title="MR(麻疹・風疹混合)ワクチン">MR(麻疹・風疹混合)ワクチン</a>で代用しています。

4月21日から5月20日までの30日間に、当院でMRワクチンを接種した方は79人でした。

このうち定期接種のお子さんは、1期4人、2期20人。任意接種は、0歳・5歳・7歳各1人、成人52人でした。

4月というのは、MRワクチンの第2期定期接種の対象になったばかりの年長児が、接種に訪れる月です。

幸か不幸か、対象期限に近い3月の駆け込み接種に比べると、例年4月の接種者はそう多くはありません。

しかしさすがに今年は、2期を早めに接種しようという方が多く、これ自体は悪い傾向ではありません。

問題は、全国的に接種が増えているMRワクチンの品不足です。

当院では、この事態の中での第1期定期接種対象者へのワクチンを確保すべく、早めに手を打ってきました。

しかし今のペースで毎日接種を続けると、6月初旬にはワクチンがいったんなくなるかもしれません。

薬品卸によれば、ワクチンの流通が改善するのは6月だといますが、6月のいつ?、そこがすごく大事。

ワクチンの在庫が減れば、第1期接種対象者を最優先させるために、成人の接種をお断りすることになります。

いま、いちばん恐れていることは、熊本での麻疹発生ですね。これはもうしかし、時間の問題かもしれません。

麻疹を疑う患者さんの診療も大変だろうし、予防接種も殺到することでしょう。

ワクチンの接種歴が2回未満の方は、まだ熊本で流行していない今のうちにぜひ、接種をお願いします。

ただ、福岡の麻疹患者のうち、ワクチン接種歴が2回ある20代が4人もいることが、ちょっと気になります。