『ブラックペアン』

TBSの日曜劇場『ブラックペアン』が、今日から始まりました。心臓外科モノなので、見るしかありません。

タイトルの「ブラックペアン」からまず想像したことは、天才外科医の繊細な「ペアンさばき」でした。

ちなみに「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-279.html" target="_blank" title="ペアン">ペアン</a>」というのは、何かを挟むときに使う手術器械で、大小様々な形のものがあります。

この手の医者モノのドラマ、とくに外科医モノは、『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1994.html" target="_blank" title="A LIFE">A LIFE</a>』以来、リアリティーの追求が進んでますね。

今日の手術シーンは、ブタの心臓を使っていると想像しますが、本物の術野によく似せた描写でした。

リアリティーを出すなら出血だと言わんばかりに、やたらに出血する場面も多かったですね。

たしかにトラブルを描くなら、出血はわかり易い。私も勤務医時代の緊迫した局面を思い出してしまいました。

ただし、細かいことを言わせていただければ、血液噴出に拍動がなく、まるでホースから出る水のようでした。

さて、ブラックペアンと聞いて最初に思い出したのは、私の恩師、徳永皓一先生(元九大心臓外科教授)です。

徳永先生は、手術中の重要な局面でしばしば、「ブラックだ、ブラックを出せ」と指示を出されました。

この場合の「ブラック」とは、「スーパーメッツェンバウム」という種類のハサミのことを指していました。

手術で使うハサミには多くの種類がありますが、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1987.html" target="_blank" title="メッツェンバウム">メッツェンバウム</a>」は、細長くて繊細な形のものです。

その中でも、組織が滑らずに切れるように刃に加工してあるものが、いわゆる「スーパーメッツェン」。

他のメッツェンと区別するために、持ち手の部分が黒く塗られています。だから通称「ブラック」なのです。

「ブラックペアン」と言うからには、よほど特別なペアンだろうと期待して、今日のドラマを見ていました。

しかし、裏切られました。なんなら、ズッコケたと言ってもいいでしょう。

教授が執刀を終えて、人工心肺のチューブを遮断する段になって、その特別な黒いペアンが登場したからです。

固いチューブを、その特別なペアンで挟むこたぁないでしょう。頑丈なチューブクランプを使えばいいのに。

せっかく面白いドラマなのですが、今後も毎回、ブラックペアンが登場するたびにズッコケそうです。