「黄疸が出たのですが」と、皮膚の色を心配して当院に来られる方のほぼ全員が、「柑皮症」です。
ミカンなど、カロテンを多く含む食物の摂り過ぎなどが原因で、手のひらなどが黄色になった状態です。
もちろんたまには本物の黄疸の方も来られます。たいていは胆道系の病気ですが、当院ではとても稀なこと。
逆に勤務医時代には多くの黄疸患者を診てきましたが、柑皮症患者の診療を行うことなどありませんでした。
黄疸の場合は眼球結膜(白目)が黄色になりますが、柑皮症では白いままです。両者は明確に区別できます。
「白目が黄色くないので黄疸ではないですよ」と説明すると、おおむね納得されます。
それでも心配な方には、私の両手を見せます。私の手掌の方が、間違いなく、よほど黄色いからです。
この数年、私よりも黄色い手の方にお目にかかったことがありません。
原因はわかっています。毎朝欠かさずに飲んでいる野菜ジュースです。トマトと人参がたっぷりのやつ。
さらに緑黄色野菜でも柑皮症になるそうで、ならば毎晩1株食べているブロッコリーも原因の一つでしょう。
「トマトが赤くなると医者が青くなる」などと言いますが、私の場合は黄色くなりました。
柑皮症は、原因の食品の過剰摂取をやめれば、自然に数か月のうちに改善すると言われています。
私もいちど、本当に改善するのか調べるために、食生活を抜本的に見直そうかと思ったことがあります。
しかし、やめました(見直すことをやめました)。
野菜ジュースは美味しくて飲んでるわけじゃないし、ブロッコリーなんて、どちらかと言えばマズい。
ほとんど惰性で摂取しているので、何カ月も中断したら、もう再開できなくなるような気がするのです。