先駆けインフル薬

大流行中のインフルエンザに関連して、明るい話題と言えば、新しい治療薬「ゾフルーザ」の登場でしょう。

タミフルなどの抗インフルエンザ薬は、細胞内で増殖したウイルスが細胞外に出るのをブロックする薬です。

一方でゾフルーザは、ウイルスが細胞内で増殖するのを、その初期段階で食い止めます。

単独では増殖できないインフルエンザウイルスが人の細胞内の「道具」を利用するのを、ブロックするのです。

増殖したウイルスを細胞内に閉じ込めるタミフルに対して、ゾフルーザはウイルスを増殖させない薬です。

その作用機序の違いによって、タミフルよりもウイルスを早く減らす効果があると期待されています。

先週厚労省の部会の審査で了承されたので、3月には承認され、5月ごろまでには発売される見込みです。

もしかすると、現流行シーズンの終わり頃には、処方ができるかもしれません。

ゾフルーザは、厚労省が優先的に審査する「先駆け審査制度」の対象品目として指定されていました。

画期的新薬を世界に先駆けて承認する「先駆け薬」としての指定要件をおおざっぱに言えば、次の4つ。

(1)画期性:新しく画期的な作用機序であること

(2)重篤性:生命に重大な影響がある疾患の治療薬であること

(3)有効性:既存薬に比べて有効性が高いと見込まれること

(4)日本製:世界に先駆けて日本で開発・申請されたこと

急いで導入するのはいいけど、もしも重篤な副作用が出たら、マスコミの格好の餌食になるでしょうね。

そのような場合でも、厚労省におかれましては、おかしな処方制限などを付けたりしないでいただきたい。

日本発の新薬が、日本以外の国だけで評価されるようなことのないように、お願いします。

Macユーザーの市民権

マンションの勧誘電話にはいつもイラつきますが、お役所からの電話にはいつもビクついてしまいます。

なかでも「九州厚生局熊本事務所」と「熊本東税務署」からの突然の電話には、計り知れない恐怖を感じます。

一方で、本来恐怖を感じるべき(?)「熊本市保健所」は、意外と平気です。

市民病院に勤務していた頃の同僚が保健所に配属されていたりするため、親近感を覚えるのかもしれません。

今日の昼の、保健所からの電話には、とくに温かいものを感じたので、ご紹介します。

それは昨年9月に行われた、厚労省の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2145.html" target="_blank" title="患者調査">患者調査</a>」に関する報告でした。

Windows環境でExcelファイルを使って回答させる調査に対して、当時私は保健所にクレームを付けたのです。

どうして<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1114.html" target="_blank" title="Windows限定">Windows限定</a>なのか、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2172.html" target="_blank" title="しかもExcel">しかもExcel</a>なのか、Macユーザーに対する配慮はないのか、などと。

担当者は私の剣幕におされたのか、その要望はぜひ、調査用紙に記載しておくようにと教えてくれました。

あれから数カ月。このたび厚労省の担当者が熊本に来た際に、ようやく私の要望が伝えられたようです。

そして、それを伝えたことを、ただちに私に報告してくれたのが、今朝の電話だったのです。

「取り急ぎ、先生にご連絡しました!」という保健所の方の、明るくはずんだ声に、私も嬉しくなりました。

もしかするとその担当者が、個人的にはMacユーザーだったのかもしれません。

震災からあと、熊本の役所や保健所の対応が、以前よりも一段とソフトになったような気がします。

恵方巻き廃棄問題

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1218.html" target="_blank" title="恵方巻き">恵方巻き</a>の廃棄問題が、クローズアップされています。今年は、とくにひどいそうです。

でも「今年は特別」と考えるのは、何事においても錯覚なのかもしれません。たぶん毎年のことなのです。

期日を過ぎると意味をなさないモノが廃棄されるというのは、食品でなくても、当然想定されることです。

とくに恵方巻きは、節分の1日限定で一気食いする生もの、というかなり特殊な食品ですからね。

需給にミスマッチがあれば、小売店にとっては、廃棄か機会損失かの、いずれかが必ず起きます。

しかし、ちょうど売り切れるとか、ごくわずかに余る程度で済ませることなど、無理な話でしょう。

おせち料理やクリスマスケーキのように、確実に注文しておかなければ、あとで消費者が困る食品でもないし。

その日思いついたら、スーパーやコンビニに行けば手に入る。別の用事が出来たら、食べなくても構わない。

その程度のゆるい位置づけなので、恵方巻きにはたぶん完全予約制はなじまないかもしれませんね。

インフルエンザワクチンは、毎年9月末から12月の間に数百本ほど購入しますが、ほぼ使い切ります。

ちょうど使い切るというのはおそらく、わずかに不足気味の準備状況だからでしょう。

今年はとくに<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2235.html" target="_blank" title="ワクチンが不足">ワクチンが不足</a>していたので、いつもよりも早めに在庫がなくなりました。

残念ながら今年は、機会損失(この場合、医療機関の損失ではなく被接種者の不利益)が出たはずです。

いまB型インフルエンザが<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2313.html" target="_blank" title="大流行">大流行</a>しているのは、ワクチン不足が原因ではないかと思えてなりません。

その反対に、国の失策によって全国で大量のワクチンが余った、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-46.html" target="_blank" title="8年前">8年前</a>の新型ワクチンはひどかったですね。

接種の優先順位が規制された結果、接種が流行に間に合わず、ワクチンは約1億3千万回接種分余りました。

とくに海外メーカーから輸入契約した9,900万回分は、そのうち9,899万回分以上が、使われませんでした。

国はその約3分の1をメーカーに叩き返し、一部は破棄、残りは短期間備蓄したものの、結局破棄されました。

あれなんか、恵方巻き大量廃棄の比じゃないですね。国のやるムダは、スケールが違う。

ガソリンの総額表示

今朝は積雪のため、路面が凍結していました。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2292.html" target="_blank" title="愛車が修理中">愛車が修理中</a>なので、慣れない代車で恐る恐る出勤しました。

その修理中の愛車は、購入してもうじき2年になりますが、先週走行距離を見たら、まだ9,156kmでした。

年間5千kmも乗らないようでは、趣味はドライブ、とは言えませんね。愛車と呼ぶのもおこがましいかも。

当然、ガソリン消費量も少ないのですが、たまに給油すると、いつもガソリン代の金額の大きさに驚きます。

セルフの店が嫌いなので、どうしても価格が高めのガソリンスタンドで給油するからかもしれません。

通勤路に面していて、広くて待たされないところが好きなので、結局いつも同じ店に行くことになります。

看板の金額を見て結構安いなと思うのですが、あとでそれが税抜価格だと判明し、いつもガッカリします。

本来は税込価格を表示(総額表示)すべきですが、特例期間中なので、税抜表示がまかり通っているのです。

「消費税転嫁対策特別措置法」による特例期限は、平成33年3月31まで(その時は「平成」じゃないけど)。

それまでの間なら、「税抜」という文言を看板の片隅に記載しておけばOK、というわけなのでしょう。

私が店主なら、「税抜」の文字をデカデカと、すぐ見えるように書きますけどね(良心的!)。

「ハイオク1リットル99円(税抜)」なんて衝撃的な価格で掲示して、実は「ガソリン税」抜だったりして。

来年10月には、ついに消費税が10%になりますが(たぶん)、その頃にもまだ、税抜表示が可能なんですね。

特例措置は、事業者の事務負担軽減のためです。消費者の混乱軽減は、考慮されてないようです。

パイロットの訓練

昨夜テレビで、『ハッピーフライト』という映画を放送していました。

私には、年末に緊急着陸騒ぎのANA便に搭乗した<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2278.html" target="_blank" title="生々しい経験">生々しい経験</a>があるので、この映画は興味深く観ました。

旅客機の運航に携わるいろんな部署の人たちが描かれていた中で、私の興味は「機長昇格訓練」です。

副操縦士の機長昇格のための審査を兼ねていた、自動車で言うなら路上検定が、そのドタバタ劇の舞台でした。

こういうのを見るとすぐ連想するのは、外科医の実地修練です。

ただし外科医の場合は、資格のための検定ではなく、おもに、純粋に経験を積む(積ませる)ためのものです。

映画では、緊急事態が起きますが、機長の手の負傷ということもあって、訓練生が最後まで操縦していました。

手術でも、緊急事態(想定外の病変・多量出血・臓器損傷等)があっても、修練医がギリギリまで執刀します。

そのような修羅場をくぐらなければ、いつまでたっても独り立ちできないからです。

人の命がかかっているのに修練とは何事かと、そう思う方もいるでしょうけど、どうしても必要な事なのです。

外科医は、手術見学→助手→指導下での執刀、という手順を踏んだ後、単独で執刀できるようになります。

このうち、指導医による指導の下での執刀という段階は、もっとも緊張する、その術式のデビュー戦です。

と同時に、指導医にとっても、どこまで修練医に任せきれるかという、これまたある意味、修練の場です。

副操縦士を褒めたり怒鳴ったりしながら、最後までやりきらせる機長にも、相当な力量が必要なのです。

ただしその修練現場は、乗客にはとても見せられません。それは外科手術の修練現場でも同じです。

抗菌剤の適正使用

「抗菌薬適正使用支援加算」なるものが、診療報酬の中に新設されようとしています。

抗菌剤の処方を抑制するために、厚労省が医者に適正使用のインセンティブを与えようというもくろみです。

その目的は医療費の削減、ではなく、薬剤耐性菌を減らすためであり、全世界的な感染症対策なんですね。

抗菌薬の投与は必要ないと思われる病状の患者に、抗菌薬は必要ないと説明すれば、算定できるようです。

「お子さんは風邪なので、抗生剤は効かないから出しませんよ。よろしいですね」これで点数がプラスです。

「へー、こんな当たり前のことを説明したら、加算が付くのかね」というのが率直な感想。

だったら、「解熱剤適正使用支援加算」も考えていただきたい。

あるいは、「診療所適正受診支援加算」なんてのも、当然考慮されるべきでしょうね。ん?

「抗菌薬が不要な病状の患者に、抗菌薬は不要だと説明する」という算定条件に、私はひっかかります。

「抗菌薬適正使用支援」という名目の加算であれば、次のいずれの場合にも、算定すべきだと思うのです。

(1)抗菌薬が不要な病状の患者に、抗菌薬は不要だと説明する

(2)抗菌薬が必要な病状の患者に、抗菌薬は必要だと説明する

厚労省は(1)限定のつもりなんでしょうけど、それと同じぐらいに(2)も重要です。

その両者を考慮してこそ、「適正使用」だと思うんですけどね。

なにしろ最近、抗菌剤を必要以上に毛嫌いする方も増えているのです。

インフルは今がピーク

インフルエンザの流行は、少なくとも熊本においては、ピークを過ぎつつあります。

本日発表された第4週(1/22〜28)の報告数は、熊本市も熊本県も、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2306.html" target="_blank" title="第3週">第3週</a>よりも少し減っています。

ただし全国的には、第3週とほぼ同数(微増)だったので、いまがちょうどピークなのでしょう。

インフルエンザの治療薬として有名な「タミフル」は、日本で処方されるようになってから、まだ17年です。

それ以前の、20世紀のインフルエンザは、タミフルなしで治療していたわけです。

よく言われるように、抗インフルエンザ薬の効果など、「半日から1日早く治る」程度のものかもしれません。

しかし、熱などの症状による苦痛や周囲への感染期間も短縮するわけで、それなりの意味はあるでしょう。

早く治れば、そのぶん早く登園・登校・出勤が出来るわけで、社会的な利益も(少しは)あるかもしれません。

日本は、全世界のタミフルの75%を消費しているといわれます(正確なデータは見つかりませんでしたが)。

すぐタミフルを飲むので、内服後のタイミングで、インフルエンザによる<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2301.html" target="_blank" title="異常行動">異常行動</a>が起きやすくなります。

で、タミフルが異常行動の原因かと恐れるわけですが、インフルエンザに罹ると結局タミフルを飲むのです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2297.html" target="_blank" title="予防的に飲みたい">予防的に飲みたい</a>ので処方して欲しいという方も、少なくありません。ていうか、多いです。

ワクチンの副反応を極度に気にする日本人が、タミフルなら積極的に飲むというのが、じつに不思議ですね。

まずは、ワクチンをしっかり接種して、なるべくタミフルの世話にならないようにすることでしょう。

ちなみにタミフルは、中華料理でも使われる「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-514.html" target="_blank" title="八角">八角</a>」を原料として作られていたことは、前にも書いた通り。

現在は八角を使わずに製造されているようで、いま八角といえば「八角理事長」ですかね。

記録中断の恐怖

当ブログはすでに5年半以上、毎日更新を続けています。私にとっては、日記のような苦行です。

ここまで続くと途切れさせたくないのが人情、または根性、あるいはこだわり、ていうか意地。維持する意地。

ところが今日は、連続記録中断の危機がありました。

一般に、連続投稿の中断を余儀なくされる可能性があるとすれば、次のような原因でしょうか。

(1)仕事で帰宅が遅くなる

かつて冬の忙しい時期には、夜10時や11時帰宅のこともありました。深夜0時が締め切りなので、焦ります。

(2)飲み会がある

出かける前か、出かける途中のタクシーで書いたこともありましたが、さいわい、飲み会自体が少ないです。

(3)旅行に出かける

旅行自体がまれ。旅先には必ずMacを持って行きます。予約投稿もできるのですが、どうしても不安なので。

(4)パソコントラブル

大丈夫。職場でも自宅でも、それこそiPhoneでも、ブログの投稿はできるようにしています。内容は二の次。

(5)投稿サイトのトラブル

今日焦ったのはこれ。投稿サイトに通常通りのログインができないのです。いきなり「二段階認証」しろと。

その認証用コードが送られて来たのは、日頃あまり使っていないアドレス宛でした。

ところが、そのアドレスを管理するプロバイダのトラブルなのか、認証用コードのメールがなかなか届かない。

もはやこれまでか、と諦めたその瞬間、何事もなかったようにメールが届きました。こら、脅かすなよ。

教訓:何でも早め早めの準備が大事