裁量労働制問題

「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」

このように発言した安倍首相でしたが、その根拠となった数値がインチキだったことが問題になっています。

裁量労働制の労働時間は短めに、一般労働者は長めになるように、恣意的に計算してあったからです。

データを最大限利用して間違った解釈ができるように上手く工夫することは、巧妙なねつ造の一種でしょう。

数字をいじらせると官僚の右に出る者はいませんね。ただし、隠蔽工作は政治家ほど上手くはないようです。

厚労省の倉庫で新たに見つかったという調査票の原本は、段ボール32箱分に及ぶ膨大なものでした。

「ロッカーを探したが無かった」と言っていたデータは、もともとロッカーに入る量ではなかったのです。

「ええ、ですから、ロッカーには無かったと申し上げたのでございます」と官僚なら平然と言い訳しそうです。

冒頭の安倍首相の答弁でも、「というデータもある」という部分に、最初から言い訳がましさを感じます。

裁量労働制は、自由な出退勤と「みなし時間制」が特徴です。それ自体には、問題ありません。

ただ実際には、実労働時間が見なし時間とはかけ離れた長時間となるから問題なのです。

でもそれを言い出すなら、一般労働者のサービス残業も、基本的には同じことです。

裁量労働制であろうと従来型労働であろうと、超過勤務に対して手当を出さないことが、最大の問題です。

労働時間の長短を言う前に、まず労働の正当な評価が先決でしょう。