抗菌剤の適正使用

「抗菌薬適正使用支援加算」なるものが、診療報酬の中に新設されようとしています。

抗菌剤の処方を抑制するために、厚労省が医者に適正使用のインセンティブを与えようというもくろみです。

その目的は医療費の削減、ではなく、薬剤耐性菌を減らすためであり、全世界的な感染症対策なんですね。

抗菌薬の投与は必要ないと思われる病状の患者に、抗菌薬は必要ないと説明すれば、算定できるようです。

「お子さんは風邪なので、抗生剤は効かないから出しませんよ。よろしいですね」これで点数がプラスです。

「へー、こんな当たり前のことを説明したら、加算が付くのかね」というのが率直な感想。

だったら、「解熱剤適正使用支援加算」も考えていただきたい。

あるいは、「診療所適正受診支援加算」なんてのも、当然考慮されるべきでしょうね。ん?

「抗菌薬が不要な病状の患者に、抗菌薬は不要だと説明する」という算定条件に、私はひっかかります。

「抗菌薬適正使用支援」という名目の加算であれば、次のいずれの場合にも、算定すべきだと思うのです。

(1)抗菌薬が不要な病状の患者に、抗菌薬は不要だと説明する

(2)抗菌薬が必要な病状の患者に、抗菌薬は必要だと説明する

厚労省は(1)限定のつもりなんでしょうけど、それと同じぐらいに(2)も重要です。

その両者を考慮してこそ、「適正使用」だと思うんですけどね。

なにしろ最近、抗菌剤を必要以上に毛嫌いする方も増えているのです。