異常行動の誤解

タミフルって、不運な薬だとつくづく思います。

インフルエンザ罹患に伴う<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2246.html" target="_blank" title="異常行動">異常行動</a>の原因であると、いまだに濡れ衣を着せられているからです。

異常行動の主な原因はタミフルではなくインフルエンザそのものだと、私は日頃の経験からよく知っています。

今日も、それを裏付けるような2つの症例に出くわしました。

(1)昨夜から熱が出て、意味不明のことを話し続けていたという男児

検査でB型インフルエンザ陽性。「インフルエンザのせいで異常行動が出たようですね」と強調しておきます。

さらに「異常行動を防ぐためにも、早くインフルエンザを治しましょう」と説明してタミフルを処方。

タミフル内服前から異常行動が出ていたことを、親御さんにはしっかりと覚えておいていただきます。

(2)昨夜わけもなくグルグルと家の中を徘徊していたという男児

昨日はインフルエンザ陰性だったので、タミフルは処方せずに経過観察してたら、その晩に異常行動が出現。

今日再検査したら、B型インフルエンザ陽性。「インフルエンザの異常行動が出たようですね」と説明。

もしも昨日、見切り発車してタミフルを処方していたら、内服の直後に異常行動が出ていたかもしれません。

タミフルで異常行動が出るのではなく、異常行動が出るタイミングでタミフルを飲ませることが多いのです。

ストレスと疾患

「ストレスが高いと長期的に感じている男性は、そうでない男性に比べがんにかかるリスクが高まる」

国立がん研究センターが国内で行った、長期間の大規模な観察型研究の結果が、最近公表されました。

40〜69歳の約10万人を約20年間追跡して、「自覚的ストレス」と「がん罹患」との関連を調べたものです。

「日常あなたの受けるストレスは多いと思われますか? 」

この質問に対して、少ない、普通、多い、という3つのストレスレベルを選択させ、5年後に比較しています。

その結果、持続的に高ストレス、または5年間でストレスが高まった者で、がん罹患リスクが増加しました。

とくに男性で強く認めました。メカニズムは不明ですが、ストレスによる免疫機能の低下も考えられています。

ところで、生活習慣病の場合には、ずっと以前からストレスとの関連が指摘されています。

血圧や血糖値が悪化したり、体重が急に増えた人には、私はいつも診察しながらお決まりの質問をします。

「最近、ストレスはありませんか」「あるんです」「やはりそうですか」「そうなんですよ」「ですよね」

言ってみれば、「最近、寒いですねぇ」「寒いですね」「ですね」みたいな、当たり障りのない会話です。

しかしそのような世間話をきっかけにして、やや深刻な問題が見つかることもあり、問診はやはり重要です。

たまに、「ストレスありませんか」と尋ねると、キッパリ「ないですね」と応える方もいて、逆に驚きます。

本人はそうだとしても、周囲の家族のストレスはどうなんだろうと思うケースも、しばしば見受けますけどね。

あ、私のことだったりして。

HPVワクチン動かず

厚労省は昨日、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2018.html" target="_blank" title="HPVワクチン">HPVワクチン</a>に関する情報提供」として、新たに3つのリーフレットを発表しました。

(1)HPVワクチンの接種を検討しているお子様と保護者の方へ

(2)HPVワクチンを受けるお子様と保護者の方へ

(3)HPVワクチンの接種に当たって 医療従事者の方へ

「子宮頸がん予防ワクチン」という表現はやめて、今後は「HPVワクチン」という呼称でいくようです。

現状では、ワクチンの接種率は限りなくゼロに近いので、当面は(1)が最も重要なリーフレットでしょう。

そこには、HPV感染症の現状とワクチンの有効性等について記載したうえで、1ページ目の最下部に、

「HPVワクチンは、積極的におすすめすることを一時的にやめています」

と意味ありげに目立つように書かれ、2ページ以降には、留意点や副反応などの説明が記載されています。

ところが、なぜ積極的勧奨接種を中止しているのか、その直接的理由については、まったく書かれていません。

これこれの疾患があり、ワクチンの効果はこうで、副作用はこうだと、ただ淡々と事実を羅列するのみです。

「副反応を危惧して中止しています」と書けば、それは明確な薬害であり、予防接種自体が成り立ちません。

かといって、実際に積極的勧奨接種中止している手前、いまさら「副反応は心配ありません」とも書けない。

結局、「接種しましょう」という文言を一切書かない、ただの「情報提供」という形になってしまっています。

「情報は提供しましたよ。接種するかどうかは、自分で考えてね」というのが厚労省のスタンスなのです。

じゃあ、定期接種をやめて任意接種にするのかというと、そこまでやる根性もない。

進むことも戻ることもしない。そんなのが、先進国の「ワクチン行政」なのでしょうか。

インフル治癒証明

インフルエンザに罹ったお子さんは、原則として初診の2,3日後に、経過観察のために来院していただきます。

その経過に応じて、いつ頃から登校・登園できるかを、親御さんに口頭と文書(ミニカルテ)でお伝えします。

学校は口頭で十分なのですが、幼稚園・保育園はしばしば、「治癒証明書」とか「登園許可証」を求めます。

簡単な書類なので、当院では無料で交付していますが、数が多くなるとそこそこ面倒です。

学校保健安全法による「登校(園)基準」は、

「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児においては3日)を経過した後」となっています。

すなわち、順調に下熱したお子さんの場合、「登校(園)は発症の6日後から」ということになります。

すると次は「いつ発症したのか」という点が問題になります。その解釈しだいで登校可能日が変わるからです。

たとえば、朝から熱が高かった、というケースでは、前夜から熱が出ていた可能性があります。

ある調査によると、「治癒証明書」の要求に応じるのは医師の約8割で、約15%は応じないそうです。

患者(子ども)と親の利益を考慮して私はすぐに書類を書く方ですが、その必要性には疑問を感じています。

いちばん困るのは、他院でインフルの診断や治療を受けた後、治癒証明書のためだけに当院を受診するケース。

子どもを月曜から登園させたければ、日曜診療を行っている当院で書類をもらうのが、うってつけなのです。

ですが、全体の病状経過を把握できてないのに、書類だけ書くのはまったく不本意です。書きますけどね。

タミフルの予防投与

インフルエンザの疑いのない方には、当院では原則として、抗インフルエンザウイルス薬を処方していません。

しかし、家族がインフルエンザに罹った場合に、タミフルの処方を希望する方がいます。気持ちはわかります。

抗インフルエンザウイルス薬の予防投与は、保険適応外です。自由診療(自費診療)となります。

また予防投与の対象は原則として、インフルエンザ患者に同居する高齢者か一定の持病のある方に限られます。

受験生だという社会的理由では、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を受けることはできないのです。

当院ではその規定を遵守していますが、医学的な理由が「少しでも」あれば、処方をするスタンスです。

(1)高熱・筋肉痛・倦怠感、周囲にはインフルエンザがいる、迅速検査で陽性

(2)高熱が出たばかり、周囲にはインフルエンザがいる、迅速検査は陰性(または未検査)

(3)微熱で元気、周囲にはインフルエンザがいる、迅速検査は陰性(または未検査)

(4)無症状、周囲にはインフルエンザがいる、未検査

私の場合、抗インフルエンザウイルス薬の処方率は、(1)ほぼ100%、(2)半々、(3)微妙。

予防投与は(4)のケースになると思います。やはり、高齢者などに限って処方するのが原則でしょう。

ところが最近、無症状だけど他院で予防投与を受けたという患者さん(しかも保険診療で!)に出会いました。

そういうコトする「親切な」医療機関が近隣にあるので、当院は融通が利かないと思われかねません。

でもやっぱり、(3)と(4)の間には、きちんと線を引きたいのです。

インフル情報まとめ

インフルエンザは全国で、とくに西日本で、なかでも九州で、大流行しています。

当院でも初診だけで毎日10人から20人、多い日は再診も含めると50人以上がインフルエンザの患者さんです。

そこで今日は、日頃の診療で患者さんからよく聞く質問や誤解について、まとめておきます。

「マスクは意味ないとテレビで言ってたが、どうなの?」

私は使っています。いつも患者さんの咳を浴びているからです。たびたび手洗いもします。これも大事です。

一般の方は、少なくともインフルエンザに罹った本人は、感染拡大を防ぐためにマスクを装着しましょう。

「38度を超えなかったので、インフルエンザじゃないと思ってました」

私の印象として、インフルエンザの方の2,3割は、熱が38度を超えません。1割ぐらいは37.5度も超えません。

すぐ下熱して元気なので、受診せず登園・登校したお子さんの中には、インフルエンザの方もいるでしょうね。

「B型は軽いと思ってたのですが」

ほぼ、都市伝説です。熱の高さや倦怠感の強さは、A型かB型かよりも、個人差の方がよほど大きいようです。

とくに今年は、B型に胃腸症状(嘔吐・下痢)を伴うケースが目に付きます。結膜炎や中耳炎も見かけます。

「先月A型に罹ったのですが、こんどはB型に罹ることもあるのですか?」

12月のデータでは、ざっとA(H1)pdm09が6割、A(H3)(いわゆるA香港型)が1割、B(山形系)が3割でした。

A型とB型が拮抗している今期は、その両方に罹る可能性があります。とくに今月はB型が増えてますね。

「いまからワクチンを打っても、もう間に合わないでしょう?」

間に合います。すぐ接種しましょう。すでにA型かB型の一方に罹った方でも、まだ接種する意味はあります。

ワクチンの効きにくいA(H3)の割合が少ないので、今年は予防接種の効果は高いと思います。

今シーズンは、ワクチン不足のせいで未接種の方が多いのが問題です。早い流行と関係があるかもしれません。

ムーミン問題

センター試験の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2294.html" target="_blank" title="世界史B">世界史B</a>」ネタを書いていた昨日、世間の話題をさらったのは「地理B」だったようです。

問題となったのが第5問の問4。北欧を舞台にしたアニメと言語から、フィンランドのものを選ぶ設問。

二択のアニメ(のイラスト)は、『ムーミン』と『小さなバイキングビッケ』でした。

ムーミンを知らない受験生が多かったようですが、バイキングとノルウェーを結びつければ解ける問題です。

『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2142.html" target="_blank" title="ムーミン">ムーミン</a>』は、私が小学生の頃、毎週日曜の夜7時半から放送されていた、大好きなアニメ番組でした。

その時期の日曜の晩は、『サザエさん』→ 風呂 →『ムーミン』という流れが、私のルーチンでした。

「ムーミンの舞台はフィンランドではなくて『ムーミン谷』だ」などという記載が、ネットを賑わせてます。

「出題ミスだ」という意見も出ていますが、深刻な非難というよりは、楽しいツッコミに思えてなりません。

作者の出身はフィンランドだけど、原作の舞台がフィンランドだとは断定できない、という学者もいます。

たしかに、「ムーミン谷」は架空の場所なので、それがフィンランドに「実在した」とは言いがたいですね。

菅官房長官は記者会見でこの件を問われて、「政府の立場でコメントすることは控えたい」と述べました。

この人はどんな質問でも、「コメントすることは控えたい」と言って逃げますね。実につまらない。

「政府の立場でコメントすることは控えますが、個人的には、大好きなアニメです」ぐらい言えばいいのに。

正誤問題でいいのに

センター試験の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1206.html" target="_blank" title="世界史B">世界史B</a>」は、今年も悪問ぶりが健在ですね。たとえば第3問のCは、

「中国最大の都市である上海の外灘に立ち並ぶ重厚な西欧風建築は、往時の繁栄を今に伝えている(以下略)」

(この文章の、「都市」の部分に下線が引かれています)

そして設問は、「下線部について述べた文として誤っているものを、次の1〜4のうちから一つ選べ」

とあり、景徳鎮、リューベック、モンバサ、ポンディシェリという4つの「都市」についての文が並びます。

もはや上海など無関係。冒頭の文章は、「都市」という名詞を引っ張り出すためのものだったのです。

まったくナンセンス。くだらない。深みも何もありゃしない。

そんなこじつけの設問がまかり通るのであれば、こんな問題はどうか。作ってみました。

「インドアスポーツの発祥は古代ローマにさかのぼることができ、当時は貴族と民衆がともに熱狂した(略)」

(この文章の、最初の3文字「インド」に下線が引いてある)

続く設問はもちろん「インド」に関するものです。これだって、同じことでしょう?

さらに言うなら、「誤っているものを一つ選べ」とか「正しいものを一つ選べ」という設問も、ダメ。

選択肢の文の正誤を4つ全部は知らなくても、正答ができてしまう可能性があるからです。

それよりも、ひとつひとつの選択肢(文)の正誤をそれぞれ答えさせりゃいいじゃないですか。

前にも書いたように、世界史Bの凝った文章問題のような体裁は「まやかし」です。

求められているのは、短文の正誤判断でしかありません。もう単純に、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1202.html" target="_blank" title="正誤問題">正誤問題</a>の羅列でいいんじゃないの?

試験直前の悪あがき

この寒い中、今年も始まった「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1928.html" target="_blank" title="センター試験">センター試験</a>」。中国風に書けば「中心試験」となるのでしょうか。

ネットで調べたら中国語の「試験」はちょっとしたテストのことで、入試にあたるのは「考試」のようですが。

大雪のために交通機関が乱れ、試験開始が繰り下げられた会場が何カ所もあったようです。

1時間繰り下げとなってある受験生は、「これでもう1時間勉強できる」と言ったとか。前向きでいいですね。

ただし、その1時間で何かしらの勉強をしたところで、試験の得点に貢献する可能性はほとんどゼロでしょう。

出題範囲は広いし、しかも深い洞察力や応用力が試されるはず、だからです。

と書きましたが私自身が受験生のときは、いつも試験開始直前ギリギリまで、参考書に目を通していました。

一度、最後の悪あがきで得た知識が出題されたことがあって、その成功体験を引きずってたのかもしれません。

それは高2の時の模擬試験でのこと。級友と、ひとつ単語を覚えよう!、と英和辞典を無作為に開きました。

指さした部分にあったのは “obvious” 。恥ずかしながら私は、その単語の意味をその時に初めて知りました。

さて、試験が始まって英語の問題用紙を広げたら、なんと “obvious” が出てる!

以来、往生際が悪いのが私のスタンスなのです。今風に言うなら、悪あがきは恥だが役に立つ、ですか。

器物損壊事件

休診日の今日、書類整理のために職場に向かおうとした私が目を疑ったのは、車のボンネットの傷でした。

近所の子どもの野球ボールが当たった跡や、ハトの糞ぐらいなら、まだ諦めもつきます。

しかしその傷は、石か釘か何かで、ボンネットに大きく深〜く刻まれた、「バツ印」でした。

悪ふざけやいたずらでは済まされない、嫌がらせです。犯罪行為と言ってもいい。

ただちに警察に通報しました。しばらくしてパトカーが来ました。警察官は3人。これは頼もしい。

警察官2名が現場検証(写真撮影やさまざまな計測)をする間に、残る1人が私と一緒に被害届の作成を開始。

たぶん夜中の犯行だし、使ったのはそこらの石ころでしょうから、目撃情報にも物証にも乏しいのが難点です。

車に傷が付いていないことを最後に確認した時から、今朝傷を発見した時点までの経過を、細かく記載します。

iPhoneの<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-582.html" target="_blank" title="ライフログ">ライフログ</a>アプリには、私の移動時刻と場所が細かく記録されているので、こういうとき便利です。

イモビライザーやドライブレコーダーは、今回まったく役に立ちませんでした。必要なのは防犯カメラです。

あとは、警察の方との連携を深めて、これまで以上の頻度で、近隣をパトロールしていただくことでしょうか。

ディーラーで修理の見積もり。うわ高い。傷が深いので板金塗装が必要とのこと。ボンネットは全部塗り替え。

保険で修理できますが、そうすると保険料がアップして、修理代分よりも値上がりする可能性があるとのこと。

なんじゃそりゃ。保険の意味ないし。とりあえず、保険料がどのぐらい上がるかの見積もりを依頼中なり。