ウイルススキャンは安全か

Windowsの人たちは、どのようなアンチウイルスソフトを使ってますか。Macメインの私は「ESET」です。

10年ぐらい前までは、「ノートン先生」のお世話になっていましたが、色々あって変えました。

アンチウイルスソフトに求めるものは2つ。

(1)確実性:ウイルスを確実に見つけて駆除するという、本来のアンチウイルス機能が優れていること

(2)軽快性:パソコンの挙動を妨げず、ウイルススキャンに要する時間も短いこと

このうち(1)はすぐに実感できるものではありませんが、(2)は体感できます。

さまざまなIT系記事で予習し、デモ版を試した上で、私はESET導入に踏み切りました。

その後、ESETよりも軽快確実だと噂される「カスペルスキー(Kaspersky)」にも、興味を持ちました。

ですがどうしても導入に踏み切れなかった理由は、それがロシアの会社のソフトだからです。なんとなく。

と思ってたら先週、米NSAの機密情報がカスペルスキー経由でロシアに流出していたと報じられました。

米連邦機関は先月から、カスペルスキー製ソフトの使用を禁止していたそうです。ほらね。

ハッキングを受けたのはNSAの契約職員らしいですが、どうしてNSA関係者がロシア製品を使うわけ?

かく言う私が使っているESETも、調べてみたら本社はスロバキアですか。う〜ん、なんか微妙。

かといって、ノートンやマカフィーを使えば、最悪の場合、データがNSAに筒抜けになるリスクがあります。

ESETの稼働状況を眺めていると、私のMac内のすべてのファイルを、猛烈なスピードでスキャンしています。

それがウイルスのスキャンだけならよいのですけどね。

ダイソンのデザイン

家電の「ダイソン」が、電気自動車市場に参入すると、先月表明しました。2020年までに発売するとのこと。

中核部品である「エンジン」の製造が不要となれば、これからの車作りはずいぶん変わることでしょう。

これって、自動車産業史上最大級の変革、パラダイムシフトじゃないですか。

ダイソンといえば、掃除機で有名な英国の大手家電メーカーですが、掃除機以外にもいろいろ作ってます。

「羽なし扇風機」の、スリットから吹き出す空気が周囲の空気を巻き込んで風力を増すという仕組みは不思議。

高額なのがアレですが、個性的で斬新なデザインと安全性(手を突っ込んでも大丈夫)は魅力です。

似たような原理のドライヤーも発売されました。デザインの新規性だけでなく、妙に風力が強くて驚きます。

見回してみるとわが家にある家電も、昔とはずいぶん様変わりしています。

バルミューダ製品を筆頭に、デザインを重視して操作ボタンの少ない、スッキリした製品が増えました。

「ミニマルデザイン」はAppleのお家芸でしたが、いまは他社製品にも見られる一般的なものとなりました。

とくにIT企業が売り出し中の「スマートスピーカー」は、各社ともシンプルなデザインに仕上がっています。

先週日本で発売された「Google Home」や、その前日に発売された「LINE Clova WAVE」は、まさにそれ。

ですがその両者とも、常識が邪魔をしたのか、一見してIT機器という雰囲気は捨て切れていませんね。

それらに比べると、Appleが発売予定の「Home Pod」は、かなりぶっ飛んでます。なんじゃこりゃ、です。

はたしてダイソンが、どのような斬新な自動車を発売するのか。そのデザインも楽しみです。

接種間隔の間違い

予防接種に関する間違い(過誤接種)について、昨年の報告例を厚労省がとりまとめた結果が公表されました。

全部で6,602件のうち、断トツで多かったのは接種間隔の間違い(52.6%)だったようです。

ワクチンの接種間隔には2系統のルールがあるため、このように間違いやすくなるのでしょう。

(1)同一ワクチンどうしの接種間隔のルール

インフルエンザワクチンだと、1回目と2回目の間隔は、13歳以上が1週間以上、13歳未満なら2週間以上。

なんでそう決めたの、と言いたくなりますね。もし間違えたら、保健所に届けなければなりません。

このほかにも、ワクチン毎にそれぞれの複雑な規定が山ほどありますが、今日この件は掘り下げません。

(2)他のワクチンとの接種間隔のルール

生ワクチンのあとは4週間、不活化ワクチンのあとは1週間、次のワクチンの接種まであける必要があります。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-906.html" target="_blank" title="前にも書きました">前にも書きました</a>が、これは他の国にはない日本独自の、医学的には根拠のないローカルルールです。

世界標準のルールは、「生ワクチンどうしの接種は4週間あける」という、医学的に根拠のある規定のみ。

不活化ワクチンは、1日間隔でも3日間隔でも、当日の朝と夕方に接種してもOKというのが世界の常識です。

また、生ワクチンを接種した翌日に不活化ワクチンを接種する、なんてことも可能です。

ではなぜ日本では、ワクチン接種相互の間隔を、これほどまでに広くとるように規定されているのでしょうか。

それは、ワクチン接種後の副反応を観察するための期間だと、そのように聞いたことがあります。

予防接種による免疫獲得を急ぐよりも、副反応を警戒することに重きを置いた、いかにも日本的な考え方です。

こういう、医学的にはあまり意味のない規定のせいで、間違いは起きるし、接種計画が遅れがちになるのです。

これがなければ、子どもの定期接種とインフルエンザワクチンの接種間隔で苦労しなくても済むんですけどね。

インクも乾かぬうちに

トランプ米大統領が昨日、北朝鮮との関係について、「1つのことだけがうまくいく」と意味深なツイート。

なかなか思い切った行動をとれないけれども、思わせぶりな言動は絶やさない姿勢のようです。

かつて北朝鮮と結んだ合意が守られなかったことについては、大統領は次のように述べました。

「(合意文書の)インクも乾かぬうちに合意は破られた ( agreements violated before the ink was dry )」

文書のインクなんて、1,2分ですっかり乾きそうなものですが、英語でもこのような比喩的表現するんですね。

日本語の「舌の根の乾かぬうちに」にも似ています。逆に、生きた人間の舌根って、乾くことあるんですかね。

最近、北朝鮮問題における、米政権中枢部での意見対立が話題になっていますが、

ティラーソン国務長官の「平壌と意思疎通するパイプがあり、暗闇の状態ではない」との発言に対して、

トランプ大統領が「時間の無駄だ」と切り捨ててみせると、

マティス国防長官は「北朝鮮と話し合う機会を模索しているだけで、話し合っていない」と取りなしました。

まるで、「新茶ぁ〜」「ふるい〜」「ふるかね〜」みたいなノリです。この3人、悪い関係じゃなさそうです。

シワシワのポスター

スコットランドの地図を、Amazonで発注しました。100cm x 70cmのサイズの大型ポスターです。

英国からの取り寄せだったので、2週間ほど待たされて、ようやく届きました。

ところがその包装(硬い紙製の筒)に、大きな亀裂が入っていたのです。テープで修復した跡もありました。

「破損していたので補修しております、川崎東郵便局第三国際郵便部」という注意書きが添付されていました。

開封してみると、地図には大きなひび割れのようなギザギザのシワが、縦に2本入っていました。

丸めたポスターを入れた包装を、2カ所で強く折り曲げたらそうなりそうな、ひどく醜悪な傷跡です。

とりえあえず、証拠写真を撮影し、ただちにAmazonの返品フォームに厳しいクレームを入力して送信。

すると30分ほどしてAmazonから返答あり。出品者に返品リクエストをメールしました、と。

さらに3分後に、その業者からメール。恐れ入りますが破損部分を撮影した写真を送ってください、と。

そんなの想定済みです。すぐに写真を3枚添付して送信。

すると15分後に、商品の再送か返金をお選びいただけます、とのメール。破損品の返品は不要です、とも。

すぐに、どうしても欲しい商品なので再送をお願いします、と返信。

そしたら40分後に、在庫がなくなり入荷未定となったので返金します、という一方的なメールあり。

その1時間半後にAmazonから、返金処理終了の連絡が入りました。まあ、なんていうか、さばけてます。

さてそうなると、手元に残った破損した地図をどうするか。修復するしかないでしょう。

ネットで予習してから、霧吹きとアイロンで、シワ伸ばし作業を念入りに行いました。

完璧ではありませんが、シワはそこそこ伸びました。ポスターフレームに入れると、なかなか格好いい。

まんまとタダでせしめましたね、なんてこと言わないでくださいよ。

カズオ・イシグロ氏

ノーベル文学賞は、日系英国人作家、カズオ・イシグロ氏が受賞しました。

恥ずかしながら私は、この人のことをまったく知らず、なので作品も読んだことがありませんでした。

イシグロ氏原作の『わたしを離さないで』がドラマ化され、昨年TBSで放送されたようですが、見てません。

世間の流れに慌てて追いつこうと、今朝はさっそく近所の紀伊國屋書店に行ったのですが、すでに売り切れ。

店頭の一角には、陳列台の底を晒した部分がありました。そこがイシグロ氏の特設コーナーだったようです。

がしかし、特設コーナー小っちゃすぎ。わずか50センチ四方。本を並べようにも、在庫がなかったのか。

ふと脇を見ると、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2116.html" target="_blank" title="村上春樹氏">村上春樹氏</a>の本が、その数倍以上の広さに平積みされていました。それも悲しい光景です。

すごすごと手ぶらで帰宅。こうなればAmazon頼みです。在庫切れでも大丈夫。Kindle版がありますから。

というわけで今日はまず、『わたしを離さないで』を読みました。

内容には触れませんけど、驚いたことがあったので、ひとつ言わせてください。

『わたしを離さないで』と、4年前の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-828.html" target="_blank" title="第1回 星新一賞">第1回 星新一賞</a>」に応募した私の作品のプロットが、似てるのです。

もちろん私は、イシグロ氏の作品を知らずに書いたわけで、パクったわけじゃありませんよ。

でも「星新一賞」の選考関係者は、「なんじゃこれ、カズオ・イシグロのパクリじゃん」と思ったでしょうね。

最大限に自己弁護させていただくなら、私の着想だけは、わりと良かったと言えなくもない。

ただし応募作は、文学的な表現も何もない超短編。イシグロ作品とは比ぶべくもない、薄っぺらな作文です。

成功報酬型医療

薬が効いた場合にのみ料金を支払えばよい「成功報酬型」の薬が、日本にも導入されようとしています。

欧米では既に、そのような薬が使われているとのことですが、いろいろ考えさせられる問題です。

「効果が無ければ全額返金」なんてのは、健康食品か健康器具か語学教材の専売特許かと思っていました。

これらの商品の場合、効果が無かったことを立証する必要が無いので、不正返金を目論むヤカラもいそうです。

医療用医薬品の場合にはしかし、厳正な効果判定基準があり、支払が必要かどうかは客観的に決められます。

効果判定前に別の疾患で亡くなったような場合の支払等にも、きっと一定の取り決めがあるのでしょう。

日本への導入が検討されているのは、ノバルティスの「キムリア」。小児の急性リンパ性白血病治療薬です。

1回の治療で済むというその薬は、その1回分の費用が5,300万円といいますから、目の玉が飛び出ます。

このような「成功報酬型」医療費の考え方が、医療全般に拡大するのではないかと、私は危惧しています。

たとえば、治療が効いた場合にのみ医療費を支払えばよい「成功報酬払い」。

「お前の治療では風邪が治らなかったから金は払わん」などと言われる時代が来ませんかね。

医療費を抑制したい行政からすれば、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-976.html" target="_blank" title="包括払い">包括払い</a>以上に魅力的なのが、成功報酬払いかもしれません。

配合剤の名前

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1997.html" target="_blank" title="配合剤">配合剤</a>」とは、2,3種類の既存の医薬品の、成分をそのまま合わせて1錠にしたものです。最近増えてます。

ひところ、雨後の筍のように出てきたのは、降圧剤(血圧を下げる薬)の配合剤でした。

便利な薬ではありますが、何と何を組み合わせた配合剤なのか、いちいち覚えるのがけっこう面倒。たとえば、

「ブロプレス」+「アムロジン」→「ユニシア」(便宜上、全部商品名で記載してます)とか、

「ディオバン」+「アムロジン」→「エックスフォージ」みたいに。

そんな中で良心的なのは、薬の成分だけじゃなく、名称も「配合」したケース。

「ミカルディス」+「アムロジン」→「ミカムロ」。グッジョブ。これは分かり易い。

最近、高脂血症治療薬でよく使う組合せの配合剤ができました。

「リピトール」+「ゼチーア」→「アトーゼット」。

これは補足しますと、リピトールの一般名「アトルバスタチン」の「アト」を使った「配合」名称です。

う〜ん、ここは他メーカーの商品名だけどリピトールの一部をもらって、「リピゼット」にしてほしかったな。

ていうか、なぜ「アトー」と伸ばすのか。阿藤快ですか。「アトゼット」の方がよほどスッキリしてるのに。

その「ゼット」もおかしい。本来は「ゼチ」でしょう。「アトゼチ」ですよ。なんなら「アトゼキ」でもいい。

その商品名が災いしたのか、MSDがサイバー攻撃に遭い、アトーゼットの発売が延期されています。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2050.html" target="_blank" title="ランサムウェア">ランサムウェア</a>に攻撃されたウクライナの企業経由で、MSDの親会社の米メルクが被害を被ったようです。

これは偶然与えられた良い機会。このさい、アトーゼットは名称を変更したらどうですか(アトゼキとかに)。

インフル接種お早めに

インフルエンザワクチンの接種は、例年通り10月1日から始めています。

先日も書いたように、今年はワクチン不足が確定しているので、現場では少々混乱するかもしれません。

薬品卸からワクチンが届いたのは先週の木曜と土曜。これでなんとか予定通り接種を開始できました。

例年このように、接種開始日の直前にようやくワクチンが届きます。いつもヒヤヒヤです。

ワクチンが届いてからの予約受付では遅すぎるので、ワクチンが届く前から、見切り発車で受け付けています。

かつて、納品が間に合わなくて、急遽別の業者に泣きついてワクチンを融通してもらったことがありました。

ワクチンが入手できなければ、接種開始が遅れることになり、予約済みの方には申し訳ないことになります。

今年の流行は、例年よりも少し早くなりそうで、すでに他県では先月ぐらいから学級閉鎖が出ているようです。

ところがつい8月までは、前シーズンのインフルエンザが散発的に発生しており、当院でも診断しました。

前シーズンの流行と今シーズンの流行とが、ほとんどシームレスに続いており、区別が付きません。

ていうか、流行をシーズン分けできる根拠もなければ、意義もないのかもしれません。

それに北半球の夏場は、南半球の冬場。インフルエンザ流行期です。

地球規模で見れば、年間を通してインフルエンザは流行しているわけです。

「インフルエンザワクチンは、いつごろ接種を始めたら良いですか」という質問を、よく受けます。

「できるだけ早く1回目を、十分間隔をおいて2回目を接種しましょう」と、毎年答えています。

とくに今年は、流行が早いことに加えてワクチン不足が確実なので、どうしても接種したい人は急ぎましょう。

基礎研究の重要性

ノーベル生理学・医学賞は、米国の3人の研究者に贈られることが決まりました。

授賞理由は「概日リズムを制御する分子メカニズムの発見」、つまり「体内時計」の仕組みの解明です。

残念ながら、日本人の3年連続のノーベル生理学・医学賞受賞は、なりませんでした。

本命視されていた本庶佑・京都大特別教授は、今年も受賞を逃しました。

本庶先生といえば、がん免疫治療薬「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1828.html" target="_blank" title="オプジーボ">オプジーボ</a>」の開発につながったタンパク質の発見でも知られています。

世界的に高名な医学研究者ですが、意外と人間的で面白い人のようです。先生の文章の一部を紹介すると、

「あの企業の株が上がると思ったと後から言う者と、実際にその可能性にかけて株を買った者との違いである」

研究のアイデアを思いついたことと、その可能性にかけて実際に研究することの違いを述べたものです。

本庶先生の話には卑近なたとえ話が多く、とてもわかり易いのが特徴です。

「山奥に道なき道を分け入り、初めて丸木橋を架けることが私にとっての喜びであり、丸木橋を鉄筋コンクリートの橋にすることではない」

基礎研究こそが未来の世界を変えるのであり、その応用に興味は無いと、そう言っているのです。

ところが安倍首相は、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1442.html" target="_blank" title="2年前のOECDの基調演説">2年前のOECDの基調演説</a>でこう語りました。

「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う」

山奥を分け入るようなことはせず、鉄筋コンクリートの橋をたくさん造れというわけです。残念な考え方です。

日本の近年のノーベル賞ラッシュは、過去の遺産を食いつぶしたものに過ぎないと、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1827.html" target="_blank" title="大隅良典氏">大隅良典氏</a>は言います。

いま基礎研究で手を抜けば、将来の日本からは自然科学系のノーベル賞は出なくなるかもしれません。

安倍首相だけでなく、文系の政治家には、その重要性がわからないようです。