無資格者の不正従事

スバルも日産と同様に、無資格者が完成検査に携わるという不正を行っていたことが判明しました。

社内試験には合格して、一定の知識・技能があると判断された、研修中の従業員が検査を行ったとのこと。

似たような事例を思い出します。

医学部の卒業試験には合格して、しかしまだ<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-897.html" target="_blank" title="医師免許">医師免許</a>を取得していないうちに働いていた、研修医時代を。

私は昭和60年の4月から大学病院で働き始めましたが、医師として認められる医籍登録日は5月20日でした。

約1カ月間、患者の診察や検査のみならず、採血や注射から手術の助手までを、主治医として行っていました。

指導者の下で行う医療行為は、それが未資格者であっても、修練のためなので許容されていたわけです。

手術助手以外はすべて、指導医不在の場所で1人で行っていましたが、それでも指導下と見なされました。

外科医が一人前になる過程で、未経験の術式の執刀をひとつひとつ経験していくことも、似たようなものです。

ベテラン外科医ではなく未熟な医師が執刀をすることは、患者の利益だけを考えたら、問題があります。

サポートについている指導医がカバーしきれないヘマを、若手医師が術中にやらかす危険は、常にあります。

それでも外科の世界では、あえて若者に手術をさせます。次世代の外科医を育てるためには、必要だからです。

似たような感覚で、自動車会社でも若手に検査を任せていたのかもしれません。たぶん、悪気は無いのです。

人手不足も原因のひとつでしょうけど、それは医師も同じ。たとえ無資格であっても病院に必要な戦力です。

無資格者が検査したから全車リコールだというのは、潔い態度ですが、本当にそこまで必要なのでしょうか。

それよりも、品質データを改ざんして不良品を出荷した神戸製鋼所の方が、はるかに悪質で問題です。

日産やスバルの対応を考えたら、神戸製鋼製の部品を使った車や列車や航空機だって、全部リコールでしょう。