謝罪しながら反論する愚

国会閉幕を受けて、記者会見した安倍首相。謝罪はしましたが、まだ不十分。ていうかほぼ逆効果でしたね。

とくに残念に思ったのは、次の発言です。

「印象操作のような議論に対してつい強い口調で反論してしまう私の姿勢が、政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省している」

反省して謝罪しているはずなのに、「印象操作のような議論」をふっかけられたと、自己弁護している点です。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1369.html" target="_blank" title="謝罪するとき">謝罪するとき</a>は、見苦しい言い訳をすべきではありません。ひたすら誠実に謝るのみです。

ところがそれが出来ない安倍首相を、これまでに何度も目にしてきました。

たぶん、ひどい負けず嫌いなのでしょう。一方的に謝罪するだけでは、自分のプライドが傷つくのです。

そんなプライドが邪魔をして、結果的に自分の品格を下げていることには、気付いていないようです。

「つい反論」する姿も、よく見かけます。これも理由は同じこと。

もっと悠然と構えたらどうですか。ヤジを飛ばす総理大臣の姿など、みっともなくて見られたもんじゃない。

ムキになって反論するところは、トランプ大統領によく似ています。まさにあのレベル。

東京オリンピックまで続くだろうと思ってた安倍政権ですが、だんだん厳しくなってきましたね。

信念を持って、大きな事を成し遂げようとしてるんでしょうけど、何をやってもその、プロセスが悪すぎです。

漢方薬とドーピング

風邪の初期症状の方には、漢方薬の「葛根湯」を処方することが、ときどきあります。

飲みやすい液状の薬も市販されているようですが、私が処方する場合にはいつも、ツムラのエキス顆粒です。

このような「○○湯」という名称のエキス製剤は、熱湯に溶かしてすすって飲むのが正しい作法です。

漢方薬には製品番号があります。ツムラでもクラシエでもコタローでも、同じ薬の番号は基本的に共通です。

そして葛根湯には、栄誉ある1番が付けられています。漢方薬のホームラン王みたいなものでしょうか。

いったい何番まであるんだろうと調べてみると、それが必ずしも連番ではなく、3000番台もあったりします。

妊婦さんや授乳中の方が風邪を引いたときは、最小限の薬を処方することになります。

うがい薬と解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)だけだったり、去痰剤を加えたりする程度です。

臨床所見や迅速検査等から細菌感染が疑われるときなどに限り、抗生剤を処方することもあります。

葛根湯は、妊婦さんの長期間内服はお勧めできませんが、授乳婦の方にはよく出します。乳腺炎にも使います。

市販の総合感冒薬には抗ヒスタミン薬が入っていることがあり、眠くなるので運転等には注意が必要です。

最近、薬物による意識障害や眠気が原因で重大な交通事故が起きたケースが、よく報道されます。

飲酒運転と同じで、運転することがわかっている人にその薬を処方した場合には、責任が問われかねません。

そのような患者さんには、眠くなる成分の薬は除外し、それこそ葛根湯などを処方するのがよいでしょう。

しかし先日当院に、あるスポーツ選手が来院した際には、逆にその葛根湯が処方できませんでした。

葛根湯に含まれている成分である麻黄(エフェドリン)は、ドーピング禁止薬物に指定されているからです。

スポーツの場合、眠くなるよりも興奮させる薬の方が問題のようです。

ハイブリッド車に乗る

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1984.html" target="_blank" title="ハイブリッド車">ハイブリッド車</a>なんて、いまどき珍しくもありませんが、遅ればせながら私は最近、初めて運転しました。

愛車の点検修理の間の代車です。2泊3日ほど借りていましたが、結局、通勤に使っただけでした。

それでも、ハイブリッド車の乗り心地(ていうか運転し心地)は、十分に堪能できました。

モーターでスッと走り出したと思ったら、遠くでかすかなセルの音がして、こっそりとエンジンが始動します。

その引き継ぎがまた、よくできてますね。モーターとエンジンの共存具合は、もう十分に洗練されています。

走り出す時には、モーターならではの太いトルクを低速域から感じます。

出足に少しショックを感じるので、スムーズさという点ではやや難ですが、街乗りには適した特性ですね。

もちろん、音が静かなことは格別。早朝の出勤時には、モーター単独モードで音も無く動き出せるのもいい。

ハイブリッド車なんて、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-35.html" target="_blank" title="過渡期の車">過渡期の車</a>だと思っていましたが、どうやら私の思い違いのようです。

将来(未来)は電気自動車が主流になるとしても、しばらくの間は、ハイブリッドが君臨するかもしれません。

しいて言うなら、低回転域のトルクは維持しながらも、出足のあのショックだけは上手に消してもらいたい。

さて、その代車を返却し、元の自分のガソリン車に乗って驚きました。走り出しがヌラっと遅いのです。

発進時のトルクはモーターの圧勝ですね。次に買うなら、ハイブリッドか?(それともEV?)

最期の瞬間の映像

ロンドンのビル火災は、逃げ遅れて高層階から飛び降りる人が多数いたと報じられました。痛ましい話です。

その瞬間がカメラで撮影されたかどうかは知りませんが、そんな映像をニュースで使うべきではありません。

報道するのはその事実だけで十分。ことさらに悲惨な映像をテレビで放送する必要はありません。

東日本大震災のとき、NHKの中継で津波から逃げる人々や乗用車の映像を見ました。

しかし、その車が津波にのみ込まれるシーンはありませんでした。被害者や家族の心情を気遣ったものです。

人が絶命したと思われる最後の瞬間は映さない。それがNHKの方針だと、後に聞いたような気がします。

さて先日の、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2076.html" target="_blank" title="東名高速での事故">東名高速での事故</a>。ドライブレコーダーのあの衝撃的な映像も、よく考えれば問題です。

対向車線から飛んでくる乗用車の中には、それを運転していた医師が乗っているわけですから。

医師の死因は病死ではなく、バスに激突した衝撃で圧迫死(おそらくは即死)したと考えられています。

あの映像に医師の姿こそ映っていませんが、医師がまさにいま死亡する最期の瞬間をとらえたものです。

空中を舞う車内で、いったい何を思っていたのか。その62歳の医師の最後の数秒間を思うと、心が痛みます。

ところがその最期の瞬間を、何度も何度も映すテレビ。その無神経さはどうなんでしょう。

そもそも、あのドラレコ映像は捜査関係者が見とけばよいものであり、誰がマスコミに渡したのか。

いちど公開された映像は、誰かが複製し、ネットに流し、もう永久に消えることはありません。

そもそも

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2062.html" target="_blank" title="加計学園">加計学園</a>」問題では何がいったい真実なのかは、私にはまったくわかりません。

ただ言えることは、政治家や官僚には誠実(素直)じゃない人が多い、ということでしょうか。

再調査で出てこなかった文書は、追加調査によって見つかったのであって、再調査自体は適正だったと。

自分の非や問題点を本心では認めているからこそ、そのような屁理屈で言い逃れしようとするわけです。

官僚や副大臣はもちろんのこと、さらにその上の官房長官や首相までが、まことに見苦しい詭弁の毎日。

政治家が、その信念と良心によって大局を見据えて行動するのであれば、私は細かい文句は付けません。

だからそうであるなら、政治家はつまらないウソをついたり言い逃れたりしないでほしい。

「テロ等準備罪」法案では、その適用要件について、大臣や首相の答弁が二転三転してきました。

「そもそも罪を犯すことを目的とする集団でなければならない」と1月に述べた安倍首相が、翌月には、

「オウム真理教は当初は宗教法人だったが犯罪集団に一変したので適用対象となる」と答弁しました。

この答弁の趣旨は理解できます。集団の性格が、途中からガラッと変わることだってあるでしょう。

本質的には別の団体になったのであれば、その団体はもはや、そもそも罪を犯すのが目的なのです。

ところが、です。首相の1月と2月の答弁が食い違うことを民進党議員に指摘され、首相が言い訳をします。

「『そもそも』の意味を辞書で調べたら『基本的に』という意味もある」と。

「そもそも」という言葉の使い方なんてどうでもいいのに、ムキになって言い訳するから墓穴を掘るのです。

記者や学者や一般人が、あらゆる辞書を調べ、「基本記に」の意味がないことを確認することとなりました。

ぞろぞろ投票の不思議

「テロ等準備罪」を新設する「改正組織犯罪処罰法」が、徹夜審議の末、今朝参議院で可決・成立しました。

さて、久しぶりに国会のインターネット中継(録画)を眺めてみましたが、おかしな流儀があるものですね。

【参議院本会議】昨日午前10時より

まず6つの法律案は、委員長の報告を受けて「押しボタン式」投票での採決が行われました。これは合理的。

ところが「国務大臣山本幸三君問責決議案」の段になって、おかしなことが始まります。

「議事における発言時間は趣旨説明については十五分、討論その他については一人十分に制限することの動議」

なるものが提出され、しかも、「表決は記名投票を持って行われたいとの要求」が出されたのです。

議員がぞろぞろ歩いて投票する作業が始まりました。点呼・投票・計算から議長による結果宣告まで約13分。

重要法案の採決ならともかく、こういう枝葉末節な動議は、ちゃっちゃと押しボタンで採決したらどうなの。

動議の可決後にようやく趣旨説明と討論が行われ、またぞろぞろと記名投票。当然ですが決議案は否決ですよ。

結果の見えていることに、2度もぞろぞろ投票するバカらしさ。そうこうするうちに、昼になり休憩。

【参議院本会議】昨日午後6時21分より

こんどは「法務大臣金田勝年君問責決議案」からです。

まず例の、発言時間を制限する動議。ぞろぞろ投票。可決。決議案の趣旨説明と討論。ぞろぞろ投票。否決。

いよいよ「改正組織犯罪処罰法の中間報告を求めることの動議を議題にすることの動議」が提出されます。

ぞろぞろ投票が行われ、可決。

つづいて「議院運営委員長山本順三君解任決議案」です。

さっそく、発言時間を制限する動議。ぞろぞろ投票。可決。決議案の趣旨説明と討論。ぞろぞろ投票。否決。

結局、本筋の討論に入らないまま、議長は「本日はこれにて延会する」と宣言。午後9時42分。

疲れたので、以下駆け足で。

昨日午後11時32分に、衆議院本会議に緊急動議「安倍内閣不信任決議案」が提出され、そのまま延会。

翌日未明から、衆議院本会議での審議がおこなわれ、午前1時36分に記名投票により、決議案は否決。

それを受けて、参議院本会議で、「改正組織犯罪処罰法」に関する審議が始まりました。

流れは同じ。以下同文です。最終的に「改正組織犯罪処罰法」の表決は、今朝7時46分。

議員の皆さま、お疲れさんでした。でも、よく歩きましたね。良い運動にはなったでしょう。

医療機関の口コミサイト

医療機関は、限られた事項以外の広告が禁じられており、おおっぴらに宣伝できないことになっています。

ただしホームページは例外。検索して閲覧するものなので広告とは扱わない、というのが医療法上の解釈です。

だから医者は、自院の詳細な紹介や実績やお知らせや自慢話を、何でもホームページに書いているのです。

あるいはまた、診療とはあまり関係のない医師の個人的な思いなども、ブログに書いたりするわけです。

しかし先週、医療法の改正法案が参院本会議で可決・成立し、今後はウエブサイトも規制が始まりそうです。

広告ではないという解釈は、今回の改正でも変わりませんが、いきすぎた表現を規制しようというわけです。

現行の医療法でも、バナー広告や費用負担による検索結果の上位表示は、広告と解釈されるそうです。

じゃあ、食べログのような、第三者によるランキングや口コミなどは、広告にはならないのでしょうか。

いや食べログだって、店側が評価者を接待したりするわけだし、客観的な評価とは考えない方がよいでしょう。

ネット情報を鵜呑みにしてはならないというのは常識です。医療機関の口コミサイトだって怪しいものです。

あのクリニックは良かったとか悪かったとか、その個人的意見にどれほどの統計学的意味があるのか。

などとは思いながらも、間違った情報や誤解に基づく口コミを書かれたら困ります。

そこで「つるはらクリニック」で検索して、各サイトの口コミをチェックしてみました。以下、表示順です。

【カルー】 口コミ3件。最新のものは約2年前。これじゃ、あまり役に立ちそうにありませんね。

【病院なび】 口コミ0件。情報更新日2012年4月。ナビできてないじゃん。

【お医者さんガイド】 口コミ0件。話になりません。ガイドする気あるの?

【マイクリニック】 口コミ1件。しかも2009年1月。オーマイガッ。

【ベネッセ ウィメンズパーク】 口コミ16件。でも最新は2年前のもの。メジャーなサイトと思ってたのに。

【くまもと医療ナビ】 熊本県のサイトなので、口コミ欄自体がない。

【エストドック】 口コミ0件。

【スクエル】 口コミ欄なし。けっこう詳しいサイトなのに。

【エキテン】 口コミ0件。

(以下省略)

こう言うと怒られるかもしれませんが、ほとんどのサイトが作っただけ。有効に活用されていません。

正義のウイルス

「正義のウイルス出現」という見出しに、思わず見入ってしまいました。IT系の記事です。医療系じゃなくて。

機器に感染して乗っ取り、他を攻撃するための踏み台にするようなものを「邪悪なウイルス」としましょう。

狙ったサイトをDDoS攻撃などして、使えなくするような悪事を働き、政府機関や企業や社会を混乱させます。

その邪悪なウイルスに乗っ取られるような、セキュリティーの甘いIT機器なら、いっそのこと破壊してしまえ。

それが正義のウイルスの発想なのですが、感染したが最後、その機器は永続的に使えなくなるそうです。

ある正義のウイルスを作った人物は、それを「インターネットの化学療法」だと表現したとか。

大きな被害を防ぐためなら、多少の副作用はやむを得ない、ということなのでしょうか。

江戸の「火消し」を思い出しました。彼らの消火方法は、火事場周辺の家屋の破壊(破壊消防)です。

大火を防ぐためならば、延焼しそうな民家をあらかじめ壊しておくのもやむを得ない、というわけです。

例の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2051.html" target="_blank" title="ランサムウエア">ランサムウエア</a>に感染したIT機器も、犯人に金銭を支払ってデータを復旧するべきかどうかは疑問です。

そんな脆弱な状態なら、大きな悪事の踏み台にされる前に、いっそ初期化してしまうべきかもしれません。

もちろん、データは常にバックアップしておく(またはクラウドに置く)のが、前提条件ですけどね。

初期化して、OSをインストールして、環境を再構築して、ソフトを1つずつ入れて、最後にデータを戻す。

もともと私は、そんな<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1777.html" target="_blank" title="初期化作業">初期化作業</a>が好きです。書斎は片付きませんが、Macの中はいつも片付いています。

武田薬品吹き飛ぶ

武田薬品の関連の方、すみません。比喩的表現です。他意はありません。日経記事にそうあったので。

Amazonの株価が急落し、武田薬品の時価総額に相当する4兆4千億円が一瞬で吹き飛んだと、そんな話です。

昨日の米株式市場での出来事。「フラッシュ・クラッシュ(瞬間急落)」というそうです。

Appleの次期iPhoneの発売延期の予測に、コンピュータの自動取引アルゴリズムが反応したのが原因とか。

先日ご紹介した「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2073.html" target="_blank" title="WWDC 17">WWDC 17</a>」は、予想どおりかそれ以上の発表内容に、Appleファンは好意的でした。

しかし次期iPhoneの話は登場せず、私のApple製品購入アルゴリズムにも、少々乱れが出始めています。

これまで毎年9月に発表されてきた新型iPhoneが、今年は2カ月ほど遅くなるとの情報です。

前からそんな噂はありましたが、具体的な情報が流れたせいで、ともかくAmazonの株価が急落したわけです。

自動取引アルゴリズムは、商売敵Appleのネガティブ情報でも、Amazonにプラスとは評価はしないようです。

次期iPhoneは、有機ELディスプレイの製造が遅れていると噂されています。

それなら大丈夫。少しぐらい待ちますから、画期的な製品を、完璧な完成度で発売してほしいものです。

毎年iPhoneを新型に買い換えている私としては、もう少し発売間隔をあけていただければ、助かるのですが。

受動喫煙させる罪

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2063.html" target="_blank" title="受動喫煙">受動喫煙</a>の規制強化における「厚労省 vs 自民党」という構図は、「清廉 vs 醜悪」にも見えてきます。

「サンドバッグになるつもりで党と話し合いを進める」と語る塩崎恭久・厚労相は、まことに頼もしい。

最近の日経に出ていた、塩崎氏の発言内容を書き並べてみると、説得力があります。

・受動喫煙被害で年間1万5千人が亡くなり、医療費も3千億円以上かかっている。

・職場の送別会や接待などで、自らの意思とは関係なく喫煙の店舗に行く人を守らねばならない。

・自民党側が求める広範な例外を東京に当てはめると、85%以上の飲食店が例外扱いになる。

・海外から来る人は受動喫煙対策に慣れている。おもてなしを考えれば原則室内禁煙という線は譲れない。

しかし私に言わせれば、厚労省案ですら手ぬるい。この際、受動喫煙させる行為を違法としたらどうか。

だって、タバコの煙はある意味、毒ガスです。それを他人に吸わせるのは「危険喫煙致死傷罪」でしょう。

すべての飲食店を禁煙にする必要はありません。禁煙店か喫煙店か、その二択を明確にすればいい。

そして喫煙店で、非喫煙者を雇用したり非喫煙者を入店させたら、店主が罰せられる。それでどうですか。

喫煙店に非喫煙者を入れないよう、店主に義務づけるわけです。入れたら営業停止です。

一方で禁煙店には、タバコや喫煙道具を持ち込んだだけでも罰せられます。「タバコ等準備罪」です。