日本脳炎ワクチンの流通は、最近ずっと綱渡りの状態でしたが、ついに深刻な品不足に陥りそうです。
昨日から報じられているように、最大の原因は化血研問題ですが、いろいろな事情が重なった不幸な事案です。
(1)乳幼児へのワクチン接種の拡大
定期接種の対象年齢は0歳6カ月からですが、推奨接種年齢は3歳からとなっていました。
しかし乳幼児の日本脳炎発症例を受けて、小児科学会が、0歳6カ月からの接種の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1607.html" target="_blank" title="キャンペーン">キャンペーン</a>を行いました。
そのために、0歳から3歳の子どもが一斉に、日本脳炎ワクチンの接種を開始することになったわけです。
(2)北海道でのワクチン接種
40年以上北海道で患者が発生していないことなどを理由に、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1046.html" target="_blank" title="北海道">北海道</a>では定期接種が行われていませんでした。
転居や旅行など人の移動を考慮すれば、北海道の子どもたちもワクチンを接種しておくべきなのは当然のこと。
昨年度からようやく、北海道でも「悲願の」日本脳炎ワクチンの定期接種が開始されたところでした。
接種機会を逸していた子どもたちへの救済(キャッチアップ)も含めると、接種対象者はかなり膨らみます。
(3)化血研の不祥事と震災
不祥事問題で、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1557.html" target="_blank" title="出荷が停止">出荷が停止</a>され、ようやく再開を許された矢先、震災で工場が被災しました。
復旧後に製造を開始したものの、ワクチンが出来上がって出荷できるまでには1年半ほどかかるそうです。
在庫分の出荷を細々と続けてきましたが、それもほぼ底を突いた状態。ちょうど今がそういう状況なのです。
厚労省は、ワクチンが不足しているとは決して言わず、偏在しているのなら是正せよ、と言っています。
そんなお役人の責任逃れ発言を真に受けて、薬品卸による供給制限が今日から始まりました。
夏場は日本脳炎ワクチンの接種が増えますが、果たしてワクチンは足りるのか(たぶん足りない)。