生後6カ月の赤ちゃんが、ハチミツを食べて「乳児ボツリヌス症」を発症し、死亡しました。
問題のひとつは、「乳児にハチミツを与えてはいけない」ということが、いまの日本人の常識かどうか、です。
(1)常識、(2)なんとなく、(3)聞いたことない
ボツリヌス菌の感染による症状は、菌が産生する毒素「ボツリヌス毒素」によって引き起こされます。
たいていは、食品の中で菌が増殖して多量の毒素を産生し、それを毒素ごと食べて発症する食中毒です。
学生時代には「いずし」で起きる食中毒だと習いましたが、大きな被害が出たのは「からしれんこん」です。
空気に触れないように発酵させたり、食品を真空パックすることが、ボツリヌス菌を増殖させやすいようです。
乳児では、比較的少量の菌を摂取しても、未成熟な腸管内で菌が増え、それが毒素を出して発症します。
80年代にハチミツが原因の事例が相次ぎ、「乳児にハチミツを与えてはいけない」ことが常識になりました。
おかげで90年代の乳児ボツリヌス症のほとんどが、ハチミツ以外の食品によって起きています。
それから20年以上を経て、世の中全体のハチミツに対する警戒が、緩みつつあるのかもしれません。
いまの若い親には、「乳児にハチミツを与えてはいけない」ことが、常識ではなくなりつつあるのでしょうか。
「クックパッド」で「離乳食 はちみつ」で検索したら、147件のレシピが出てくると、ネットで話題です。
実際には、1歳以上限定とする注意書きも見受けますが、それにしても、誤解を招きかねない情報です。
死亡するのは稀な疾患ですが、今回の赤ちゃんは、ハチミツを食べなければ死なずに済んだことは確かです。
この件は詳細に報じて、「乳児にハチミツを与えてはいけない」ことを、世の常識にしなければなりません。