百日咳の予防

NHKが昨日のニュースで取り上げたので、このタイミングで百日咳の問題を書いておきます。

百日咳は、赤ちゃんが罹ると命の危険にさらされるほど重症になるので、ワクチンで必ず予防すべき疾患です。

生後3カ月から接種を開始できる「4種混合ワクチン」の中に、百日咳ワクチンが組み込まれています。

その「4種」とは、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つ。それぞれ重篤な疾患です。

このうち百日咳以外の患者さんには、私はこれまでに一度もお目にかかったことがありません。

一方で百日咳は、ときどき当院を受診する成人の患者さんがいます。大学生などの間で流行したりもします。

百日咳は、乳幼児期にワクチンを接種しても、その効果が長続きしないのです。

NHKの番組では最短で4年だと言ってましたが、長くみても12年ぐらいで免疫が切れると考えられています。

したがって中高生、そしてすべての成人が、百日咳に罹るリスクがあるわけです。

ただ、大人が罹ると、咳はしつこいけど熱がないので、ただの風邪だろうと思ってしまうのが問題。

そんな大人が、もしもワクチン未接種の赤ちゃんに接触したら、大変なことになります。

このような悲劇を防ぐためには、成人を含めて全員が、免疫を維持する必要があります。

「4種」のうちのジフテリアと破傷風は、11歳から12歳が行う2種混合ワクチンで、追加免疫が行われます。

ところが肝心の百日咳は、いまの制度では追加接種が行われず、免疫切れが放置された状態です。

欧米ではすでに、その対策が講じられています。日本でも、追加接種の早期導入が求められています。

ただ、4種混合ワクチンですら、きちんと接種できていない人がいます。まずは、そっちの対策からでしょう。