将棋の第2期「電王戦」第1局では、AIの「PONANZA」が、人間の佐藤天彦名人を破りました。
羽生善治氏らを下して電王戦に出た、その佐藤氏に勝ったPONANZAは、現時点でほぼ、世界最強でしょう。
しかも、名人に勝っても成長を止める理由はなく、AIには無限の伸びシロがあることがまた、怖ろしい。
羽生氏が以前、将棋とAIの進化について対談したときのこと。
彼は「接待将棋」のことを話題にして、「接待ゴルフのような仕事は絶対なくなりませんよ」と語りました。
この対談をとりあげた記事のタイトルは、「人工知能に『接待将棋』はできない」となっていました。
まさか羽生氏の真意が、「人間はAIに勝てなくても接待将棋ができる」って情けないことじゃないですよね。
たとえAIがとんでもないレベルになったとしても、人間同士の勝負にこそ、将棋の面白さがあるはずです。
自動車という迅速な移動手段が発明されても、人は自分の足で歩き、走り、しかもその速さを競ったりします。
移動の速さで人が車と競争する意味が無いように、将棋の強さで人がAIと勝負してもしょうがないのです。
むしろAIは、そのレベルを自在に設定することができるので、人間が互角に戦える好敵手ともなり得ます。
人間と対戦しながら、そのレベルを判定して接戦や好勝負を演出することすら、AIには可能になるでしょう。
それはそれで、いいじゃないですか。少なくと、AIにとって接待将棋なんて朝飯前なのです。