プログラム書き間違い

日本臓器移植(JOT)ネットワークのシステムの不具合は、「初歩的なプログラムミス」が原因だったとのこと。

脳死患者から提供された臓器を誰に移植するか、その選定を行う重要なシステムなのに「初歩的ミス」とは。

新システム「E-VAS」は昨年10月に導入され、1月の不具合発覚までに、20例の脳死移植が行われています。

ただちに検証した結果、そのうち3例の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-802.html" target="_blank" title="心臓移植">心臓移植</a>で「あっせんに誤り」があったと判明しました。

つまり、本来移植を受けるべき3人が、適切な機会で移植を受けられなかったということです。これが大問題。

ちなみに、その20例の手術のうち3例の心臓移植を、私の出身(いまも所属)医局が実施していました。

同門の医師たちが、患者の命のために、臓器提供者の善意と関係者の期待を受けて、手術を行ったわけです。

心臓移植に失敗は許されず、彼らは通常の心臓手術よりも、はるかに強いプレッシャーを感じていたはず。

もちろん外科医だけでなく、すべての関係者が全身全霊を込めて、チームで行うのが脳死移植です。

その移植を受けるために、長い間入院して、あるいは人工心臓を装着して、患者さんたちは待機しています。

だからこそその順位は、血液型や緊急度や待機期間の長さ等を考慮して、公平・適正に決められるべきです。

過去にも相次いだあっせんミスをなくすべく開発された、最新システムが「E-VAS」なのです。

いったいどんな「初歩的なプログラムミス」なんだろうと気になって、調べてみました。

それは、最重症の状態で移植を待機している患者さんの、待機日数算出処理プログラムの部分でした。

「IF(転帰区分=A)THEN(B)」の変数「転帰区分」を、誤って「転帰名称」にしてしまったとのこと。

これにより、前段の条件が成立せず、日数計算が適切に処理できなくなったわけです。

たったその「区分」と「名称」の書き間違いでも、結果的に3名の心臓移植機会を奪った事実は重大です。

こういうシステムを作る人は、移植手術に携わる者と同じぐらいの、強い責任感を持ってほしいものです。