先輩の急逝に思う

大学の医局の先輩が、2日前に急逝されました。64歳でした。

その2日前には、長時間の心臓手術を執刀するなど、まったく普通に仕事をされていたそうです。

死因は心筋梗塞だったと聞きました。就寝中の出来事です。

このような、比較的若い年齢での突然死には、長患いの後に亡くなる場合とは異なる、怖さを感じます。

ひとつは、自分の身辺整理も、家族や職場へ何か言い残すことも、何もできないということです。

やりかけの仕事や懸案の問題に対して、まったく中途半端なことになってしまい、ひどく不本意でしょう。

残された者にもやりきれない悲しみと喪失感とショックを与え、同時に多大な混乱を引き起こします。

何も苦しまないまま突然亡くなる、いわゆる「ポックリ病」が望ましい死に方だと言う人が、昔はいました。

しかし、ポックリ病の実態は致死性不整脈による突然死の場合が多く、比較的若い方が命を落とします。

そのような死に方が、望ましかろうはずがありません。

助かる命は助けなければなりません。致死性不整脈の多くは、適切な心肺蘇生によって救命しうるものです。

最近では当たり前となった、AED(自動体外式除細動器)も、その有力な救命道具です。

当院にもAEDを設置していますが、それは患者さんのためでもあり、私のためでもあります。

そういえば、自宅にAEDが無いことが、なんだかひどく気になってきました。

もっとも、たとえ家にAEDを設置しても、いざという時に適切に使ってもらえるかどうかが問題ですけどね。

なんにせよ、日々の健康管理が第一だと、あらためて感じた次第です。