最終回を迎えたドラマ『A LIFE』は、おおむね予想通りの、つまんないけどまあ許容範囲の展開でした。
興味深かったのは、脳外科手術のシーン、とくに再手術(残存腫瘍摘出術)の方です。
まず、何がどうなってるのやら、術野的には何も見えない。ひたすら血の海の中の手術だったということ。
私はまったく専門外なので、脳外科の手術の執刀はおろか、助手についたことすらありません。
しいて言うなら、学生実習で2,3回だけ、手術見学をしたことがある程度です。
ただ、心臓手術の場合でも、深い術野のそのまた奥の方の操作では、似たような視野になります。
周囲の血液を吸引しながら、その吸引操作自体が手術の邪魔にならないようにしながら、手術を進めます。
脳外科手術は、とにかく術野確保との戦いなんだなと、このたび改めて感じた次第です。
その緊迫した手術シーンは、ほとんど術野が見えない割には、妙にリアリティーを感じました。
画像的に何も出せない代わりに、術者と助手の言葉のやりとりが、たぶん生々しかったからでしょう。
しかしこのシーンを脳外科医が見たら、はたしてどう思ったのでしょうね。
「あー、ウソ臭い」とか「そんなこと、言わんぞ」などとクレームが出るのかもしれません。
このドラマ、心臓手術の場面で細かい違和感を感じたのは、たぶん私が(元)心臓外科医だからでしょう。
一般の方から見ると、すべての手術シーンが、とてもリアルに映ったのかもしれません。
つまりそれは、本当の手術場面を知らない者が、想像を膨らませて見ているからこそのリアリティーです。
今回、脳外科手術シーンを見て私がリアリティーを感じたのも、脳外科をよく知らないからなんでしょうね。