はなみず

1週間ぐらい前から、花粉症の人が急増しています。

その多くが、ヒノキアレルギーの方です。西日本は今月、ヒノキ花粉が悲惨なほど飛散しているそうです。

花粉症のおもな症状は鼻水ですが、鼻づまりや目の痒みや、咳が出たり頭痛を起こしたりもします。

「鼻水」というのは、鼻孔から出てくる粘液(鼻汁)のことですが、単に「はな」とも言いますね。

しかし「はなが出る」を「鼻が出る」と書くのは、おそらく間違いです。「鼻から鼻が出る」となるからです。

こういう場合の「はな」には、「洟」という漢字があります。

つまり「みずばな」は「水洟」であり、「あおばな」は「青洟」が、本来の正しい表記なのでしょう。

実際には私は、カルテに「水鼻」や「青鼻」と書いています。「洟」が一般的な漢字ではないからです。

でもたしかに、水鼻は水でできた鼻じゃないし、青鼻は青い鼻梁でもないわけで、違和感はあります。

「赤鼻」との整合性もとれません。

「洟」の意味では「鼻」を使わずに、「水ばな」とか「青ばな」と、かなで書くのが良いのかもしれません。

辞書には「鼻洟(はなみず)」とか「洟水(はなみず)」なんて言葉もありました。念の入った表現です。

さらに、鼻水の意味がある漢字として「泗」の字も見つけました。孔子ゆかりの土地「泗水」の「泗」ですね。

その孔子にちなんで、熊本の合志(こうし)川沿いの村の名前が「泗水」となった話は、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-903.html" target="_blank" title="前に">前に</a>書きました。

この「泗」は、泣いたときに涙が鼻の中を通って出た鼻水の意味だとか。中国人、表現が細かいです。