インフルエンザの検査を「希望」して来院される方が、毎日何人かいます。その目的は、
(1)早期治療のために、インフルエンザかどうかをはっきりさせたい
(2)登園・登校・出勤等のために、インフルエンザではないことを確認したい
病状や状況(家族にインフルエンザがいる等)によっては、(1)の場合、必ずしも検査は必要ありません。
たとえ検査をしなくても、医学的にインフルエンザとの診断がつくことは、しばしばあります。
したがって痛い検査をしなくても、インフルエンザの治療を開始することは可能です。
問題は(2)です。迅速検査キットで「インフルエンザではない」ことを立証するのは、本当は困難です。
とくに発症したばかりの人では、(1)の目的なら検査することがあっても、(2)の目的では検査しません。
そもそも、インフルエンザの検査をするかどうかは、医学的状況等をふまえて医師が決めることです。
誰かが希望するから検査する、というわけではありません。これは、ノロウイルスなどの検査でも同じです。
ところが最近の保育園等では、インフルエンザではないという「悪魔の証明」を求めるケースが目立ちます。
迅速検査の感度は60〜80%程度ですから、インフルエンザを完全に否定することなど、理論的に不可能です。
そのような場合、私は安易に検査をしない方針です。
「検査が陰性=インフルエンザではない」という、誤ったお墨付きだけは、与えたくないからです。