世界で最も称賛される企業

フォーチュン誌の「世界で最も賞賛される企業」ランキングで、Appleが10年連続で第1位となりました。

少し前のニュースですが、いちどは書いておきます、Apple信者なので。

興味深いのは、Amazonです。2年前は4位、昨年3位と順位を上げ、今回ついに2位に躍り出ました。

昨年まで2年連続で2位だったAlphabet(つまりGoogle)が、今年は6位に転落です。

Amazonは、Googleよりもずっと勢いがあるということでしょう。いつかAppleを抜くのはコイツですね。

たしかに私も、外出して実店舗で何かを買うよりは、Amazonで買う方がはるかに多い。少なくとも回数は。

でもAmazonの強みは通販ではなく、どうやらクラウドサービスなのだということを、最近知りました。

「アマゾン・ウエブ・サービス(AWS)」は、世界断トツ1位のクラウドサービスだそうです。

ある調査によると、AWSのサービス容量は、2位から15位までのライバル企業の合計の10倍だといいます。

「クラウドならDropboxでしょ」と、少し前まではそう思っていたのですが、思い違いでした。

私にとって無くてはならない<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1113.html" target="_blank" title="Dropbox">Dropbox</a>は、実はAWSを利用して、その上でサービスを展開しているのでした。

「トラフィックがパンクしないのか?」と先日心配した<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1976.html" target="_blank" title="Netflix">Netflix</a>も、しっかりAWSを利用しているとのこと。

世界中の企業や政府機関の多くが、たとえばCIAも、やはりAWSを使っているそうです。

元々は、自社の通販のために整備したサービスが、いまや世界のクラウドサービスを支配しつつあります。

ベゾスCEOに先見の明があり、薄利多売で急速に拡大し続けているので、他の企業が追いつけないようです。

そんな展開力が、ランキング躍進の理由なんだと思います。プラットフォームを制する企業は強いのです。

プログラム書き間違い

日本臓器移植(JOT)ネットワークのシステムの不具合は、「初歩的なプログラムミス」が原因だったとのこと。

脳死患者から提供された臓器を誰に移植するか、その選定を行う重要なシステムなのに「初歩的ミス」とは。

新システム「E-VAS」は昨年10月に導入され、1月の不具合発覚までに、20例の脳死移植が行われています。

ただちに検証した結果、そのうち3例の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-802.html" target="_blank" title="心臓移植">心臓移植</a>で「あっせんに誤り」があったと判明しました。

つまり、本来移植を受けるべき3人が、適切な機会で移植を受けられなかったということです。これが大問題。

ちなみに、その20例の手術のうち3例の心臓移植を、私の出身(いまも所属)医局が実施していました。

同門の医師たちが、患者の命のために、臓器提供者の善意と関係者の期待を受けて、手術を行ったわけです。

心臓移植に失敗は許されず、彼らは通常の心臓手術よりも、はるかに強いプレッシャーを感じていたはず。

もちろん外科医だけでなく、すべての関係者が全身全霊を込めて、チームで行うのが脳死移植です。

その移植を受けるために、長い間入院して、あるいは人工心臓を装着して、患者さんたちは待機しています。

だからこそその順位は、血液型や緊急度や待機期間の長さ等を考慮して、公平・適正に決められるべきです。

過去にも相次いだあっせんミスをなくすべく開発された、最新システムが「E-VAS」なのです。

いったいどんな「初歩的なプログラムミス」なんだろうと気になって、調べてみました。

それは、最重症の状態で移植を待機している患者さんの、待機日数算出処理プログラムの部分でした。

「IF(転帰区分=A)THEN(B)」の変数「転帰区分」を、誤って「転帰名称」にしてしまったとのこと。

これにより、前段の条件が成立せず、日数計算が適切に処理できなくなったわけです。

たったその「区分」と「名称」の書き間違いでも、結果的に3名の心臓移植機会を奪った事実は重大です。

こういうシステムを作る人は、移植手術に携わる者と同じぐらいの、強い責任感を持ってほしいものです。

忖度と日本人

土壌汚染がからむ土地取引問題。ニュースをちょっと聞いただけでは、森友か豊洲か判別が難しいこの頃です。

とくに森友問題では、最近やたらと目立ってきたキーワードがありますね。

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1740.html" target="_blank" title="忖度">忖度</a>」

「そんたく」だけでなく、「じゅんど」とも読むらしい。他人の心をおしはかること。

今年の流行語大賞はこれで決まり、とまで言われてます。語呂がいいし、ようやく漢字にも慣れました。

現時点では「頭高型」アクセントですが、そのうち「忖度すんじゃね?」などを経由して「平板化」しそう。

「忖度民族」

日本人の気質なのか、多くを言わずとも気持ちが伝わるので、政治や行政など多くの局面が忖度だらけです。

「過剰忖度」

忖度されたことがむしろ迷惑。余計なお世話と感じる忖度。首相はいま、この立場を貫いていると思われます。

「忖度殺し」

された側が世間に批判されるような露骨な忖度をして、相手を窮地に追い込む手法。「ほめ殺し」の類義語。

「忖度勘定」

見返りを求めない忖度など、たぶん無いでしょう。いつか自分の利益につながると思って、忖度するのです。

「博多忖度」

とくに福岡における忖度のこと。大型連休中の祭と混同されやすい。

ブログ2000本

気がつけば、当ブログは通算2,000タイトルを超えていたので、少し振り返ってみました。

URLで見ると昨日は「blog-entry 2001.html」となっていますが、欠番があるので、昨日が2,000本目です。

前半の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1001.html" target="_blank" title="1,000タイトル">1,000タイトル</a>を書くのに6年と1カ月を要しましたが、後半の1,000本は2年9カ月でした。

前半は、1本あたり平均644文字に対して、後半は741文字と、文章がやや長く(くどく?)なっています。

合計で約138万文字でした。文庫本1冊が10万字程度ということからすると、全13巻を超える巨編です。

いやブログなど、たかだか1日数百字ですが、おそらくカルテの分量は、その数十倍でしょう。

問診内容などは、スタッフが入力してくれたりしますが、ミニカルテ用の説明文などが、結構長いのです。

もっとも、電子カルテの文章は、フォームを埋めたりコピペする部分も多く、全部手打ちではありません。

それでもざっと見積もって、私は毎日少なくとも2万字前後の文章を書いていると思われます。

かつて、手首や指の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-21.html" target="_blank" title="腱鞘炎">腱鞘炎</a>でひどく苦しんだ時期がありました。原因はマウスの野郎です。

そこでマウスの使用をやめてトラックパッドに代えたら、ウソのように楽になりました。

クリックにある程度の力が必要なマウスとは異なり、トラックパッドのタップにはほとんど力が要りません。

そのことに気付いて、メインの診察室のMacのみならず、院長室からも自宅からも、マウスは撤廃しました。

ネコ科(「トラ」ックパッド)がネズミを駆逐した形です(うまくない)。

先輩の急逝に思う

大学の医局の先輩が、2日前に急逝されました。64歳でした。

その2日前には、長時間の心臓手術を執刀するなど、まったく普通に仕事をされていたそうです。

死因は心筋梗塞だったと聞きました。就寝中の出来事です。

このような、比較的若い年齢での突然死には、長患いの後に亡くなる場合とは異なる、怖さを感じます。

ひとつは、自分の身辺整理も、家族や職場へ何か言い残すことも、何もできないということです。

やりかけの仕事や懸案の問題に対して、まったく中途半端なことになってしまい、ひどく不本意でしょう。

残された者にもやりきれない悲しみと喪失感とショックを与え、同時に多大な混乱を引き起こします。

何も苦しまないまま突然亡くなる、いわゆる「ポックリ病」が望ましい死に方だと言う人が、昔はいました。

しかし、ポックリ病の実態は致死性不整脈による突然死の場合が多く、比較的若い方が命を落とします。

そのような死に方が、望ましかろうはずがありません。

助かる命は助けなければなりません。致死性不整脈の多くは、適切な心肺蘇生によって救命しうるものです。

最近では当たり前となった、AED(自動体外式除細動器)も、その有力な救命道具です。

当院にもAEDを設置していますが、それは患者さんのためでもあり、私のためでもあります。

そういえば、自宅にAEDが無いことが、なんだかひどく気になってきました。

もっとも、たとえ家にAEDを設置しても、いざという時に適切に使ってもらえるかどうかが問題ですけどね。

なんにせよ、日々の健康管理が第一だと、あらためて感じた次第です。

まだ視聴しています

クリニックの待合室のテレビは、通常、子ども向けのアニメ番組にしています。

以前は「カートゥーン・ネットワーク」という、アニメを放映しているチャンネルに合わせていました。

クリニック2階の多目的室(予防接種後などにしばらく過ごす部屋)では、テレビ放送などを流していました。

このたびその両方を、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1974.html" target="_blank" title="Netflix">Netflix</a>に切り替えることにしました。が、どうしても解決しないトラブルが発生です。

アニメなどを連続再生していると、突然再生が停止して、「まだ視聴していますか?」と表示されるのです。

1話ずつ再生している場合には、問題は起きません。延々と自動連続再生しているときにアラートが出ます。

番組のつけっぱなしで、ネットの<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1976.html" target="_blank" title="トラフィック">トラフィック</a>がムダに占有されることを防ぐための仕組みなのでしょう。

再生操作等が何もなされずしばらく経つと、いったん再生が止まり、視聴中かどうか確認する設定のようです。

おかげで連続再生の途中で何度も、当方がまだ視聴している旨を、Netflixに返答しなければなりません。

そもそも、BGM的にストリーミングビデオを放映すること自体が、間違っているのかもしれません。

世の中がみな、このようなトラフィックの無駄遣いをし始めたら、ネットがパンクしてしまうでしょう。

それにしても、世界で9400万人が利用しているというNetflixの映像が、いつも安定しているのには驚きます。

どうやらその映像コンテンツは、世界中に配置されたサーバーに蓄積されているそうです。

日本国内にも複数のサーバーがあるので、コマ落ちなく高画質の映像を見ることができているのでしょう。

ただし、ずっと見ていると「まだ視聴していますか?」と表示されて再生が途切れるのは、いただけません。

「金沢宣言」

日本循環器学会(通称「日循」)は、金沢で先週開催した学術集会で、「金沢宣言」を採択しました。

「脳卒中と循環器病の多くは生活習慣の改善で予防できる」ということを、あらためてアピールしたものです。

金沢宣言に異を唱えるわけではありませんが、ふと、生活習慣の「改善」って何だろう、と思いました。

おそらく、結果として生活習慣病につながるような生活習慣が、「悪い生活習慣」なのでしょう。

そしてそのような生活習慣をしないように改めることが、「生活習慣の改善」なのでしょう。

しかし生活習慣の悪い部分を改善すると言うのは簡単ですが、その方法はケースバイケースです。

私は何年も前から<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1904.html" target="_blank" title="1日1食">1日1食</a>ですが、この方法を開始して減量できたので、私には悪い習慣とは思っていません。

運動によって体重が減って活気が出てくる人もいますが、食事制限がストレスになる人もいます。

生活習慣を改善するように言い続けてると、ついに当院に通院されなくなる方も、稀ですがいらっしゃいます。

将来、心臓病や脳卒中になったら困りますが、その予防がストレスになってもいけません。

重要なのはモチベーションでしょう。私の経験上、適度な具合の「成功体験」が必要だと思います。

何を指標にして、ゴールをどこに置くか。そのペース配分と適切な評価が、医者の務めかもしれません。

証人喚問で独演会

森友学園のホラ吹きオッサンの発言に、日本中が翻弄されているのか、それともまさか、真実なのか。

証人喚問と言えば、「記憶にありません」と繰り返して偽証罪をかわすのが、常道だと思っていました。

ところが今回に限っては、この機会を利用して言いたいことを言いまくるという、まさに逆転の発想です。

「虚偽の発言をすれば偽証罪に問われる状況での証言だから真実のはずだ」という理屈があります。しかし、

「虚偽の発言をすれば偽証罪に問われる状況での証言だから真実と思わせるには絶好の状況」とも言えます。

真実が何なのか、私にはわかりません。真相を知っているのは、当事者のみです。

どちらか一方が真実を述べ、他方が虚偽を述べているのか、どちらも虚偽なのか、それすらわかりません。

わからないのに何時間もテレビを見て、視聴率が16.1%だそうですから、日本も平和な国です。

もっと大事な、北朝鮮問題やら何やらよりも、ホラ吹きオッサンの独演会の方が、ちょっと面白いのです。

主役に代わって今日は、脇役たちが登場しましたが、まったく官僚的返答に終始するのみで、面白くない。

かといって今後、女優の登場もなさそうな気配。

首相案件だから忖度したとかしないとか、証明のしようもないし、日本全体からしたら小さな話ですよ。

それなのに首相が先日、自分か夫人が関与していたら国会議員を辞めるなんて言うから、みんなが食いつく。

もうアホらしいので、このへんで幕にしてほしいものです。

便利なのに不便な配合剤

血圧を下げる薬(降圧剤)は、作用機序の異なる薬を組み合わせることが多いので、配合剤が花盛りです。

配合剤(配合錠)とは、別々の薬剤の成分を混合して1錠にしたものです。

薬AとBを飲んでいる人が、両方の成分を含む薬ABに切り替えれば(A+B→AB)、錠剤の数を減らせます。

薬効としては、A+B=AB、なのに、薬価的には、A+B>ABとなる場合が多く、配合剤は便利な薬です。

薬Aで血圧の下がりが悪い方に対して、薬Bを追加する代わりに、薬AをABに切り替えるやり方もあります。

A→A+B、とせずに、A→AB、としてしまうことで、錠数を増やさずに成分だけ増やせるわけです。

このように、錠剤数を増やさずに薬効を強めることができるのは、配合剤の重要なメリットなのです。

以前紹介した「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1875.html" target="_blank" title="ミカトリオ">ミカトリオ</a>」は、日本初の3成分配合の降圧薬。A+B+C→ABC、の薬です。

ここでAはテルミサルタン80mg、Bはアムロジピン5mg、Cはヒドロクロロチアジド12.5mgとします。

問題なのは、ミカトリオには面倒くさい「用法・用量に関連する使用上の注意」があること。すなわち、

(1)A+B+Cを8週間以上継続した後、ABCに切り替える

(2)AB+Cを8週間以上継続した後、ABCに切り替える

(3)AC+Bを8週間以上継続した後、ABCに切り替える

のいずれかのパターンしか、認められていないのです。

A+B→ABCとか、AB→ABCのように、薬を強めながらミカトリオに切り替える、ということができません。

しかも、切り替え前に血圧が安定していたことを、血圧測定値とともにレセプトに記載しなければなりません。

ミカトリオは、患者さんと製薬会社には喜ばれたとしても、処方医には使いにくい、面倒な薬なのです。

読めるけど書けない

「残念ながら、すべての字を忘れました。ひらがなさえも忘れました」

豊洲移転問題を検証する都議会百条委員会で、石原慎太郎元都知事が、衝撃の告白です。

冒頭で宣誓書を読み上げておきながらこの発言ですから、なんじゃそりゃ、なのですが、あり得る話です。

つまり石原氏は、脳梗塞の後遺症によって、文字を読めるけれども書けない、という状態だというわけです。

言葉が話せない、人が言ってる意味がわからない、字が読めない、字が書けない、それぞれ別の障害です。

「話す」「聞く」「読む」「書く」という能力の中枢が、それぞれ大脳の別の部位にあるからです。

脳梗塞の場所と範囲によっては、それら複数の機能が同時に障害されたり、一部だけだったりします。

石原氏には「書く」能力がなくても、ワープロを使って、書けないはずの文字を書くことができるようです。

重要なのは、書いたものを「読む」能力。自分が書いた文章を読み、推敲・修正しなければならないからです。

人間は、「書く」よりも「読む」能力が失われた方が、はるかにダメージが大きいように思えます。

それにしても、石原氏はどうしてこのタイミングで、自分の「障害」をカミングアウトしたんですかね。

脳梗塞後遺症という病状を前面に押し出して、喚問者が攻撃をしにくくなるのを狙ったのでしょうか。

弁護士の入れ知恵かもしれませんが、まあ、障害があることが事実なら、これは致し方ない。

ただあの場で、字が書けないことをことさらに言う必要は、なかったのでは。