リレンザで異常行動

インフルエンザ治療薬「リレンザ」を吸入した中学生が、マンション4階から転落死する事故が起きました。

中学生が、自室の窓から飛び降りるという異常な行動を起こしたようです。ご冥福をお祈りします。

従来から「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1903.html" target="_blank" title="タミフル">タミフル</a>」が原因かと疑われている異常行動ですが、このようにリレンザ吸入後でも起きるのです。

さらに言うなら、別のインフルエンザ治療薬「イナビル」吸入後でも、同様の事故は報告されています。

私を含む多くの医師は、インフルエンザそのものが、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1156.html" target="_blank" title="異常行動">異常行動</a>の原因と考えています。

しかしインフルエンザではすぐにタミフルを処方するので、異常行動がタミフル内服後に起きてしまいます。

タミフルと異常行動は単なる「前後関係」なのに、そこに「因果関係」があるように見えてしまうわけです。

因果関係は立証も否定もできず、厚労省は10年前、10代へのタミフル処方を原則禁止としました。

ところがその後、リレンザやイナビル使用後の事故が報告されても、10代への処方は禁止されていません。

なぜなら、それらまで禁止すると、10代に対して使えるインフルエンザ治療薬がなくなるからです。

インフルエンザ罹患に伴う異常行動については、10年ほど前から、調査研究が行われています。

飛び降りや急な走り出しなどの危険な異常行動について、すべての医療機関が該当例を報告するものです。

異常行動前に使われた治療薬の頻度を見ると、昨シーズンは、イナビル>タミフル>リレンザ、の順でした。

近年、イナビルがタミフルを抜いて第1位です。10代でのタミフルが禁止されたので、当然の結果です。

さらに言うなら、どのインフルエンザ治療薬も使っていなかった異常行動例も、多数報告されています。

タミフルだけを禁止する根拠は、もはや失われているのに、いまだにタミフルだけが禁止され続けています。

禁止を解除すれば、禁止したことが誤りであったことを、厚労省自らが認めることになるからかもしれません。

それはともかく、インフルエンザ罹患後のお子さんは、本当に<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1507.html" target="_blank" title="注意して見守ら">注意して見守ら</a>なければなりません。

24時間監視するわけにもいかないでしょうが、少なくとも、窓が容易に開けられないように工夫すべきです。

罹災証明書

熊本地震から10カ月を経過しましたが、いまだにあちこちで建物の解体工事を見かけます。

熊本市は、平成30年3月までの解体撤去完了を、さらに前倒しできるように迅速化を図る、といっています。

それにしても、公費解体撤去の順番待ちの人は、最悪あと1年ぐらい待たされるというわけです。

知人や患者さんの中にも、今月ようやく解体が始まったので引っ越した、などという方が多いです。

解体の直前まで、その半壊した自宅で生活していたわけで、被害状況によっては住みづらかったことでしょう。

公費解体撤去の対象は、家屋等の被害が半壊以上と判定された罹災証明書がある方です。

幸いにも私の自宅にはそのような大きな被害はなかったので、わざわざ罹災証明はとっていませんでした。

しかし、確定申告の時期になり、やはり罹災証明をとることにしました。

住居にも家財にも多少の被害はあったわけで、この際、国税の軽減(雑損控除)を受けようかと考えたのです。

もちろん被害は軽微なので、罹災程度は「一部破損」です。

被害状況の写真と印鑑を持って、菊陽町役場に行くと、すぐに罹災証明発行担当者との面談になりました。

iPhoneで屋内の写真をいろいろ見せていると、外壁や基礎や屋上のひび割れなどなかったですか、と担当者。

外壁はどうもないですが、テラスのタイルが一部欠けましたと写真を見せると、それは基礎ですか、と担当者。

基礎ではなく、タイルですから欠けやすいのでしょうと言うと、外壁はどうでしょうか、と食い下がる担当者。

外壁など、まったくどうもありません、と答えると、いかにも申し訳なさそうに担当者がこう言うのです、

「このたびの被害ですと、一部破損ということになります」

いえいえ、その優しい姿勢はうれしいですが、もともと半壊などの過大な判定は期待しておりませんので。

予防接種と入園拒否

予防接種を受けていない園児の受け入れを拒否した、新潟市の認定こども園の問題は、私には不可解です

関係省庁が協議した結果、予防接種を受けていないことだけでは入園を拒否できない、と結論したからです。

たしかに、子どもに定期予防接種を受けさせることは、保護者の「義務」ではなく「努力義務」です。

わが子には受けさせないと親が判断すれば、接種しなくてよいのです。思想信条の自由です。

しかし状況によっては、基本的人権よりも、公共の福祉の方が優先される場合もあります。

ワクチン接種の拒絶はその子どもだけの問題ではなく、周囲への感染拡大という問題があるからです。

たとえば麻疹は感染力がきわめて強く、しかも発症する前日から、周囲への感染力があります。

発症した時点ですぐに気付いて隔離・帰宅させても、すでに感染が拡大している場合が多いのです。

MRワクチンがまだ接種できない0歳児を含む集団の中では、感染者が出ては絶対に困ります。

予防接種はその個人の感染防御だけでなく、集団全体の感染症を減らす「集団免疫」の効果があります。

1歳のお子さんがワクチンを接種することで、0歳児も守られるのです。

ワクチンの積極的勧奨を行っている国が、むざむざと感染拡大のリスクを見過ごすのには、理由があります。

感染症の危険よりも、ワクチン反対派の活動の方が怖い(または面倒)と考えているからです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1918.html" target="_blank" title="子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)">子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)</a>問題などと同じく、弱腰厚労省の体質そのものです。

毒針を使う女スパイ

某国の女工作員が、要人を毒針で殺害。まるで昔のスパイ映画じゃないですか。

私はこのニュースを聞いて即座に、映画『007 ロシアより愛をこめて』のワンシーンを思い出しました。

ホテル従業員に化けたソビエト情報局の女性が、いきなり靴の先から飛び出した刃物で蹴ってくる。

あの刃物にも、毒が塗ってあったという話です。小学生のときに見たそのシーンは、とても怖かった。

某国の独裁者は、政府の高官を次々と粛清しています。脱北者などの家族もまとめて公開処刑です。

国のナンバー2でさえ、むごたらしく処刑されました。クーデターを計画していたのが理由とされます。

そしてそのクーデター計画で担ぎ上げられようとしていた人物こそ、このたび殺害されたその人のようです。

工作員たちには、毒針が配布されていたとのこと。そのほかに、どのような凶器を携帯していたのやら。

毒の成分は何でしょうね。殺害現場の国の政府がぜひ、そのあたりを究明してほしいものです。

今回の殺害方法は毒針ではなく、毒薬を染みこませた布で顔を覆ったとも報じられています。

どちらが正しいのか、と悩む必要はありません。毒針がプランAで、毒布がプランBだったのです、たぶん。

一流の秘密工作は、用意周到なのです。ってお前、どっちの味方なんだ、と言われそうですが。

そんなことよりも、もっと重要なのは、本当に殺害されたのか、ということでしょう。

ここは死んだことにして、某国を欺き、その裏でクーデターを起こす、という反撃もアリですから。

(おことわり)

某国関係者がググって当ブログを見つけたら困るので、国名や人名の固有名詞は使いませんでした。

小心者なのです。ご了承ください。

(追記)

女スパイの「毒針」ってガセ情報、どこから出てきたんでしょうね。その後すっかり消え失せましたが。

手術は低侵襲へ向かう

ドラマ『A LIFE』は、視聴率が少し上向いたそうですが、手術シーンはどんどん減ってきています。

第5話のキーワードは、「医療ミス」と「恩師との確執」。医者モノでは普遍的なテーマです。

登場した外科用語のひとつが、「MICS(Minimally Invasive Cardiac Surgery;低侵襲心臓手術)」でした。

ドラマでは「ミックス」という言葉が連発したので、「何と何のMixなんだろう」と疑問に思われたかも。

「低侵襲」の定義は本当は難しいのですが、「傷口の小さな心臓手術」と考えても大間違いではありません。

皮膚を小さく切って筋肉や骨の切開も少ないので、術後の痛みが軽く、治りが早いのがメリットとされます。

そのかわり、狭い間口からのぞき込んで手術をするので視野が悪く、手術には時間がかかるのがデメリット。

視野の悪い手術は技術的にも難しく、したがって安全性にも多少なりとも影響するのが、懸念するところ。

しかし、心臓手術に限らず、多くの手術が小切開・低侵襲に向かっているので、これは外科の潮流でしょう。

武田鉄矢が演じる心臓外科の権威が、MICSの手術を急ぐあまりに、不完全な手術をしたという筋書き。

そんな権威が、いちいち普通のMICSを執刀し、しかもすぐ修復できそうな異常を放置するとも思えませんが。

キムタクが心エコー検査をしてました。装置はGEの「Vivid iq」ですか。良いモノ使ってますね。欲しい。

僧帽弁の逆流が中等度以上で、大動脈弁の逆流も見えました。左室が拡張し動きがひどく悪い。大丈夫か?

さて手術では、僧帽弁の逆流テストを繰り返すばかりで、肝心の僧帽弁形成術は描かれていませんでした。

このドラマの手術シーンは、マニアック路線を突き進んでいるようです。大丈夫か?

成人のMRワクチン接種

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1947.html" target="_blank" title="不足しているMRワクチン">不足しているMRワクチン</a>ですが、どうやらわずかに流通が改善しつつあるようです。

そのことを踏まえて、子どもの定期接種対象者以外への任意接種も、当院では再開することにしました。

もちろんまた需給バランスが悪化するようなら、再び接種制限を行うことになります。

あれだけ騒がれた<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1798.html" target="_blank" title="麻疹の集団感染">麻疹の集団感染</a>はいつのまにか終息したので、任意接種希望者はそれほど多くはありません。

たいていは、医療系の学生さんか若夫婦(または婚約者同士)などです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-554.html" target="_blank" title="先天性風疹症候群">先天性風疹症候群</a>の発生を予防するための、予防接種の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-606.html" target="_blank" title="費用助成制度">費用助成制度</a>は、今も続けられています。

たとえば熊本市の助成対象者は、熊本市の住民で、風疹抗体検査による抗体価が陰性(HI法で16倍以下)で、

(1)妊娠を希望している女性

(2)妊娠を希望している女性のパートナーなどの同居者

(3)妊婦のパートナーなどの同居者

このいずれかを満たす方、となっています。

「妊娠を希望」っていうのもアバウトなら、「パートナーなどの同居者」という表現もなかなか幅広い。

さらに、オカシなケースも考えられます。

抗体価が陽性の女性は費用助成の対象外ですが、その夫の抗体価が陰性なら、夫は助成の対象になるのです。

たとえ夫が風疹に感染しても妻は感染しないので、先天性風疹症候群を予防するという趣旨に合いません。

このことが先日行われた予防接種従事者研修会で質問されたところ、お役所からは珍回答が返ってきました。

「(そのケースの夫でも)風疹の蔓延を防ぐ観点から、予防接種の助成対象者として位置付けている」

つまり、夫が感染予防をすることは、妻に対してだけでなく、社会全体にとって有意義である、というわけ。

その理屈なら、抗体価陰性の市民はすべて、接種助成対象ってことになりませんか?

このさい(2)を最大限に拡大解釈して、定期接種漏れの子どもを助成対象とすることだって、アリだと思う。

井と丼と#と♯

中尾彬は「うな重」は食べず、タレがムダなくご飯に染みこむ「うな丼」を食べると、テレビで言ってました。

なるほど。でも、私はいつも「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1389.html" target="_blank" title="ひつまぶし">ひつまぶし</a>」ですけどね。

「丼」は、井戸に物を投げ入れたときの、音を意味する字だとか。「ドブン」みたいな音なのでしょうか。

大きな桃が川を漂い流れてゆく様子を「どんぶらこ」と言ったりしますが、「どんぶりこ」とも言うそうです。

医師用の某サイトに最近、「♯」と「#」の違いについての投稿が出ていました。

カルテに何かを箇条書きにするときには、昔から「#1、#2、・・・」のように「#」を行頭に使います。

紹介状に病名を記載するときも、ほぼ必ず、「#1高血圧症、#2高脂血症、・・・」のように書きます。

この「#」を「ナンバー」と読むのだと、昔先輩医師に教わりました。「井桁(イゲタ)」という記号です。

「#(イゲタ)」と「♯(シャープ)」の区別が付きにくいですが、両者は別物です。

どう区別するんだとおっしゃる方へ一句。「横線が、フラットじゃないのがシャープです」

ところで、ふと電話を見て驚きました。プッシュボタンにあるのは、明らかに♯ではなく#だったからです。

「最後に、シャープを押してください」などとアナウンスされてるボタンが、実はイゲタだったとは。

と思ってググったら、ずいぶん昔から「電話の#はシャープじゃない」というトリビアがあるようです。でも、

「最後に、イゲタを押してください」と言ったのではわかりにくい。「どの下駄ですか?」と苦情が出ます。

「最後に、シャープに似たヤツをおしてください」と言うべきなのか。いや、それでも不親切。

「最後に、シャープに似た、でも正しくはイゲタと言う名称の記号のボタンを押してください」これで行こう。

地震の時の赤ちゃんたち

熊本市民病院病・病診連携懇談会が、昨夜開催されました。恒例の会合ですが、私は久しぶりに出席しました。

今回は「熊本地震への対応と新病院再建」というテーマだったので、ぜひとも参加せねば、という思いでした。

救急部、循環器内科、新生児内科の医師と、病院長と、地元医師会長の方々の、苦労と苦悩の話が聞けました。

今日はその中で、私があらためて認識したことや驚いたことを、かいつまんで書いてみます。

(1)前震直後から地域の被災者を精力的に診療していた市民病院が、本震でいきなり被災病院になった

救急車をドンドン受け入れて入院治療していたのに、本震の直後から、全患者を退避させることになりました。

(2)深夜の本震だったが、たまたま在院職員数は多かった

準夜勤の看護師と、深夜勤の看護師との引きつぎ時間帯だったため、2勤務帯の看護師が院内に居たわけです。

ただ、深夜過ぎには帰るはずの職員が、そのまま働きづめだったとは、大変な過重労働だったことでしょう。

(3)重要な生命維持装置が林立するNICUで、医療機器が何一つ転落・転倒せず、重大トラブルがなかった

唯一、窒素ボンベが傾いたものの、赤ちゃんにつながる点滴のチューブに支えられて、倒れなかったとのこと。

ボンベが倒れ、点滴を引きちぎるようなことにならなくて、よかった。こうなると、ちょっとした奇跡ですね。

エレベーターが使えないので、患者さんたちは全員、狭い階段を使って人海戦術で運び下ろされました。

問題は、最重症の方、とくに人工呼吸中の赤ちゃんたちの移動と、その後の呼吸・循環・体温管理です。

人工呼吸器は移動できず、NICUの赤ちゃんたちには、手で何時間も人工呼吸を続けたとのこと。

保育器も使えず、赤ちゃんたちは職員が抱いて暖めたそうです。想像するだけでも、涙が出そうになります。

「積もる」のアクセント

雪のニュースを聞くたびに、どうしても気持ち悪くてしょうがないのが、「雪が積もる」のアクセントです。

NHKも民法も、示し合わせたように、私を不快にさせるアクセントで「積もる」と繰り返すのです。

その気持ち悪いアクセントというのが、「走る」や「見える」と同様に「低高低」と発音する「中高型」です。

ところが、「NHK日本語アクセント新辞典」によれば、そのアクセントが正解だと。

はい、予想も覚悟もしてました。おそらく中高型が正しいのでしょう。でも私は納得がいきません。

いったいいつから、そのようなアクセントになってしまったのか。こう思うのは私だけでしょうか。

ためしに金田一春彦の「新明解日本語アクセント辞典」を見ると、「積もる」は「平板型」じゃないですか。

これは「止まる」とか「決める」と同じアクセント。これですよ、私が納得できるのは。

ただし金田一辞典は、標準アクセントを平板型とする一方で、新しい傾向だとして中高型も並記しています。

どうやら、アクセントの「中高化」が起きているようです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1739.html" target="_blank" title="以前">以前</a>、「重い」や「赤い」のような、形容詞の中高化問題について書きましたが、動詞も同じ傾向のようです。

2014年発行の金田一に対し、NHKは2016年発行。

「積もる」はすでに、平板型から中高型への移行が、ほぼ完了したようです。残念でなりません。

名詞の平板化が進む一方で、動詞や形容詞は中高化するというのは、いったいどういう理屈なんでしょうね。

調べてみたら、昨年のNHKのフォーラムで、その理由を解説した記事を見つけました。

文末は抑揚を下げて終わる流れがあり、文末に来やすい動詞や形容詞は、最後を下げる中高化が進んだと。

たしかに日本語の文って、最後はトーンが下がって終わりますけど、理由はそれだけなんでしょうかね。

キイトルーダ登場

昨日の中医協で「キイトルーダ」の薬価が決定しました。例の「オプジーボ」と同様の、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1652.html" target="_blank" title="がん免疫療法薬">がん免疫療法薬</a>です。

100mg瓶が410,541円、20mgが84,488円と、オプジーボ同様、異常に高額な薬です。

100mg瓶が364,925円、20mgが75,100円のオプジーボよりも高いのかというと、そうではありません。

体重50kgの人において、キイトルーダとオプジーボが、同じ医療費負担になるように決められたからです。

オプジーボの用量は、体重1kg当たり3mgなので、50kgの人なら150mgとなります。

これを2週間に1回注射するので、1日薬価 (1日当たりの薬価) は、(36,4925 x 1.5)/14 =39,099.11円です。

キイトルーダの用量は、体重と無関係に1回200mg。これを3週間に1回注射します。

1日薬価をオプジーボに揃えるなら、100mg瓶の薬価は、(39,099.11 x 21)/2 =410,541円になるわけです。

体重が50kgを超える人では、オプジーボの方が高額となりますが、それは必ずしも不利な点ではありません。

体重が50kgを超える人では、オプジーボの方がより多量の薬を使えると解釈することもできるからです。

新薬は、類似薬のあるものは「類似薬効比較方式」、類似薬のないものは「原価計算方式」で薬価を決めます。

キイトルーダは、オプジーボの類似薬なので、前者が採択されました。

さらに画期性加算、有用性加算、市場性加算、小児加算、先駆け審査指定制度加算などの補正加算が付きます。

キイトルーダでは、これらの補正加算は何も付かず、前述した通りオプジーボと同じ1日薬価となりました。

当初、キイトルーダ発売元のMSDは、オプジーボと同じ1日薬価であることを不服としました。

非小細胞肺がん治療における優位性があるので、有用性加算を付けて欲しいというわけです。

これに対して中医協は、オプジーボが腎細胞がん等にも効くという面を考慮し、両者に優劣はつかないと判定。

このようにして、今後同様のがん免疫療法薬が発売されたら、みな同じ1日薬価になっていくのでしょう。

つまり、どれを選んでも年間の薬剤費は、39,099.11 x 365 =1,427万円というわけです。

高いといえば高いですが、やがて市場が拡大すれば、例の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1872.html" target="_blank" title="市場拡大再算定(特例)">市場拡大再算定(特例)</a>」でバッサリ値下げです。