安倍首相の国会答弁の揚げ足を取るつもりはありませんが、首相の「でんでん」発言について考えたことを。
「まるで我々がずっと批判に明け暮れているとの言い方は訂正してください」と蓮舫氏が詰め寄ると、
「民進党の皆さんだとは、一言も申し上げていない訳であります」と、うまく切り返した安倍首相。ところが、
「訂正でんでんというご指摘は、まったくあたりません」とダメを押したものだから、ズッコケました。
途中までは、うまい論法だなぁと感心してたのに、残念。普通に考えると「云々」の読み間違えですね。
未曾有を「みぞうゆう」と言った麻生さんを思い出します。
安倍首相が自分で原稿を書いたのではなく、なおかつ言葉の読みも知らないと、ネットで盛り上がってます。
では首相は、「云々」と書かれた原稿を見て「伝々」と見間違えたかというと、それは違うと思います。
言葉として存在しない「伝々」と見間違えたのなら、それは初めて目にする言葉なので、困惑したはずです。
あの答弁のように、よどみなく堂々と「でんでん」と読み上げることはないでしょう。
とすれば、安倍首相は「云々」を、もともと「でんでん」と読むと思い込んでいたんじゃないでしょうか。
以前からそのように誤解していたけれど、誰も間違いを正してくれず、今に至ったのではないかと思うのです。
ある学会で演者が、生理食塩水のことを「ノーマル・サリン」と、何度も繰り返し発言したことがありました。
ちょうど地下鉄サリン事件の少しあとだったので、私はその「サリン」という言葉に強い違和感を覚えました。
生理食塩水「Normal Saline」の「Saline」は、普通「セイライン」か「セイリーン」と発音します。
この演者はSalineの発音を間違って覚え、誤りに気付かず、誰にも訂正されずに、ずっと過ごしてきたのです。
まさか学会発表の場で、大勢の聴衆の前で、その覚え間違いを晒すことになるとは、不幸なことでした。
「脆弱」とか「相殺」などの言葉を間違えて発音する人に、ときどき遭遇します。
親しい人なら誤りを指摘しますが、たいてい私は、相手に気まずい思いをさせたくないので、スルーします。
しかし、スルーすることが、将来その人に大恥をかかせることになるかもしれないと、考えるべきですね。
安倍首相はこれまでの人生で何度か「でんでん」と言ったのに、周囲の誰も、違うと言わなかったのでしょう。