ハイビーム論争

自動車の「ハイビーム論争」について、考えてみました。警察庁が発表したのは、次の事実です。

「道路を横断中の歩行者が車にはねられた昨年の死亡事故のうち、96%の車のライトがロービームだった」

「事故のほとんどがロービームで起きたのだから、ロービームは危険だ」というのが、短絡的な結論です。

しかしその論理展開は、誤っています。たとえば、

「道路を横断中の歩行者が車にはねられた昨年の死亡事故のうち、96%の車が国産車だった」としても、

「事故のほとんどが国産車で起きたのだから、国産車は危険だ」とは言えないのと同じことです。

とは言うものの、私自身は、いつもハイビームで走行するようにしています。その方が、よく見えるからです。

問題は、対向車や先行車がまぶしくないように、こまめにハイビームとロービームの切り替えをするかどうか。

最近は、ハイとローの自動切り替えをする車も出てきており、私の車もそうなので、かなり楽チンです。

ハイビームのまま走ってくる対向車に、たまに遭遇しますが、あれはまぶしい。危険です。

こまめな切り替えのマナーが徹底されないまま、原則ハイビームだと取り締まりを強めるのは、問題です。

さらに、自転車通勤の経験からすると、多くの車が、自転車相手には、ロービームにしてくれません。

おかげで、対向車のハイビームに幻惑されて、植込に突っ込みそうになったことがあります。

ハイビームは、自分の安全運転のためですが、他人を危険に追いやる側面があることに留意すべきです。

「原則ハイビーム」という言葉ばかりが、一人歩きしないようにしなければなりません。

職員のマスク着用

当院のスタッフは数年前から、原則として、診療中には常時マスクを着用してきました。

自分が感染を予防するためと、他人に何らかの病原体を感染させないためです。

しかし、普通のマスクで風邪(ウイルス感染など)がどの程度予防できるのか、議論の余地はあります。

同様に、自分の風邪の拡散をマスクでどのぐらい防げるのか、明確な根拠はありません。

でも病原体の予防はできなくても、マスクで吸気の湿度を高めることは、感染予防効果があるかもしれません。

感染予防に気をつけているんだな、という印象を、周囲に与える効果もあるかもしれません。

しかしその逆に、接客・サービス業という観点からは、表情が見えにくいというのが最大の問題です。

さらに最近、ある聴覚障害の方から、口元が見えないと言葉が聞き取りにくい、という指摘を受けました。

これには、いままで気がつきませんでした。おっしゃる通りです。

そこで先日から、たとえば生活習慣病の方などは、原則としてマスクなしで診察することにしました。

もちろん、患者さんが風邪のときや、インフルエンザの流行期や、私自身が風邪気味のときなどは例外です。

マスクを外すことで、私の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1415.html" target="_blank" title="ひげ面">ひげ面</a>をお見せすることになったのは、やむを得ない副産物でした。

「先生、痩せましたね」などという反応が、相次いでいます。ひげは、顔が細く見える効果があるのですね。

地震と割れ物

地震の爪痕は残っていますが、熊本は着実に復旧・復興しつつあります。

当院の隣のサンピアンも一昨日から、2階部分の営業が再開されました。衣類や日用品の売場です。

こういった店舗では、建物の損壊による営業中断もさることながら、商品の被害も甚大だったことでしょう。

それらの補償は、どうなっているのか。それぞれ個別の問題もあるでしょうが、経営には大打撃です。

近所の日本料理店では、食器がほとんど割れたそうです。凝った陶器も多く、大損害だったとのこと。

地震後に営業を再開した、ある食器専門店に行ってみたら、棚の前面には落下防止の糸が張られていました。

割れ物を扱う商店は、ほんとに大変な被害だったことでしょう。

わが家でも、食器が割れたり、スコッチの瓶が棚から落ちて割れて、異様な臭気が家中に立ちこめました。

某デパート1階の化粧品売場では、香水類がみな落下して、瓶が割れて大変だったと聞きました。

そうでなくても、デパートの化粧品売場というのは、私が息を止めて通り抜ける場所です。

その売場の香水やら何やらが何百本も、床に落ちて割れ、片付ける従業員は鼻が曲がりそうだったとか。

当院に全部で10台ある<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1662.html" target="_blank" title="パソコン">パソコン</a>は、前震では3台が床に落ち、翌日元に戻したら、本震で9台が落下しました。

落下防止の備えが必要と思い、本震後にはしばらく、すべてのパソコンをヒモで固定していました。

が、それも、見栄えが悪いのでやがて撤去し、いまはまったく、油断した状態です。

インフェルノを観る

『インフェルノ』という映画が、本日、封切られたので、さっそく観に行きました。

『ダ・ヴィンチ・コード』『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-502.html" target="_blank" title="天使と悪魔">天使と悪魔</a>』に続く、ダン・ブラウン原作の、シリーズ第3弾です。

2作目の「コンクラーベ映画」では、バチカンが詳細に描かれていましたが、今回の舞台はフィレンツェ。

数少ない私の渡航歴の中でも、フィレンツェは、私が訪れたことのある、一番好きな街です。

先月は、『シン・ゴジラ』を「夫婦50割引」で観たのですが、今回はどうも、同伴者の都合がつきません。

「夫婦50割引の片方だけ」ってのがあれば、いいのですけどね。

いつもはパソコンで、ネット予約・座席指定をして出かけるのですが、今日は試しに、iPhoneを使いました。

すると案の定、支払い画面では「Apple Payで支払う」というボタンが出てきました。待ってました〜。

それをポチョッと押して、そのままTouch IDで指紋認証。いい感じに、Apple Payが浸透しつつあります。

で、精算画面を見ると、料金は1,100円じゃないですか。シネマイレージ会員料金にしても、安い。

調べてみたら、たまたま今日まで、「シネマイレージウィーク キャンペーン」をやってます。ラッキー。

客の入りは30人ぐらい。まあ、こんなもんですか。『天使と悪魔』のときよりは多いかも。

内容については・・・触れないで起きましょう。私の評価も・・・

敵失で増収?

日本で「Apple Pay」が始まった一昨日、Appleが7〜9月期決算を発表しました。

それを受けての昨日の日経記事が、紆余曲折しています。電子版の見出しを、時間順に書くとこうです。

5:54付 「アップル、7〜9月19%減益 iPhone販売減」

9:36付 「アップル、7〜9月期も減益 強気計画に不透明感」

10:18付 「アップル、1年ぶり増収 10〜12月3%見通し」

23:21付 「アップル、敵失で10〜12月増収へ サムスン発火」

同じ決算発表を聞いて、10〜12月の見通しを、はじめは不透明と言い、42分後には好評価に転じています。

日経は、IT系については、かなり掘り下げて迅速に報道しますが、いわゆる「飛ばし記事」も目立ちますね。

「敵失」っていう表現も、人聞きが悪いです。サムスンの問題が、Appleには多少のプラスであるにしても。

たしかに、スマホシェア1位のサムスンが、2位のAppleを引き離そうと焦り、墓穴を掘ったということです。

しかしサムスンが失うであろうシェアを奪うのは、Appleとは限りません。多くのメーカーが狙っています。

iPhoneでさえも、「出火した」とか「爆発した」などという事例が、わずかですが報じられています。

これは炎天下での高温の車内であったり、ポケットに入れて自転車で転倒したケースのようです。

いずれも、リチウムイオン電池に強い衝撃を与えたための事故と思われますが、それでもヒヤッとします。

ボーイングの航空機のバッテリー出火問題もそうでしたが、IT化がどんどん進むなかで、電池は鬼門ですね。

Suica始めました

「Apple Pay」の「Suica」が、はたして熊本で使えるのか、というのが実は心配でしたが、使えました。

近所の書店で、Suicaと提携している西鉄系の「nimoca」用の端末を利用して、支払うことができました。

Suicaを「エクスプレスカード」に指定しているからか、「Touch ID」による指紋認証も不要。これは簡単。

NFCアンテナがiPhoneの先端にあるので、リーダーにはiPhoneの背部ではなく、先端をタッチさせればOK。

これはとても便利なことです。iPhoneを片手で操作した後、持ち替えずに、支払いを完了できるからです。

JR東日本を利用する機会など私にはほとんどありませんが、Suicaは熊本でも、買い物には使えますね。

ちなみに、そのSuicaで買った本というのが次の2つ。いずれも最近の話題作です。

『住友銀行秘史』國重惇史著

銀行幹部の不正を細かく記録して内部告発した、元取締役本人が書いたという、銀行の暗部と内部抗争の物語。

分厚い本だけど、すぐ読めそう・・・とは思いましたが、後回しです。

『熊と踊れ』(上・下)アンデシュ・ルースルンド、ステファン・トゥンベリ著

クライムノベル。このジャンル、昔は好きでしたが、最近は時間が無くて、ほとんど読まなくなっていました。

手っ取り早く楽しめる映画やドラマを観る方に、流れてしまうのです。いや、そのようなことも減りましたが。

小説は、その活字の羅列を目で追いながら、頭の中に映像を再現しなければなりません。想像力を要します。

登場人物の動きや表情や、風景や激しいアクションシーンの様子まで、全部自分で想像しなければなりません。

逆に言えば、自分で映像を構築できるところが、小説の醍醐味なんでしょうね。

文庫とはいえ、上下巻併せて1000ページを超える大作ですが、怒濤の勢いでいま、3分の1ほど読んだところ。

Apple Pay上陸

「Apple Pay」が、ついに今日から、日本でもスタートしました。「Apple Pen」じゃないですからね。

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1805.html" target="_blank" title="Suica">Suica</a>」と「QUICPay」と「iD」が、iPhone 7と7 Plusで使える方のやつです。

まずは準備編。朝からiOSを10.1にアップデート。「Apple Pay」にクレジットカードを登録ました。

財布から1枚カードを出して撮影すると、カード番号が読み取られました。認証して終了。これは簡単。

このカードは、QUICPayの端末で、支払いに使うことができるようになりました。

複数のクレジットカードを登録できるので、とりあえずもう2枚登録。でも何枚も登録する意味は、ないかも。

次は「Suica」の登録。Suicaなんて持ってないので、新規登録です。支払いカードを指定してチャージ。

さらに「エクスプレスカード」に設定。これによって、Touch IDを使わずに改札を通過できます。

ていうか、JR東日本の電車に乗ることがあるのか?、ていうことは考えません。

さて、実践編。Apple Payが、初日の朝から熊本で使えるのか。これで日本のIT度が推し量れるというもの。

そこでQUICPayを試すため、近所のセブンイレブンに向かいました。とりあえず買ったのは、歯磨き。

ドヤ顔ではなく、なるべく自然体で「QUICPay使えますか」とレジで尋ねると、「どうぞ」と店員さん。

「Wallet」のアプリ画面で、指をホームボタンに乗せて、iPhoneの先端を端末に近づけると・・・

あれれ、Siriさんが立ち上がりましたよ。Siriさんが「すみません聞き取れませんでした」とか言ってます。

もう一度アプリ画面に戻して、指をホームボタンに乗せて・・・またSiriさんが登場し、謝ってます。

あ、そっか。私はうっかり、ホームボタンを押してました。乗せるだけでいいのに。

3度目の正直で「グイッベー」と鳴り、無事支払いは終了。ちっともクイックなペイではありませんでしたが。

でもこれ、かなり便利。財布をポケットに入れなくても、よくなりそうです。Suicaの顛末は、また後日。

MRワクチン、また枯渇

MR(麻疹風疹混合)ワクチンが手に入りません。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-637.html" target="_blank" title="前に騒がれた時">前に騒がれた時</a>よりも厳しい品不足です。原因は2つ。

(1)夏頃からの、麻疹(はしか)の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1786.html" target="_blank" title="集団感染騒ぎ">集団感染騒ぎ</a>で、ワクチン接種者が急増した

(2)MRワクチンメーカーのひとつ、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1599.html" target="_blank" title="北里第一三共">北里第一三共</a>が、昨年からワクチンの製造を中断している

これらの問題は、以前それぞれ個別に書いたことですが、いまその両者が合わさってしまいました。

先月までは、大阪などに旅行する予定の成人希望者には、当院でMRワクチンを接種していました。

医療系専門学校などの生徒で、麻疹抗体価が低かった方にも、希望があればすぐに接種してきました。

当院の職員のうち、麻疹抗体価が低い者にも、MRワクチンを接種しました。

しかし今は、成人への接種はお断りしています。そうしないと、小児用ワクチンが足りなくなるからです。

とくに1歳の第1期接種対象者は、麻疹と風疹の免疫をもっていないので、最優先で接種する必要があります。

当院かかりつけの乳幼児で概算してみると、当院のMRワクチンの在庫は、今後の必要予定数ギリギリでした。

今国会(第192回臨時国会)では、民進党議員から、MRワクチンの供給状況について質問が出されました。

これに対する、安倍晋三内閣総理大臣名での答弁書とを、Q&Aの形で並記してみると、こうです。

Q.現在のMRワクチン不足は、地域的な偏在なのか、全国的な供給不足なのか。

A.MRワクチンの需給状況の把握に努めており、我が国全体としては不足が生じないとの見込みである。

Q.任意接種する人数について、予測は立てているか。ワクチンは足りるのか。

A.任意接種する人数を予測することは困難だが、不足が生じない見込みである。

Q.第1期接種を優先する必要があるが、医療機関に判断させるのか、国のルールを設けるのか。

A.定期接種は確実に接種することが重要。現時点においては、ワクチンの不足が生じない見込みである。

Q.MRワクチンの増産は不可欠だが、メーカーに対して増産を求めるのか。

A.我が国全体としては、MRワクチンに不足が生じない見込みであるが、適切な対応をとるように努めたい。

国は、「不足が生じない見込み」の一点張り。危機管理の態度としては、最低です。

過活動膀胱の尿トレ

「快尿!おしっこトラブル 全部解決の5秒ワザ」が、数日前のNHK「ためしてガッテン」のタイトル。

そこで取り上げていた5秒ワザというのが、「お尻体操」です。肛門を、5秒間締めたり緩めたりするもの。

もうひとつ、「おしっこトレーニング」も紹介していました。今日はそっちを掘り下げます。

頻尿の人の多くは、尿意を感じるのが異常に早くなってしまっている、という問題があります。

ちょっとした尿意ですぐトイレに行くと、ますます尿意センサーが過敏になってしまうという悪循環です。

それを克服するために、敢えて尿意をがまんして、尿意センサーを鈍感にしましょう、というわけです。

子どもの頃から、おしっこをがまんしすぎないように、と教えられてきた方には、少々抵抗のある話です。

職業柄(元外科医)私は、長時間の手術に従事しているうちに、尿意がどんどん鈍感になりました。

おかげで、飲まず・食わず・出さずで、12時間や16時間程度なら難なく乗り切れるカラダになりました。

ただしその弊害として<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-143.html" target="_blank" title="尿管結石">尿管結石</a>になってしまった話は、以前ご紹介した通りです。

開業してからは、いつでもトイレに行ける環境に慣れたためか、排尿間隔はほぼ人並みに戻ってしまいました。

子どもの夜尿症も、夕方以降の水分の摂り過ぎのほかに、「がまん尿」不足が原因のケースがよくあります。

頻尿気味の方はいちど、思いっきり尿意をがまんして、どれぐらい膀胱に溜められるか、測ってみましょう。

尿意をがまんする練習によって、その量をだんだんと増やせれば、過活動膀胱の症状が改善するでしょう。

冒頭で紹介した番組では、独特のヘアスタイルのウエブデザイナー大谷大氏の経験談が紹介されていました。

「朝一のトイレをいかに我慢できるかでその日の快適さが変わる」と、彼はブログに書いています。さらに、

「起きたらすぐにトイレに行くという習慣になっていたので、それをやめただけでかなり効果がありました」

これはもしかすると、過活動膀胱の方には、目からウロコのトレーニング法かもしれません。

電話が先かネットが先か

診療の予約受付開始時間を今月から変更したことは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1825.html" target="_blank" title="前にも書いた">前にも書いた</a>とおりです。

ネット予約は8時開始のまま、電話と窓口は8時半に遅らせて、約3週間ほど様子を見てきたところです。

じつは他院では圧倒的に、当院とは逆の優先順位にしているところが多いのです。

近隣小児科医院を5軒ほど調べてみると、みな窓口受付を先に開始して、ネット予約は少し遅らせています。

ネットでの受付時刻を、窓口受付よりも30分遅らせているところが2軒、25分が2軒、15分が1軒でした。

つまりこれらの医院は、朝いちばんに窓口に来た患者さんをまず、最優先で診察しようという考え方です。

その意図はわかります。しかしそれは、朝いちの来院者が必ず重症であるという仮定に基づくものです。

私の経験上、病状をひどく心配している方が、早朝から窓口を訪れますが、たいていは比較的軽症です。

あまり窓口を優先すると、診療は結局、窓口に来た順になり、予約システムが意味をなさなくなります。

予約制のメリットは、予約時間にちょうど間に合うように自宅を出れば良いことにあると、私は思います。

窓口で記名して順番を取り、あとはずっと待合室で待つ、という昭和なやり方は、なるべく避けたいのです。

そこで思い切って当院では、他院とは逆に、ネット優先にしました。ネット予約を誘導するためです。

8時半までには、午前中の予約枠は埋まります。しかし、電話や窓口予約用の枠は、いつくかとってあります。

8時半になって、電話が鳴り始めたら、その枠を使って予約を入れていきます。

ネット予約では、ある程度病状が重い人が早めの順番をとっていると推測しますが、詳細は不明です。

一方で電話・窓口予約の場合は、病状をお尋ねした上で、重症度を判断して予約枠を割り振ることができます。

ネットと電話・窓口の予約可能枠数は、20対10程度に設定し、曜日によってその比率を調整しています。

院内で長くお待たせしないのが予約制の利点なので、このような予約法をとっていることをご了承ください。