映画『ベン・ハー』がリメイクされ、先々週から米国で公開されていますが、興行収入はいまひとつだとか。
日本では来年1月公開。予告編を見ましたが、映像は凄いけど「見慣れた」凄さでした。CGIだからですかね。
旧作では、戦車レースで落馬した競技者が別の戦車に巻き込まれるなど、迫力あるシーンに驚いたものです。
競走馬の足でもみくちゃに蹴られ、レース場の観客一同が「おおっ」と声をあげます。
中学生の頃にテレビで何度も観たシーンですが、テレビの前の私まで「うわっ」と声が出てしまいました。
生身の出演者(スタントマン)が演技しているので、そのリアリティーはいまとは大違いです。
もしかして役者さんが本当に大ケガをしたんじゃないかと、そんなことまで心配になり、ハラハラします。
実際にそのシーンの撮影でスタントマンが死亡していたと、後で知りました。それほどリアルなのです。
こどもの頃に観た『トラ・トラ・トラ』という戦争映画でも、スタントマンが3人亡くなったと聞きました。
その情報を知った上で映画館に行き、激しい爆撃シーンを目の当たりにするものだから、よけい緊張します。
新『ベン・ハー』では、どのようなスタントマンも演じきれないような、凄い場面が見られることでしょう。
しかし私は、激しいシーンであればあるほど、実はCGなのだと思ってしまい、緊張感が半減するタチです。
淀川長治氏は旧作を評して、「やっぱりキャメラ、そのキャメラの凄いこと」と撮影を絶賛していました。
「よくもこんだけ撮影できたなあ、それはどんな撮影したんだろう、それが見所だと思います」と。
巨大なセットを造り、役者は体を張り、カメラマンも命がけ。旧『ベン・ハー』はそんな時代の超大作でした。
新『ベン・ハー』がいくらCGIを駆使しても、同じストーリーで旧作を超えられるとは思えないのです。