サントリーとアサヒ

『琥珀の夢』が、いよいよ面白くなってきました。日経に連載中の、伊集院静氏の小説です。

主人公は、後に「サントリー」を創業する、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1110.html" target="_blank" title="鳥井信治郎">鳥井信治郎</a>です。以前、NHKの「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1091.html" target="_blank" title="マッサン">マッサン</a>」にも登場しました。

実在の人物を描いた小説なので、さまざまな人物が絡み合ってくる、その運命的な関係が興味深いですね。

今日の話で、主人公の丁稚奉公先が決まったものだから、連載が待ちきれず、いろいろと調べてみました。

その奉公先は「小西儀助商店」。「アロンアルファ」とか「ボンド」の「コニシ」の創業者の店なんですね。

コニシのサイトで沿革を見ると、「アサヒ印ビールを製造。現在のアサヒビールの前身となる」とあります。

これは驚いた。1884年の話です。ところがその後の社史には「アサヒビール」の「ア」の字も出てきません。

一方で、アサヒビールのサイトを見ると、これまた小西儀助商店の件には、まったく触れていません。

アサヒビールの前身である大阪麦酒が、1892年に発売した「アサヒビール」の名の由来には、こうあります。

「日出づる国に生まれた麦酒への誇りと、昇る朝日のごとき将来性、発展性を願ったもの」

さらに、創業者である鳥井駒吉が、創業地に近い旭川など「旭」の地名にもちなんだ、とも書いてあります。

どうやら小西儀助商店からの商標譲渡の件は、封印したいようです。なにしろ現在の社名そのものですからね。

つまり、こういうことです。

アサヒビールのもともとの命名者である小西儀助のもとで、サントリー創業者の鳥井信治郎が丁稚奉公した。

その鳥井信治郎のもとを離れた竹鶴政孝が創業した「ニッカウヰスキー」は、いまアサヒビールの傘下。

サントリーとアサヒは同根ではないですが、複雑に絡んでいるところが面白い。どちらも創業者は鳥井氏だし。