生活習慣病の方に血液検査をした場合、とくに大きな問題がなければ、翌月の来院時に検査結果を説明します。
この最近の1,2週間は、ちょうど震災後の混乱期に検査をした方々への結果説明が続いています。
多くの方で、糖尿病や高脂血症の数値の悪化が見られました。それを本人に伝えると、
「カップ麺やら炭水化物ばっかり食べよりましたもんねぇ」との返答があり、「ですよね」と私も応じます。
だいだいこのような会話が、このところ毎日繰り返されています。
地震直後の今回は特別としても、通常はこれではいけません。
「いま忙しくて運動する暇がないのです」と言う方は、たぶんこの先も、ずっと忙しいはずです。
「最近残業続きで」と言う方の「残業」は、残念ながら今後も減るとは思えません。
「飲み会が続いてたので」と言う方の「飲み会」についても同じこと。飲み会は、なくなりません。
多忙な毎日を送っている人は、その多忙な毎日における体調こそが、重要です。
不摂生な生活の人は、その不摂生な状況のままで検査をしなければ、正しい評価はできません。
人間ドック等では通常、絶食で検査に臨むため、血液検査も空腹時に行われます。
しかし、異常の早期発見が健診の目的とすれば、食後に検査を行う方が、理にかなっている面もあります。
欧州の学会で最近、中性脂肪など脂質代謝の検査は、空腹時にこだわらない実施が提唱されました。
血糖や血圧など、生活習慣病に関連する多くの検査で、同じことが言えます。
健診の直前の数日間だけ、断酒したり摂取カロリーを控えたりする人がいますが、それでは本末転倒なのです。