ら抜き言葉へのシフト

「離乳食は食べれてますか?」診療中の問診で、私がよく使う「ら抜き」表現です。

「離乳食は食べられてますか?」という正しい言葉遣いでは、違和感を感じるので使いません。

「ら抜き言葉」は、「可能」と「尊敬」を区別しやすくするための、自然な流れだともいわれています。

私も最近はそう思うので、ら抜きを誰かが使っても、いちいち目くじらを立てたりしません。

たとえば、夕方5時には帰宅したいと思っている従業員が、上司にこう尋ねたとしましょう。

「5時には帰れますか?」「5時には帰られますか?」

前者がら抜き、後者が正式。前者の方が伝わり易く、後者はまるで上司の予定を尋ねているみたいです。

「ミルクは飲めてますか?」これも診療中によく使いますが、ら抜きではありません。

「飲む」の可能形「飲まれる」が縮まって「飲める」になった、可能動詞といわれるものです。

「ミルクは飲めれます」と答える方がときどきいます。文法的には間違いですが、気持ちはわかります。

ら抜きが間違いという思いからか、不要な「れ」を付けてしてしまったのでしょうか。

「ミルクは飲まれます」と言う人は、もうほとんどいませんね。

使いやすい可能動詞「飲める」があると、元々の動詞「飲む」の可能形は、どんどん使われなくなるようです。

「この水は飲まれません」という表現は、まだ使われているかもしれませんが、昭和の臭いがしますね。