久々に「魔法の言葉」を聞いた気がしました。発言の主は、安倍首相です。
まずは、消費税増税の延期を表明した安倍首相の、発言の変遷のおさらいから。
「再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします」という、力強い発言が1年半前。
「景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」とも言ってたのですが、
「リーマン・ショック級、大震災級の事態にならない限り、予定通り引き上げていく」と例外条項を示し始め、
「リーマン・ショック前の状況と似ている」との判断によって増税延期を決意した挙げ句、
「私が『リーマン前に似ている』との認識を示したとの報道があるが、まったくの誤り」と発言を否定し、
「リーマン・ショック級の事態は発生していない」と昨日は、全体の流れを根底から覆す始末。
「二枚舌」と批判されていますが、安倍首相に言わせれば「新しい判断」だそうです。
増税を再延期しないと決めたのは、1年半前の判断であり、このたび再延期すると決めたのは「新しい判断」。
既定方針に拘泥することなく、常に的確な状況分析を行い、適切な判断を新たに下した、というわけです。
「約束を守れませんでした」と言う必要はありません。「新しい判断を下しました」と言えばいいのです。
誰が考えたんでしょうね、この論法。