肝炎ウイルスと肝炎

「B型肝炎ワクチン」は、今年10月から、0歳児を対象とした定期接種が始まります。

全部で3回接種します。その「推奨」接種時期は、生後2カ月、3カ月、7〜8カ月、の3回と定められました。

やはり、新生児期からの接種は、推奨しないようです。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1195.html" target="_blank" title="その悲しくなるような理由">その悲しくなるような理由</a>は、前にも書きました。

新生児という不安定な時期に、わざわざワクチンを接種して何か起きたら面倒だと、そういうことなのです。

WHOはしかし、新生児期からの接種開始を推奨しています。多くの国が、新生児から接種しています。

なのに日本は、副反応で叩かれないことを優先するために、より安定した時期に接種を始めるのです。

B型肝炎ウイルスは、それ自体が肝臓に炎症を起こすのではありません。ウイルスは肝細胞内に居るだけです。

リンパ球がウイルスを排除しようとして、感染した肝細胞をまるごと攻撃するから、炎症が起きるのです。

例えるなら、家に居座るよそ者に対して、家まるごと火炎放射器で焼き払うようなもの。これが急性肝炎です。

乳幼児、とくに赤ちゃんは、免疫機構が未熟なため、B型肝炎ウイルスに感染しても急性肝炎は起きません。

思春期を過ぎた頃、免疫が発達してくると、リンパ球がウイルスを排除しようと、肝細胞の攻撃を開始します。

しかし、ウイルスが簡単には撃退できない場合には、攻撃ばかりが何年も続きます。これが慢性肝炎です。

そのような経過のなかで、一部が肝硬変、さらに肝がんへと進行していくのです。

B型肝炎ウイルスは、汗や涙や唾液に存在するので、保育園や部活での集団感染が問題になっています。

いつどこで感染するかわかりません。ならば、生まれてすぐにワクチンを接種しておこう、となります。

諸外国はそのような発想なのですが、日本ではそうならないんですね。不思議な国です。

障害と障碍

子どもの頃は、和式便所でした。毎朝、しばらくしゃがんでいる間、じっと見つめていた文字があります。

便器メーカーのロゴ「Toyotoki」です。筆記体の青い文字で、2つの「T」の横棒がつながっていました。

小学生になって、ローマ字が少しわかるようになると、その文字を「トヨトキ」と読んでいました。

当時、東芝のロゴも筆記体の「Toshiba」でしたが、これは少し崩してあったので、私には読めませんでした。

ある時代から、いつのまにか「Toyotoki」を見なくなり、周囲は「TOTO」だらけになりました。

なんのことはない、「東洋陶器」の社名が「東陶機器」になっただけの話ですが、これは後から知りました。

「INAX」(現LIXIL)も、元はTOTOと同じ企業グループだったことを、大人になって知りました。

ライバル会社が同根だというのは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-116.html" target="_blank" title="「積水ハウス」と「セキスイハイム」の関係">「積水ハウス」と「セキスイハイム」の関係</a>にも似ています。

ついでに言うなら、食器や研磨工具の「ノリタケ」も、TOTOやINAXと同じ「森村グループ」。

「Noritake」のロゴは、今なお青い筆記体ですね。その雰囲気が、昔の「Toyotoki」に似ています。

企業のロゴはおおむね、筆記体からブロック体、しかもゴシック体へと、移り変わってきました。

なので今となっては逆に、筆記体のロゴはレトロでいいですね。

「ノリタケ」の前身の「日本陶器」から、「碍子」部門が独立したのが「日本ガイシ」。

碍子とは、電線などの絶縁に使うセラミック。子どもの頃は「が石」と思ってましたが、「碍子」なんですね。

碍子の「碍」(礙)は、妨げとか邪魔という意味で、「害」とほぼ同義。

「障害者」と書くかわりに、最近は「障がい者」とか「障碍者」という文字が使われることがあります。

イメージの悪い「害」の字を避けるために、あまり使われていない「碍」に置き換えてみたのでしょう。

置き換えたところで意味は変わりませんが、なんらかの配慮をした、という事実が重要なのかもしれません。

こういう無意味な言葉狩りには、賛同できません。その意味では「障がい者」でも同じです。

「日本ガイシ」から点火プラグ部門が独立したのが、世界トップシェア「NGK」ブランドの「日本特殊陶業」。

最初に買った車は、時々プラグの清掃などやっていましたが、この30年間、自分ではやったことないですね。

NGKは、一度行ったことがあります。プラグは売ってなかったですが、芸人さん達がスパークしていました。

老衰と医療費

「都道府県別にみる老衰死率と高齢者一人あたり医療費」というグラフを見て、考えさせられました。

福岡県は、75歳以上死亡のうちの老衰死の割合は全国最低ですが、高齢者一人当たりの医療費は日本一です。

その反対に、老衰死の割合が多い都道府県ほど、高齢者一人当たりの医療費は安いことがわかります。

つまり、老衰死を受け入れるか、徹底的に高齢者に医療介入をするか、という考え方の違いが表れています。

老衰は自然現象であり、心肺機能や神経・骨格筋など、全身の臓器機能の低下が、並行して進行していきます。

それぞれが緩やかに、同時に機能低下をしていくとき、誰の目にもそれが老衰だと映ります。

ところが、どれかの臓器が突出して機能低下すると、治療の対象となります。

ひとつの治療を始めると、今度は別の臓器が問題となり、そっちの治療も始まります。

このように、老化現象に対する医療介入を行えば行うほど、自然な老衰への道は遠ざかります。

「一病息災」というのは、「医療介入による不自然な長寿」なのかもしれません。

老衰死の割合と高齢者医療費が逆相関することは、当然のことです。

どちらが善い悪いということではありません。ただ、どのような形を目指すべきなのでしょうか。

頭もカラダも内臓も「バランス良く老いていく」、というのが理想かもしれません。

そのためには、高齢になる前に、自分の弱点を補強してバランスを保ってておく、ということなのでしょうね。

日本の活断層

「全身状態良好」などというフレーズを、診療中に電子カルテに入力することは、しばしばあります。

「ぜんしん」で変換されるのは「全身」なのですが、自宅のMacだと、まっ先に「前震」が出ます。

「ほんしん」も、以前は「本心」と変換されていたのですが、いまは「本震」が第一候補。

「前」の反対は「後」です。ためしに「ごしん」と入力したら、「誤診」と出ました。ウケる。

「前震」という専門用語は、このたびの地震によって、日常用語に昇格しました。

「活断層」という言葉はおそらく、阪神・淡路大震災のときから、一般的にになったと記憶します。

「断層」と「活断層」の違いは何でしょう。あらためて確認してみました。

「数十万年前以降に繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層」のことを活断層というらしいですね。

「火山」と「活火山」も、それに似たような間柄です。

「おおむね過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山」が活火山、とのこと。

活火山かどうかは1万年程度で判断し、活断層は数十万年のオーダーで考えるとは、ずいぶん開きがあります。

活断層にかかる力は、元々は地球のプレート運動なので、いつも同じような力が同じ向きに作用しています。

力が作用し続けているのに断層面が固着しているので、ひずみがたまり、ついにずれ動くというわけです。

そのような動きが起きる周期は、1000年から数万年間隔と考えられています。

つまり、活断層が地震を起こすのはとても稀なできごとです。ただ、日本列島には活断層が多すぎるのです。

直下型地震に襲われたら大変なことになることは、このたびあらためて、日本中が痛感しました。

この機会に、首都機能の移転や分散を、真剣に検討すべきじゃないでしょうか。

BCGの目的と変遷

ACジャパンのCMの影響でしょうか、「2週間以上咳が続く」と結核を心配して来院する方が、時々います。

BCG打ってるから、結核は予防できてるんじゃないの?、とお考えの方。残念ながらほぼ、間違いです。

BCGの目的は、子どもの重症結核を予防することです。BCGの効果は、大人になるまでは続きません。

以前は、BCGの前に「ツベルクリン反応」という検査が行われていましたね。

ツベルクリン反応が陰性の子どもだけが、「ハンコ注射(=BCG)」という災難に遭うことになります。

私も子どもの頃、友達とツベルクリン反応の発赤を見せ合い、「良かったぁ〜」などと喜び合っていました。

何のことはない、ツベルクリン反応が陽性というのは、すでに結核菌に感染して免疫が付いていることの証。

結核菌に感染した時点で体力(免疫力)十分だったので、たまたま発症しなかっただけの話です。

昔は、そのような感染者が多かったので、ハンコ注射不要の子どもも、多かったのです。

ところが結核感染者がだんだん減ってくると、ツベルクリン反応陰性の子どもが多くなります。

そこで平成17年、事前のツベルクリン検査が廃止され、いきなり全員にBCG接種を行うことになりました。

どうせ接種するなら、結核の早期予防の観点から、なるべく早いうちに接種しよう、ということになります。

それまでは4歳未満が接種対象年齢だったのが、生後6カ月までにBCGを接種するという規定になりました。

推奨接種月齢は、生後3,4カ月。当院でも、BCGはなるべく早く打ちましょうね、と啓蒙していました。

ところが平成25年から、規定が180度変わります。BCG接種後の骨炎・骨髄炎が問題となったからです。

こんどは、骨炎・骨髄炎の起きにくい生後5カ月以降の接種が、推奨されることになりました。

ついこの前まで、早く打ちましょうと言ってのに、今は、なるべく遅く打ちましょう、なのです。

すでに、米国、英国を始め、欧米先進諸国の多くで、BCGの定期接種は行われていません。

厚労省もBCGの中止を検討し始めていますが、そうなるまで、もう少し時間がかかりそうです。

なぜなら日本はいまだに、人口10万人あたり患者数が10人を超える「中蔓延国」だからです。

戦後の流行期に結核菌に感染して、高齢になって免疫力が落ちてから発病する人が多いとも言われています。

他の感染症のように、予防接種を徹底したら劇的に発病者が減る、という病気ではないのです。

新たな肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチンは、ややこしいことになりつつあるので、ここらで、まとめてみます。

まず、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-846.html" target="_blank" title="成人用">成人用</a>と小児用に大別できます。それらは予防接種の目的、つまり予防したい疾患が違います。

日本人の死因の第3位は肺炎ですが、その主要な原因菌が肺炎球菌。なので高齢者で予防したいのはコレです。

一方で、小児とくに乳児において、肺炎球菌は重篤な髄膜炎の原因となります。小児で予防したいのはこっち。

肺炎球菌には90以上の種類(血清型)があり、複数の型に効くような成分が、ワクチンには入っています。

成人用ワクチンには、23の型の成分(抗原)が入っており、こういうのを23価ワクチンといいます。

一方で、小児用ワクチンは13価。2年半前に7価(PCV7)から13価(PCV13)に増えた話は、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-760.html" target="_blank" title="前にも">前にも</a>書きました。

ややこしいのは、小児用13価ワクチン(PCV13)が、2年前から高齢者への任意接種も可能になったことです。

高齢者には、定期接種(対象年齢限定)の23価と、任意接種(65歳以上全員OK)の13価があるわけです。

医学的には、その両方を接種すればなお良いと考えられ、米国では両方の接種が推奨されています。

さて最近になって、小児用の10価ワクチン(PCV10)が日本でも発売され、一層ややこしくなってきました。

もともと世界での製造販売は、PCV7(2000年)→PCV10(2008年)→PCV13(2009年)という流れでした。

ところが日本での製造販売は、PCV7(2009年)→PCV13(2013年)→PCV10(2015年)の順です。

世界の流れに乗り遅れた日本が、あわててPCV13を採用したことも、混乱の一因と言えるかもしれません。

PCV10には独特のメリットがあるのですが、細かい話なので、また別の機会に書きましょう。

ともかくPCV10は、立ち位置が微妙なワクチンであり、厚労省もあまり乗り気でないことは確かです。

地球温暖化と人類

今日も暑くて、ひどく蒸しましたね。テント生活をしている人たちが熱中症にならないか、心配です。

さまざまな気候データは、異論を唱える人もいますが、地球の温暖化を示していると考えるのが常識的です。

そしてその原因は、大気中の温室効果ガスの増加によるもの、つまり人類の文明が原因だと考えられています。

だから先進諸国はやっきになって、二酸化炭素の排出を減らそうとして、省エネを推奨しています。

人々がエコカーを求め、政府も税制面で優遇するので、それに乗じてインチキをする自動車会社も出てきます。

二酸化炭素を減らそうというお題目は、原発推進の口実にも使われます。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-36.html" target="_blank" title="太陽光発電">太陽光発電</a>導入への強烈なインセンティブはしかし、最初だけでした。住宅用買取価格は、安くなる一方です。

2010年に導入したわが家では、1キロワット時あたり48円が10年固定という、奇跡のような買取価格でした。

それ以前は24円だったのが、2009年11月から「10年で元が取れる」とされる、48円にアップしたのです。

ところがなぜか、福島原発事故後にむしろ、買取価格は年々ジリジリと引き下げられ、今年度は31円です。

10年の固定期間が終わると、国の制度からはずれるので、九電の買取価格はもっとずっと安くなりそうです。

世界各国の二酸化炭素排出量は、中国と米国が断トツ。いずれも、他国の非難に耳を貸す国ではありません。

でもたまに阿蘇の噴煙を見ると、地球自体もかなりの量の二酸化炭素を、毎日出しているようにも思えます。

人間が、地球のためと言いながら省エネしているのに、その地球は、人間の心配などお構いなしなのです。

そもそも地球には、もっと大きな気候変動があります。氷期と間氷期です。約10万年周期だそうです。

いまの間氷期は、約2万前から始まっています。どうせ数万年後には、また氷期。極寒の時代が来ます。

阿蘇の最後の大噴火は、約9万年前。九州の大半が火砕流で埋まりました。次がいつ来てもおかしくない。

そのような地球スケールで考えてみると、人間が地球に及ぼす影響など、微々たるものです。

省エネとかエコは、人類が、より良い環境でより長く生存したいがための、「人類に優しい」理屈です。

それを「地球に優しい」などと言うのは、おこがましい話です。

市民病院、移転新築へ

被災した熊本市民病院は、現地建て替えではなく、移転して新築する方針だと、大西市長が明らかにしました。

震災前には、現地で建て替える計画がありましたが、その工事は、大西市長によって昨年凍結されていました。

大西市長はもともと、市民病院を移転したかったのでしょうか。

市民病院は市民のための病院なので、熊本市電の電停に近い現在地は、とても良い立地と考えられてきました。

その利便性を捨ててでも移転するのは、広い敷地を確保して、駐車場問題を解決したいこともあるでしょう。

あるいは、移転予定地にはまた別のメリットがあるのかもしれません。

移転予定地は、陸上自衛隊西部方面総監部がある健軍駐屯地に隣接し、消防署と警察署もすぐ近くです。

防災意識や災害医療への期待が高まっている今、この地区への移転は、たしかに違和感がありません。

そこには現在、国家公務員宿舎が建っています。最初に、その取り壊しが必要です。立ち退きはどうするのか。

と思ったら、12棟の公務員宿舎のうち、9棟は未使用(空家)とのこと。そのことに改めて、驚きます。

今回のことがなければ、ずっと未使用のままだったのか。こんな形で、国のムダが露呈してしまいましたね。

あるいは、いざというときに役立てるために、一見ムダな土地を温存していたとでもいうのでしょうか。

自衛隊や消防署に隣接した立地を生かして、この際、災害医療にめっぽう強い病院を目指してはどうでしょう。

すでに定評のある周産期母子医療と、新たに救急救命医療が、新生市民病院の2本柱になればいいと思います。

(追記)

遅ればせながら5月15日になって、熊本市のサイトに、病院再建計画が詳しく示されていることを知りました。

私が偉そうに書いたことは、ほとんど二番煎じでした。ちょっと恥ずかしいかも。

自動車保険と個人情報

最近、車を買い替えた際に、自動車保険の登録内容も変更しました。

ところが、保険会社A社に電話したら、今回買い替えた車種ではなぜか、車両保険を扱えないというのです。

しょうがないので、別の保険会社B社の自動車保険に加入することにしました。それが3月の話。

さて、自動車保険の切り替えで大事なのは、「等級」の引き継ぎです。等級は、保険料の割引率に影響します。

私は割引率最大の「20等級」だったので、これを新しい保険に引き継いでもわらなければなりません。

細かいことは省きますが、B社ではA社の等級を引き継ぐことができない、という問題が勃発しました。

長い間無事故で「20等級」だったのに、今回は初期値の「6等級」で契約してくれ、というのです。

通常の継続契約では、20等級は63%引きですが、6等級は17%引きです。保険料は2倍以上違います。

しかも来年もまだ7等級なので、やはり保険料は2倍以上の差があります。再来年も同様です。

つまり、今回20等級を獲得しなければ、今後10年以上にわたり、損をし続けるのです。

どうやら、私の個人情報が、A社からB社に正確に伝わっていないことが判明しました。

しかも問題は、A社からB社に、直接私の個人情報を伝えることは、A社の規則に反すると言うのです。

保険会社同士は、契約者の個人情報をやり取りしているはずですが、今回は、やり取りしてくれないのです。

プライバシーの保護は大事ですが、本人がOKと言うのに個人情報を他社に渡さないという、融通のなさ。

私がいくら説明をしても、それぞれの会社の規則を遵守するために、杓子定規な対応しかしてくれません。

「お気持ちがわかりますが、規則上・・・」という苦しい返答。それって、何か間違ってませんか。

個人情報も過度に保護すると、その個人本人が不便な目に遭う、という事例です。

車を買い替えて2カ月近くたちますが、いまだに解決に至っておらず、自動車保険は宙に浮いています。

構造色発色

今朝5時頃、左後頭部に違和感を覚えました。痛みではなく、拍動感とでも言うべき、頭皮の異常感覚です。

だいたい朝の5時頃といえば、震度2か3の揺れで目覚めるのが定番でしたが、最近は余震も減りましたね。

それはともかく、枕カバーのシワがダマになって、それが頭皮の動脈を圧迫してるのかと思ったわけです。

こういうときは、頭の位置や向きを変えてみるに限ります。寝返りを打って、右側を下向きにしてみました。

するとどうでしょう、今度は右側頭部に、違和感が移動しました。てことは、違和感の原因は頭ではなく、枕?

そこでガバッと起き上がって枕を見ると、そこには一匹のカナブンが、ゴソゴソしていました。

夢ならここで醒めてほしいところなのですが、残念。今日に限って現実でした。

そういえば昨夜、寝室で何か虫がブンブン飛んでいる音が聞こえていましたが、眠いので無視していました。

あれはカナブンだったのですね。それがどういうわけか、私の頭と枕の隙間に入り込んでいたわけです。

カナブンといってもそいつは、まるでタマムシのように、メタリックグリーンに輝いていました。

これは色素による色ではなく、太陽光が干渉・回折・屈折・散乱してそのような色に見える「構造色」です。

どうやらカナブンやタマムシの翅(羽)の表面構造は、液晶にとてもよく似ているそうですね。

法隆寺の国宝「玉虫厨子(たまむしのずし)」の装飾には、タマムシの翅が、何万枚も使われていたそうです。

私はもう何十年も、生きたタマムシを見ていませんが、カメムシなら、日頃イヤというほど見かけます。

臭いで知られるカメムシですが、なかには、構造色でメタリックに輝くヤツもいます。

だれか「亀虫厨子(かめむしのずし)」なんてのを作った人、いませんかね。臭そうですが。

(追記)あと、「油虫厨子(あぶらむしのずし)」。まったく蛇足ですが、どうしても頭から離れなくて。