益城町の光景

益城町方面に行く用事があり、地震被害がとくに大きかった地域の様子を、昨日初めて目にしました。

町の中心を走る県道から見た範囲だけですが、涙が出そうになるほど悲しい光景に、言葉がありませんでした。

住宅の多くが、グシャッと崩れていました。崩れていなくても、倒れそうなほど大きく傾いていました。

すでに解体された住宅もありましたが、がれきが撤去されておらず、そのまま放置された状態でした。

狭い県道沿いには、いまにも道に向かって倒れてきそうな住宅や店舗が、いくつもありました。

かなり危険な状態ですが、生活にも復旧にも必要な道路なので、交通規制をしていません。

傾いたブロック塀は、傾いたままです。その脇の歩道を、現地の人たちが普通に歩いています。

復旧以前の、まだ震災途上といった印象を受けました。

人々の暮らしはズタズタにされましたが、住宅の全半壊が合わせて2万5千棟という惨状で、死者は49人です。

決して少ない人数とは言いませんが、その倒壊住宅の多さと死亡者数との間には、たしかに乖離を感じます。

震度7の地震が、2晩続けて襲ってきました。

多くの家屋が、前震には耐えました。しかし住民の方々は、前震後に避難所や親戚宅などに避難したようです。

頻発する余震が怖いのに加えて、停電と断水のために、生活がひどく不自由だったからです。

そのように、居住者が退避した次の深夜、本震が起き、家屋が倒壊しました。

前震後の停電・断水がなかったら、本震の前には家に戻って寝ていたかもしれない、と言う人の話も聞きます。

ライフラインが途絶えたのは、ひどく不便なことですが、それで命が救われたことになります。

余震が減り、ライフラインも復旧し、人々が家に戻った頃に本震が起きなくて良かったと、思うばかりです。