老衰と医療費

「都道府県別にみる老衰死率と高齢者一人あたり医療費」というグラフを見て、考えさせられました。

福岡県は、75歳以上死亡のうちの老衰死の割合は全国最低ですが、高齢者一人当たりの医療費は日本一です。

その反対に、老衰死の割合が多い都道府県ほど、高齢者一人当たりの医療費は安いことがわかります。

つまり、老衰死を受け入れるか、徹底的に高齢者に医療介入をするか、という考え方の違いが表れています。

老衰は自然現象であり、心肺機能や神経・骨格筋など、全身の臓器機能の低下が、並行して進行していきます。

それぞれが緩やかに、同時に機能低下をしていくとき、誰の目にもそれが老衰だと映ります。

ところが、どれかの臓器が突出して機能低下すると、治療の対象となります。

ひとつの治療を始めると、今度は別の臓器が問題となり、そっちの治療も始まります。

このように、老化現象に対する医療介入を行えば行うほど、自然な老衰への道は遠ざかります。

「一病息災」というのは、「医療介入による不自然な長寿」なのかもしれません。

老衰死の割合と高齢者医療費が逆相関することは、当然のことです。

どちらが善い悪いということではありません。ただ、どのような形を目指すべきなのでしょうか。

頭もカラダも内臓も「バランス良く老いていく」、というのが理想かもしれません。

そのためには、高齢になる前に、自分の弱点を補強してバランスを保ってておく、ということなのでしょうね。