「ひとみ」を失う

今日は、熊本地震とは関係ない話。2月に打ち上げられた、人工衛星「ひとみ」のトラブルについて。

けっこう期待していたのに、運用断念という結末は残念です。JAXAのサイトによると、そのいきさつは、

(1)回転していないのにもかかわらず回転していると誤って判断し、回転を止めようとしたら逆回転を始めた

(2)危険な状態と判断してスラスタ(推進装置)を噴射したら、それが不適切で、余計に回転が加速した

(3)遠心力が増し、構造的に弱い太陽電池パドルの取り付け部分が破損し、両翼が分離した

スラスタ噴射の設定値を調節した際に、プログラムミスがあったとのこと。これじゃ、やりきれませんね。

万全を期した最初のプログラムではなく、途中で修正したときにこそ、うっかりミスには注意すべきなのに。

事実を明らかにするのは大事なことですが、私個人としては、こんな事実など知りたくありませんでした。

「隕石が衝突して破損したらしい」ぐらいの、ウソの発表をしてくれた方が、今回は良かったとさえ思います。

その方が、よほどガッカリ感が少なかったのに。

震災で大変なときに、300億円以上がムダになったという話はショックですが、いまそれを言いますまい。

全長14メートルの巨大な衛星は、いまも宇宙のどこかでグルグル回転し続けているのでしょうか。

遠心力で飛び出した2枚のパドルは、それぞれ別々の方向に、一定の速度で飛び続けているのでしょうか。

ブラックホールの観測や宇宙の成り立ちの解明が、いったい暮らしに役立つのか、というのは近視眼的発想。

すぐに役立ちそうにないからこそ、夢がある。これにめげず、再チャレンジしてほしいです。