支援と役割

全国からの、心のこもった支援物資が、実は隅々まできちんと行き渡っていないと、たびたび報じられました。

交通網の遮断だけでなく、分配方法が悪いとか、指揮系統が機能してないとか、そいうった面もあるでしょう。

しかしそれもようやく、改善しつつあります。各種団体や個人や、流通企業などの精力的活動のおかげです。

個人的な支援車が道路渋滞を招いている、などとも言われますが、まあ善意ですから。責めてはいけません。

これほどの大災害は、たぶん熊本ではほとんど誰も(個人も自治体も)、想定していなかったでしょう。

東日本では大地震を想定して、個人レベルでも自治体レベルでも、物資の備えがあるかもしれません。

しかし熊本では、自宅に水や食料品の備蓄をするような理由も習慣もありませんでした。1週間前までは。

「前震」の翌日、丸一日余裕があったのに、次に備えるという発想がなく、私は特段準備をしませんでした。

クリニックが断水になったので、水を運ぶポリタンクを買ったぐらいです。今それが、役立っています。

少々強い余震が続きはしましたが、何とかやり過ごせるだろうと、少なくとも私は、タカをくくっていました。

そしたらウソのような「本震」。翌日、大慌てで買い出しに行っても、もう、何もありません。

熊本地域全体としての、物資の備蓄がなかったので、交通網が途絶えれば、すぐに物不足になるのです。

災害時の搬送経路をも想定した、地域全体として、あるいは隣県とも連携した備えが必要だと痛感しました。

断水が続く地域、いまだに停電のところ、それどころか家屋の倒壊や土砂崩れも起きています。

避難所生活の人、車中泊が続く人、住む家が無い人、家族が死傷した人など、被害の程度はさまざまです。

私も被災者のはしくれではあるけれど、私が被った災難など、まったく微々たるものです。

よりひどい状況に遭っている人たちに対して、私ができることは何か、それを考えなければなりません。

私の使命は、そのような方の診療を続けることだと思っています。職員には、とても感謝しています。