震災から5年

原発事故は、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1407.html" target="_blank" title="原発再稼働">原発再稼働</a>にも関連して今もホットな話題ですが、震災関連で最近忘れていたのが、津波でした。

我々は、ハリウッド映画などで、驚異的なCG映像を、日常的に目にしています。

最初『ジュラシック・パーク』を見たときはとても怖かったのに、今ではすっかり慣れてしまいました。

激しいシーンを見て怖くなっても、それが作られた映像であることを思い出すことで、安心できるのです。

しかし<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-523.html" target="_blank" title="東日本大震災">東日本大震災</a>の津波映像は違います。一瞬見るだけで、本当に怖ろしく感じます。

それが現実であること、実際に被害をもたらしたこと、そして今後も起きうることを、知っているからです。

今夜のNHKスペシャルで、あたらめて津波被害の凄まじさと、その避難の難しさを再認識しました。つまり、

(1)地震のあと、一定の時間差をもって津波が来たのに、多くの人が巻き込まれた

(2)高台に逃げた人は助かったのに、避難所にしていた建物に逃げた人は被災した

「地震のあとはすぐ高台に逃げる」という原則を言うのは易しいですが、実行は難しかったのです。

だから、親から昔の津波の話を聞き、日頃から避難訓練をしている地域の人たちなのに、被害に遭ったのです。

いま、地震が起きて津波警報が出たら、みな高台に逃げるでしょう。少なくとも東北では100%逃げるはず。

しかし警報は、あくまで安全のために出されるもの。もともと、はずれることの方が多いのです。

でもそんなことが今後何年も続くと、避難する方もだんだんと手抜きにならないでしょうか。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-188.html" target="_blank" title="地震予測">地震予測</a>は難しくても、津波警報はもっと精度を上げてほしい。警報が<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1010.html" target="_blank" title="オオカミ少年">オオカミ少年</a>になっては困るのです。

世界腎臓デー

毎年3月の第2木曜日は「世界腎臓デー」。慢性腎臓病(CKD)の早期発見と治療について、啓発する日です。

成人8人に1人ともいわれる「CKD (Chronic Kidney Disease)」は、新たな国民病と位置づけられています。

「Chronic」は「慢性」の意味で、「Kidney」は「腎臓」、なので「CKD」で「慢性腎臓病」。

腎臓病は、自然に治らないことが問題。CKDと診断されたら、とにかく悪化させない工夫が必要です。

塩分を控え、食事のバランスを改善し、適度な運動して、血圧や血糖値も適正に保ち、ストレスも避けて・・・

まあ要するに、体にイイコト全部やれと、そういう管理法になります。

世界腎臓デーのイメージキャラクターは「そらまめくん」です。腎臓がそらまめに似た形だからです。

熊本市では、独自ののCKDイメージキャラクターを作っています。「ジンくん」と「ゾウちゃん」です。

いずれもそらまめの形ですが、「ゾウちゃん」が元気そうなのに比べて、「じんくん」は元気無く病的です。

そんな病的なキャラまで作らなきゃいいのに、って思います。いったい誰が考えるんでしょうね。

ドイツ車のBMWは、フロントに「キドニーグリル」という、豚鼻に似た意匠をあしらっています。

エンジンルームへの吸気口であるなら、「ノーズグリル」でも良いのですが、なぜかキドニーなのです。

かつては、縦長のそらまめ型だったのですが、最近のモデルでは、どんどん横長になってきています。

もはや、腎臓に似ているかどうかは関係なく、「キドニーグリル」なのです。

それにしても、なぜBMWは腎臓型のグリルを採用したのでしょうね。そのもともとの理由がわかりません。

エレガントな癌検診

寄生虫の一種「線虫」を使って、癌を早期発見する、という研究が報じられたのは、ちょうど1年前のこと。

たった1滴の尿から、1時間半程度で、数百円の費用で、多種類のしかも早期癌を、高感度で発見できる。

夢のような話なので、「STAP細胞」みたいなことにならないだろうか、という意見も出るほどでした。

サバを食べてアニサキス症で受診した患者を、胃カメラ検査したら、アニサキスが胃がんに食らいついていた。

これをヒントに、アニサキスの仲間である線虫で癌検出能力を発見した、という話も少々出来すぎています。

ところがいつのまにか、実用化に向けて、ベンチャー企業が立ち上がったとのこと。本気なんですね。

HPを見ると、会社の名は「SmartCelegans」。これで「スマートエレガンス」と読ませるようです。

線虫の学名「Caenorhabditis elegans」は通常「C. elegans」と略され「シー・エレガンス」と読みます。

学名をこのように略すことは珍しくなく、すぐ思いつくのは、大腸菌「E. coli」(イー・コライ)です。

それはともかく、「C. elegans」を「Celegans」にして、しかも「エレガンス」と読ませるとはオシャレ。

敢えて、「エレガンス(elegance)」を連想させようということなのでしょう。

それで思い出すのは、昔のダーバンのCMの、アラン・ドロンのセリフ。ある年齢以上の方ならわかりますね。

今日調べてみたら、あれは “D'URBAN, c'est l'élégance de l'homme moderne.” と言ってたのだとか。

ある人は、この発音をカナで、「ダーバン、セレレガンス・ドゥロン・モデルヌ」だと書いています。

しかし、私が子どもの時には、「ダーバン、それでごんす、ドロン、までやん」という風に聞こえていました。

ま、今日はこういう展開でごんす。

金持ちけんかせず

最近、今の私の車よりもずっと大型の車に試乗する機会があって、ゆったりした阿蘇ドライブを楽しみました。

その車に慣れていなかったこともありますが、セカセカしない、穏やかな運転になるんですね、大きな車って。

ある意味「金持ちけんかせず」だなと、その時は思ったのですが、もちろん言葉の使い方は間違っています。

【金持ちけんかせず】

(1)金持ちは利にさとく、けんかをすれば損をすることを知っているので、人と争うことはしない

(2)経済的に余裕があると、こまかい損得が気にならず、他人に対しても寛容になり、争うことがなくなる

正しい意味は(1)ですね。悪く言えば打算的、良く言えば慎重。だからこそ、金持ちになれるのでしょうか。

一方で(2)は間違っていますが、金持ちの良い面、あるいは逆に周囲を見下した態度を言い表しています。

それで思い出すのが、「情けは人のためならず」です。

【情けは人のためならず】

(1)人に情けをかけておけば、巡り巡っていつか自分のためになる

(2)人に情けをかけてやると、その人のためにならない

文化庁の調査では、平成12年時点では、(1)と(2)の解釈が、世の中では拮抗していたようです。

多分今は、間違いの(2)の意味で使っている人の方が、多いでしょう。

つまり(1)のような自分に甘い考えよりも、(2)のような厳しい考え方の方が、受け入れられ易いのです。

ことわざや教訓たるものは、人にとって厳しいものであってしかるべきだと、みな考えているのでしょうね。

聖火台忘れた

新国立競技場問題。また新たな火種が見えてきましたね。昨年からの経緯を振り返ってみると、こうです。

「費用かかりすぎ」→「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1382.html" title="白紙に戻します">白紙に戻します</a>」→「A案に決定しました」→「あ、聖火台忘れた」(←いまココ)

誰ですか、その忘れんぼさんは。責任者出てこい!、ですよ。出てこないでしょうけど。

「どうして誰も気づかなかったの?」と疑問に感じますが、そんな人ばかりではなかったはずです。つまり、

(1)ホントに気づかなかった(←アホ)

(2)なんか変だとは思っていた(←惜しいがアホ)

(3)気づいていたが、なんとかなるのだろうと思っていた(←ひと任せ)

(4)他の部署が対処すべき問題だと考えていた(←無責任)

「日本スポーツ振興センター(JSC)という少し頭のおかしな連中が、聖火台を忘れた設計図を作った」

と言い放つ<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1388.html" target="_blank" title="森元首相">森元首相</a>の態度は典型的な責任転嫁ですが、森氏個人としては、おそらく(1)でしょうね。

一方でJSCは、「組織委の要望の中に、聖火台を競技場内に置くという話はなかった」と(4)の態度です。

いま責任をなすり合っている関係者は、(3)か(4)というよりむしろ、(1)や(2)の方が多いかも。

でもって、私はと言えば、恥ずかしながら(1)なのです。マスコミだって(1)か(2)じゃないの?

今回の問題は、関係者を批判すると、それがブーメランのように返ってくるというジレンマがあります。

日本中のみんなが、聖火台のこと、忘れていたのです。

朝三暮四

茂木健一郎氏がFacebookで、辺野古裁判和解の件をふまえて、「朝三暮四」という言葉を使っていました。

老婆心ながら説明しておくと、故事成語「朝三暮四」の意味はこうです。

ある老人が、飼っていた猿にやる餌のどんぐりを減らそうと考えて、猿に伝えた。

「朝3つ暮れに4つ」と言ったら猿は怒ったが、「朝4つ暮れ3つ」にしたら猿は喜んで受け入れた、という話。

トータル7個は同じでも、目先の利益を多くしたら、猿はコロッとだまされたわけです。

消費税も、来春の税率アップが再延期されるのではないかという話が、最近よく聞かれるようになりました。

国の税収が増えないことで、あとで別の問題が起きるかもしれないとしても、目先の増税回避は嬉しいもの。

もちろんそれが、景気対策に名を借りた選挙対策であったとしても、多くの国民は喜んで受け入れるでしょう。

さらに、われわれ医療関係者にとって、消費税増税延期には別の意味があります。

仕入れなどには消費税がかかるのに、医療費は非課税のため、医療機関は患者から消費税を受け取れません。

消費税率が増えるのなら、その分、診療報酬も増額してもらわなければ、医療機関は損をするばかりです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-813.html" target="_blank" title="2年前">2年前</a>に消費税率が5%から8%にアップした際には、診療報酬が1.36%ほど「手当」されました。

3%分の増税による医療機関の負担増加は、1.36%に相当するだろうと、厚労省は計算したわけです。

ただし最終的には、また別の理屈によって、この1.36%が0.1%にまで圧縮されてしまいました(泣)。

さて今年、診療報酬は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1536.html" target="_blank" title="マイナス0.84%">マイナス0.84%</a>で改定されます。来年の消費増税のことなど、考慮されていません。

したがって、来年の増税によって、診療報酬は実質的にもう一度、マイナス改定されることになります。

そんなひどい話だったので、もしも増税が延期されれば、とりあえず私は猿のように嬉しいのです。

啓蟄

「啓蟄」と言われても、生活上どのような心構えが必要なのかピンときませんが、今日は啓蟄だそうです。

啓蟄は「二十四節気」のひとつで、「冬ごもりの虫が這い出る日」ということになっています。

ただしこの場合の「虫」は、昆虫のような虫ではなく、蛇や蛙などのことなのだそうですね。

鳥や獣や魚以外の小動物をまとめて「虫」と呼んだ名残は、蛇や蛙という漢字の「虫へん」に見られます。

ま、このへんは全部、林修先生の受け売りです。

二十四節気は、太陽の運行を元に考案された、季節の節目であり、言うなれば、四季を細分化したもの。

そのうちの1つの「啓蟄」は、春分の一歩手前という、微妙な季節感を表現するものなのでしょう。

ところで啓蟄は、雛人形を片付ける日だとされていますが、そこにはどのような理由があるのでしょうね。

雛人形を「片付ける」ことと、虫が「這い出る」ことの対比に、何か意味がありそうな気がします。

もともと「雛祭り」は、古代中国で行われていた、季節の変わり目の邪気払いにルーツがあります。

それが日本に伝わり、「流し雛」を経て、厄払いや子どもの成長を願う行事として、引き継がれています。

元はと言えば、冬から春に向かうこの時期の、人々の健康を願うための儀式が、雛祭りというわけです。

雛人形を片付けるタイミングは、無事に新たな生命(虫)が登場する啓蟄が、ちょうど良いのかもしれません。

MRワクチン再接種の壁

効力が厚労省の基準を下回っていたため回収された、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1600.html" target="_blank" title="北里第一三共のMRワクチン">北里第一三共のMRワクチン</a>。

該当ワクチンを当院で接種した方には、希望があれば抗体検査や再接種を行うための、準備を進めています。

安心のために言っておくと、該当ワクチンだからと言って、必ずしも再接種が必須というわけではありません。

厚労省は、再接種を勧奨する必要はないとしています。ワクチンの有効性は、国際基準の範囲内だからです。

メーカーも、有効性および安全性に特段の懸念はないとしていますが、再接種すれば費用は負担するとのこと。

さて問題は、自治体です。定期予防接種の実施主体です。

熊本市では、再接種を定期接種として扱うか、任意接種として扱うか、厳しく線引きをしているようです。

定期接種として扱うための基準は、

(1)まず、抗体検査(血液検査)を行い、抗体価が不十分(=再接種が必要)であることが確認されること

(2)再接種を行う時点で、定期接種の対象年齢(1歳児または年長児)であること

これは難しい注文ですね。まず、血液検査しなければ再接種させないという条件が、小さい子どもには厳しい。

検査によって抗体価が十分と判明する可能性も高く、それはそれで意味はありますが、再接種はできません。

さらに問題なのは(2)の条件。再接種対象者の多くが、現時点ですでに、対象年齢を過ぎているのです。

つまり、このたびの再接種を定期接種扱いで行うことのできる対象者は、実際にはごく少数と考えられます。

当たり前のことですが、定期接種であろうと任意接種であろうと、ワクチンの効果は同じです。

接種費用もメーカーが負担するので、被接種者にも医療機関にも、何の違いもないように思えます。

しかし、万一そのワクチンの接種によって健康被害が起きた場合、適用される救済制度がまったく異なります。

たとえば、死亡した場合の補償は、定期接種なら4,310万円ですが、任意接種なら約718万円と、大違いです。

前者は「予防接種健康被害救済制度」による補償であり、支払うのは自治体です。

後者は「医薬品副作用被害救済制度」による補償であり、メーカーからの拠出金がその原資です。

両者の違いが大きいので、熊本市は今回の再接種に対して厳しい条件を付けていると、思わざるを得ません。

定期接種の効果が不十分だったから再接種するのなら、少なくとも年齢は関係なく定期接種扱いにすべきです。

AppleとFBI

Appleの、iPhone<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1602.html" target="_blank" title="ロック解除拒否問題">ロック解除拒否問題</a>、こじれてますね。Appleの言い分はもちろん、

(1)テロリストとはいえ、個人情報は保護されるべきだ

という議論ではなく、前にも書いたように、

(2)ロック解除用プログラム(OS)を作ることは、他の事例にも使えるマスターキーを作ることに等しい

という考えからからくる拒否反応なわけです。もっと言うなら、

(3)Appleは、そのような権力に屈してプライバシーをないがしろにする企業ではない

ということを、この機会にアピールしておきたいことは間違いありません。さらに踏み込めば、

(4)Apple自身ですら、現時点では個人の端末のロック解除をすることは、技術的に不可能である

ということも(本当かどうかはわかりませんが)あらためて強調して、顧客を安心させようというわけです。

万一、トランプ大統領が誕生したら、Appleをはじめ、IT企業にはかなり厳しいことになりそうです。

もしかすると、(2)のマスターキーを作らなければ、スマホの製造・販売ができなくなるかもしれません。

ところで、もしもAppleとFBIが裏でつながっていたら、今回の問題は「出来レース」ということになります。

Appleの信頼が高まれば高まるほど、FBIは個人情報を簡単に(Appleから)得ることができます。

まさかとは思いますが、米国では、ありそうな話です。

お薬手帳が割引手帳

来月からの診療報酬改定では、「お薬手帳」にまつわる改定が、今ちょっと話題です。

従来の「お薬手帳を断ると20円安くなる」が、「お薬手帳が無いと30〜40円高くなる」と逆転するからです。

調剤薬局が、薬についてあれこれ「指導」をすると、「薬剤服用歴管理指導料」という報酬が発生します。

現時点ではこれが41点(410円)なのですが、お薬手帳を利用しなければ、34点(340円)に減額されます。

お薬手帳を利用しないのなら、その分だけ指導も不十分だろうから報酬は減らしますよ、という理屈です。

これによって、3割負担の方の場合には、窓口での支払いが20円ほど安くなります。

この仕組みを利用(悪用)して、お薬手帳を拒み、支払いを20円ほど安くすることが、現行の制度では可能。

これが「裏技」として広まり、「おくすり手帳を拒んでムダな出費を省こう」みたいになっていました。

しかし本来、お薬手帳は、その患者さんの処方内容を一覧できる、便利で重要なもの。だから普及させたい。

それならば、お薬手帳を持参した方が安くなるようなインセンティブを付けよう、というのが改定の趣旨です。

来月からの薬剤服用歴管理指導料は、初回が50点(500円)、2回目からは38点(380円)になります。

同じ薬局に行くなら、2回目からは安くしますよという、リピーター割引です。

ただしこの割引は、お薬手帳を持参した者にのみ認められます。つまり、お薬手帳が「割引手帳」なのです。