ロック解除拒否

銃乱射事件の容疑者の、iPhoneのロック解除をFBIから要請され、Appleが拒否した問題。

凶悪犯罪に限るなら捜査に協力してもいいのに、とも思えますが、そう単純な話ではなさそうです。

パスコードを10回間違えたらデータが消える仕様を解除せよ、というのが司法省の要請事項です。

そのための、専用のプログラム(専用のiOS)を作れ、ということらしい。

しかしAppleがそれを作れば、以後、すべてのiPhoneにも使えるマスターキーになることは必至です。

いったんマスターキーを作ってしまうと、捜査機関は今後、際限なく捜査協力を要請してくるでしょう。

それどころか、捜査機関自体が、マスターキーを所有する制度になる可能性もあります。

これはちょうど、米国への出入国者のスーツケースに使用されている「TSAロック」に似ています。

米運輸保安局(TSA)がマスターキーを所有しているので、怪しいスーツケースはいつでも開けられます。

TSAロックの制度が導入された時に、米国内で反対運動は起きなかったのでしょうか。

航空機テロという大惨事を防ぐためなら、それはかまわないということだったのでしょう。

それに、絶対見られたくない物や貴重品は、スーツケースに入れておかなければいいのです。

一方で、スマホの中身はプライバシーの固まりです。

メールやその他の、他人に見られたくない情報を、スマホ内部に保存しないわけにはいきません。

だからたとえテロ対策に役立つとしても、捜査機関にマスターキーを渡すわけにはいかないのです。

Appleの姿勢に対して、FacebookやGoogleなど、IT企業のCEOらが賛同の意を公言しています。

なのでGoogleが、Androidスマホのロック解除をFBIから要請されたとしても、当然拒否するはず。

トランプ氏は、Apple製品をボイコットしサムスンしか使わん、などと息巻いていますが、意味不明です。