煮詰まってあんこ

わが家のぜんざいは、何度も火を通すうちに煮詰まって、あんこ状になっていきます。それがまたいいのです。

以前、来客時に、そのあんこに途中で水を足したことがありますが、味がぼやけてしまい後悔しました。

それ以来、どれほど煮詰まっても、途中で水は足さないのが、わが家のぜんざいの掟です。

「煮詰まる」には、「議論や考えなどが出つくして、問題点が明瞭な段階になる」という意味もあります。

ところが文化庁の調査によると「(議論が)煮詰まる」を、本来とは逆の意味で使う人が増えているようです。

(1)「(議論や意見が十分に出尽くして)結論の出る状態になること」(平成19年56.7→平成25年51.8%)

(2)「(議論が行き詰まってしまって)結論が出せない状態になること」(平成19年37.3→平成25年40.0%)

言葉のゆれには色々なパターンがありますが、このように正反対の意味になると、意味の取り違えが心配です。

30代以下では(2)の意味で使う人が大半とのこと。これでは異世代間の会話が、コントになり兼ねません。

上司「例の計画は、煮詰まったかね」

部下「もう、煮詰まっちゃいました」

わが家のぜんざいの場合、「煮詰まる」の意味は(1)でも(2)でもありません。しいて書くなら、

(3)「(意見が完全に出尽くして)まったりとした状態になること」

『真田丸』スタート

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1532.html" target="_blank" title="大河ドラマ">大河ドラマ</a>『真田丸』が、今夜始まりました。こんどは戦国時代です。

主人公が真田信繁で、主演が堺雅人ということよりも、原作が三谷幸喜であることに、私は期待をしています。

「一年かけて主人公の人生を追体験できるドラマなんて、大河ドラマしかありません」と言う三谷氏。

彼自身が若い頃に「同化した」人物として、村田蔵六、呂宗助左衞門、平沼銑次の3人の名を挙げています。

このうち前2者は、私も大好きだった「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-31.html" target="_blank" title="花神">花神</a>」と「黄金の日々」の主人公です。

三谷氏と私は、趣味も近いのかもしれません。年齢も1つ違いだし(私が年上)。

どうもこの、三谷幸喜という人は、ドラマを100%シリアスにはしたくないようです(以下ネタバレあり)。

たとえば今日の放送で、弱気になった武田勝頼を真田昌幸が励ますという、きわめて重々しく深刻なシーン。

武田勝頼「父上が築き上げたこの国を、わしが滅ぼしてしまうのか」

真田昌幸「富士や浅間の山が火でも吹かぬ限り、武田の守りは安泰にございます」

でもって、次のシーンが浅間山の大噴火。ありゃま、という顔の主人公。まったく期待を裏切らない展開です。

「プロフェッショナルとは、期待に応えるということ」という三谷氏の、面目躍如たるところでしょうか。

「軽いと思われがちな僕ですが、『真田丸』をコメディーにしようとする意図は全くありません」と三谷氏。

だいたい予測は付きます。ほどよく笑えるシリアスドラマを、狙っているのでしょう。

化血研、出荷停止解除へ

「厚労省は、誰を保護するために製薬会社を監督しているのか。そのことを忘れているような気がします」

と、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1557.html" target="_blank" title="昨日">昨日</a>は批判的に書きましたが、厚労省の方、すみません。忘れてはいなかったようですね。

どうやら、化血研が製造している重要な薬は、今後出荷停止が解除されていくようです。

例えばワクチンは、2種混合と破傷風以外のすべての製剤が、出荷される見込みとのこと。よかったです。

しかし考えてみると、製品のシェアが大きいから製造販売を特別に許すという決着は、別の意味で問題です。

その理屈が通るなら、重要な製品をつくっている企業は、不正があっても大目に見てもらえることになります。

シェアの大小によって行政処分のさじ加減を変えるのは、不公平です。

化血研に対しては、製品の製造販売は認めるが、会社の存続は認めない、という方向でいくのが妥当でしょう。

塩崎厚労相も「今のままの組織で医薬品の製造販売を継続することを前提としない」と言っています。

技術や製造ラインは、引き継がれるべき資産ですが、化血研の体質は、ここで断ち切らなければなりません。

たとえば、血液製剤とワクチンと動物用薬剤の3部門に分割し、それぞれ同業他社に譲渡するのがよいのでは。

さらに言うなら、40年間隠されてきた不正を、内部告発があるまで40年間見抜けなかった厚労省も問題。

承認書と製造実態の齟齬を、1年以上前から厚労省は把握していたのに、その重大さに気付きませんでした。

査察法を改善すべきなのは当然ですが、責任をとるのが化血研だけでよいのか、その疑問は残ります。

化血研、業務停止へ

厚労省は今日、化血研に対して110日間の業務停止を命じました。そのいきさつは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1521.html" target="_blank" title="前にも書いた">前にも書いた</a>通りです。

「(医薬品)製造販売業許可の取り消し相当の悪質な行為だ」と、塩崎厚労相は厳しく発言していますが、

「(化血研製の)血液製剤やワクチンには、国民の健康確保や医療に不可欠なものもある」とも言っています。

その結果が「業務停止」。他社の製品で代替できるものがない製剤を除いて、販売ができなくなります。

今月18日から5月6日までの110日間は、長いですね。現場ではかなりの混乱が起きそうです。

とくに重大なのは<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-447.html" target="_blank" title="血液製剤">血液製剤</a>なのですが、当院では現在、化血研の血液製剤を使うような診療は行っていません。

当院で日常的に使っている化血研の製剤は、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1479.html" target="_blank" title="ワクチン">ワクチン</a>です。その出荷状況は、次のようになっています。

(1)出荷停止のまま:日本脳炎、A型肝炎、B型肝炎、2種混合(ジフテリア、破傷風)、破傷風

(2)必要性があれば出荷する:狂犬病、まむし抗毒素、はぶ抗毒素

(3)必要性がありすでに出荷中:<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1470.html" target="_blank" title="インフルエンザ">インフルエンザ</a>、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1505.html" target="_blank" title="4種混合">4種混合</a>(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)

日本脳炎ワクチンは、毎年春から接種者が増えます。今はまだ豊富に流通していますが、今後どうなるやら。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1545.html" target="_blank" title="B型肝炎ワクチン">B型肝炎ワクチン</a>はすでに、流通量が激減しています。ある程度の接種制限も、考慮しなければなりません。

必要性があって(3)を出荷したのは、製剤の安全性には問題がないと、厚労省が認めたからです。

それなら同じ理屈で(1)も出荷すべきでしょう。製造法における問題は(1)も(3)も同じです。

業務停止というペナルティが科される対象は、会社や経営者であって、製品(製剤)の利用者ではないはず。

厚労省は、誰を保護するために製薬会社を監督しているのか。そのことを忘れているような気がします。

無銭飲食・無賃乗車

本来有料のサービスを受けておきながら、その対価を支払わない行為には、しばしば名前が付いています。

飲食店では「無銭飲食」の言葉を使い、交通機関であれば「無賃乗車」となります。

無銭飲食は「食い逃げ」とも言うし、無賃乗車は「ただ乗り」という言い方もします。

これが医療機関の場合、どのように表現するのでしょうね。

無銭飲食にも2通りあります。

支払い時に金銭を所持してないことが発覚する場合と、最初から、金は持たんが食わせてくれ、という強者。

前者は、警察に突き出されるか皿洗いというのが定番です。

後者は、追い出されるか、店主の特別な温情によってたらふく食べさせてもらえる場合もあります。

では、医療機関の場合、とくに後者の場合どうすべきでしょうか。じつは時々遭遇するのです。

持ち合わせがない、保険証も切れている、でも何らかの病状で苦しんでいる。明らかに治療が必要。

このような方に、お金がないなら帰って下さい、とは言えません。良心に従えば、診療をすることになります。

次に来たときに保険証と財布を持ってきてくださいよ、と念を押すのですが、二度と来られない方もいます。

内容証明郵便を出して請求するなど、あまり大げさなことは、したくありません。どうしたもんでしょうね。

日韓合意と北朝鮮

慰安婦問題の日韓合意は、年末年始のバタバタに紛れてしまい、早くも過去の話のように思えてきす。

日韓双方の顔を立てた、それこそ玉虫色の決着なので、両者にそれぞれ不満は残るはず。

両国の主要メディアは比較的大人しい反応ですが、とくに韓国では、反発する動きがジワジワと出ています。

いずれにしてもこの問題は、もう少し長い目で経過を見るべきでしょう。

「最終的かつ不可逆的解決」を強調したい、日本政府の気持ちはわかります。蒸し返されるのはイヤです。

しかし、まだ蒸し返されてもいないうちからダメ押しをするような、安倍首相の言動も気になります。

日韓合意の翌日、安倍首相は周囲に次のように言ったと、一部メディアが報じています。

「今後、この問題について一切言わない。(中略) もう謝罪もしない」

これが事実ならガッカリです。気持ちはわかりますが、たとえ腹の中でそう思っていても、言わぬが花ですよ。

さらに安倍首相は、こうも言ったとか。

「ここまでやった上で約束を破ったら、韓国は国際社会の一員として終わる」

これを聞いて思い出すのは、震災後に宮城県庁を訪れた、松本龍・復興担当大臣の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-101.html" target="_blank" title="恫喝発言">恫喝発言</a>でしょう。

「(前略)今の最後の言葉はオフレコです。いいですか?皆さん。絶対書いたらその社は終わりだから」

このままでは安倍首相は、松本氏と同レベルです。たとえ身内にでも、よく考えて発言してほしい。

おりしも、日韓共通の敵である北朝鮮が、今日も水爆実験(?)などという無法なことをしてくれます。

「敵の敵は味方」の理屈で、そろそろお互い仲良くしたいものです。

逆手で逆上がり

小学校のときには苦労しました、逆上がり。どんだけ運動神経が鈍かったんでしょうね。

やがて逆上がりができるようになってみると、どうしてできなかったのかが不思議でしょうがない。

逆上がりするとき、皆さんは日ごろ鉄棒をどのように握りますか。ていうか日ごろ、逆上がりしませんけどね。

順手でしょうか、逆手でしょうか。このときの逆手は「ぎゃくて」と言いますか、「さかて」ですか。

「逆上がり」は「さかあがり」であって、「ぎゃくあがり」とは言いませんね。

いやいや、もしかして今日のブログを、タイトルからずっと、「ぎゃくあがり」で読んできた人いませんか。

前置きが長くなりました。じつは私、つい最近まで、「逆手に取る」の読み方を、勘違いしていたのです。

「さかてにとる」が正しくて、「ぎゃくてにとる」はよく使われるけど厳密には正しくない、と思ってました。

実はその逆。「さかてにとる」も間違いではないけど、本来は「ぎゃくてにとる」だったんですね。

ところが近年「さかて」派が台頭してきたようで、ついにNHKも2年前から「さかて」に変更したそうです。

つまり私の間違いも、今となっては結果オーライというわけです。

なぜか自信を持って「さかて」を使ってきた私のような人間が、ことばの揺れを牽引したのかもしれません。

禁煙しましょう

「一年の計は元旦にあり」といいます。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-856.html" target="_blank" title="正月から禁煙">正月から禁煙</a>している方も多いでしょう。

となると、禁煙外来がいちばん混雑するのは1月だろうと、そう思って当院の診療録を調べたら、違いました。

それどころか、禁煙外来の受診者数を初回来院月別に集計してみると、1年のうちで1月が最少でした。

つまり1月は、薬に頼らず「自力で」禁煙を開始する方が多い、ということなのかもしれません。

それとは対照的に2月は、1年のうちで2番目に、禁煙外来通院を開始する方が多い月でした。

正月から頑張ってはみたけれど、うまくいかず、ついに禁煙外来を訪れるのが2月と、そんな想像もできます。

一番多いのは、9月でした。これは、2010年10月のたばこ値上げ前の、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-50.html" target="_blank" title="駆け込み受診">駆け込み受診</a>が多かったからです。

禁煙補助薬を使ってせっかく禁煙に成功しても、その後、また喫煙してしまう方も少なくありません。

喫煙再開のきっかけの多くが「飲み会」。まだ禁煙できていない悪友が誘惑したケースが、ほとんどです。

その誘いに乗って、「1本だけなら」と吸ったが最後、たいていは喫煙生活に逆戻りです。

禁煙治療に成功した方は、どれほど自信があっても、二度とタバコは手にしないことです。

私はもともと、喫煙習慣がありません。つくづく、若い頃に吸わなくて良かったと思っています。

勤務医の頃、喫煙者の異様にどす黒い肺を、手術中に何度も目にしてきました。

肺をあのように変えてしまう毒素を、毎日毎日肺に送り込んで、それで病気にならないわけがありません。

いま喫煙している方、とくに若い人には、一日でも早く、タバコとは縁を切ってもらいたいものです。

大納言ぜんざい

子どもの頃は、デパートやスーパーの初売りが1月4日だったので、三が日の街中はひっそりしていました。

もちろん、コンビニなんてありません。一般の商店も飲食店も、三が日はすべて閉店していました。

となると3日間、食べるものはひたすら「おせち(お節)」ということになります。あと、お餅とみかん。

いまでは、保存食という意義はうすれましたが、おせち料理を絶やすわけにはいきません。

縁起物であり文化であり、故郷の味や地域の特産など、いろんなものを代々伝えて行かなければなりません。

おせちの定番のうちでも、私が好きなのは「黒豆」です。豆全般が好きなのです。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-453.html" target="_blank" title="ぜんざい">ぜんざい</a>も好きだし。

そして前から思っているのは、黒豆(黒大豆)でぜんざいを作ったらどうなるんだろう、という疑問。

「黒豆」はまだ試していませんが、「大納言小豆」のぜんざいなら、以前いちど作ったことがあります。

煮ても腹が割れないところから、殿中で抜刀しても切腹しなくてい良い「大納言」の名が付けられたこの小豆。

かなり煮詰めたので、さすがの大納言の腹も割れましたが、それでも豆の形が保たれているのはさすが。

大粒で食べ応えのあるぜんざいが出来上がりましたが、見かけが煮豆風で、ぜんざいっぽくないのが難点です。

出生数増加に転じる?

厚生労働省の人口動態統計の年間推計は、なぜか毎年、元日に公表されます。今年はめでたいニュースでした。

注目されていた<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1154.html" target="_blank" title="出生数">出生数</a>は、過去最低の前年を4千人上回り、100万人を切ることは避けられたようです。

「年間推計数」とは、1〜10月までの速報値をもとにして、推計した数値とのこと。その計算式はおおむね、

平成27年の推計数 = 平成26年の確定数 x ( (平成27年1〜10月の速報値) / (平成26年1〜10月の速報値) )

なるほど、単純に1〜10月分の数値を10分の12倍して1年分、という推計ではなかったようです。

厚労省の資料では「平均発生間隔」に目が留まります。学術的な必要性は疑問ですが、インパクトはあります。

出生だと31秒。31秒に1人生まれているということです。ところが死亡は24秒に1人。

医学がいくら進歩しても、あるいは進歩したからこそ、高齢者数がとても多く、死亡数はしばらく減りません。

婚姻件数は、戦後最少値を更新したようです。年間数十万組しかない婚姻数が、9千も減るとは激減でしょう。

その前年も1万6千組減っています。婚外子の少ない日本では、このままでは子どもがますます減りそうです。

今回の出生数の増加が、ぬか喜びに終わらないように、抜本的な少子化対策をお願いします、安倍首相。