店に入るときに「ごめんください」と言わなくなりました。少なくとも私は、何十年も言ってない気がします。
ゆめタウンの入口で「ごめんください」などと言ったら、バカ受けです。
昔、私の父はよく、店に入るとき「ごめんなさい」と言っていました。恥ずかしかったですね、子ども心に。
「ごめん(御免)」はもともと「許可」の意味です。
「ください」は、「ご覧ください」のように、「ご(御)」を伴う漢語に付くと、願いを表します。
なので「ごめんください」は、「(入店の)許可をお願いします」ということになります。
他人の家を訪れたときも、あるいは別れるときも、その許しを願う意味で「ごめんください(ませ)」です。
「なさい」も、「おやすみなさい」のように、「ご」や「お」を伴う言葉に付いて、その行為を願うもの。
その意味では、入店時に「ごめんなさい」と言っても間違ってはいないことが、今ごろになってわかりました。
店主が通常は店の表に出ていないような個人商店では、入店するときの「ごめんください」が必須です。
「客が来ましたよ」「入りますよ」と伝えるためです。それを聞いて、店主がやおら奥から出てくる。
「ごめんください」の出番が減ったのは、そのようなレトロな店が減ったためかもしれません。