異類婚姻譚

芥川賞と直木賞の選考会が行われ、それぞれの受賞者が決まりました。

あの『火花』からもう、半年も経ちましたか。確かにその時の話を、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1383.html" target="_blank" title="7月18日のブログ">7月18日のブログ</a>に書いてますね。

芥川賞受賞作は、本谷有希子氏の『異類婚姻譚』と、滝口悠生氏の『死んでいない者』。

どちらから読もうかと考えたときに、タイトルからくるインパクトは、ほぼ互角。

ノミネートが4回目だった、本谷氏に敬意を表して、今日は『異類婚姻譚』を読んでみました。

こういうものは、読みたいときに読むのがいちばん。なので今回は、電子書籍で購入しました。

今日買ったのはiBook版ではなく、それよりも66円ほど安かったKindel版です。

いまやKindle版の電子書籍も、MacやiPhoneで自在に読めるので、もう、どちらでも良いのです。

「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。」

これが書き出し。これ以上は書きません。やっぱり、つかみは大事ですね。

「ある朝、(中略)自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。」

で知られるカフカの『変身』のような、いきなり不条理パターンです。

奇妙な書き出しだけなら、私でも思いつくのですが、問題は、その後の展開力なんでしょうね。

プロの小説家は、その書き出しをとっかかりにして、さらに別のエピソードをいくつも広げていきます。

私だったら、最初に思いついたアイデアに固執して、ひたすらそれを掘り下げていくだけでしょうね。

『異類婚姻譚』を読み終えて、つくづくそう思いました。