万葉仮名風の名前

いわゆる「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-678.html" target="_blank" title="キラキラネーム">キラキラネーム</a>」に限らず、最近の子どもの名前には、万葉仮名風のものが増えてきました。

漢字の読みを全部使わず、頭の1音(または2音)だけを使って、組み合わせたものです。

「心」という漢字を使った名前の場合を検証してみます。訓読みなら「こころ」、音読みなら「しん」です。

人名には「きよ」「ご」「ごり」「さね」「なか」「み」「むね」「もと」も使えると、辞書にあります。

しかし実際には、それ以外の使われ方を、しばしば目にします。当院の患者データベースで調べてみました。

「心」の字を含む名前の方は、全部で222名でした。

名前が「心」1文字の人が10人。読みは、「こころ」「しん」「じん」「ここ」の4パターン。

2文字以上の名前で、その先頭文字が「心」の人は、全部で117人。

「心」の読みは、「ここ」38人、「こ」31人、「しん」6人、「し」4人、「み」38人。

とくに今風なのが、「こころ」や「しん」の頭1音だけを借りた「こ」と「し」です。

2文字以上の名前で、名前の末尾の文字が「心」の人が全部で94人。

「心」の読みは、「ここ」1人、「こ」23人、「しん」42人、「み」16人、「く」1人、その他(省略)。

「し」はいませんが「こ」が多いです。「く」は「こ」からさらに派生したものなのでしょうか。

音訓にかかわらず、漢字の読みの1音だけを組み合わせれば、命名の自由度はいくらでも広がります。

名付けたい「よみ」と、使いたい「漢字」を両立させるための、今風の工夫なのかもしれません。

東芝のテレビ

新聞記事を斜め読みしていたら「大ナタ」「止血」という、物騒な文字に目が留まりました。経済記事です。

東芝の経営再建は、国内外の拠点再編・人員削減などのリストラ策による、一時的な「大赤字」が前提だと。

大ナタをふるってあちこち切り捨て、大出血させた後、止血し、体質を改善しようということのようです。

生き延びるために、機能の低下した患部を切り落とすような、そんな容赦の無い大手術になるのでしょう。

しかし、いったん切り落とした部分は、もう生えてきません。憂慮するのは、テレビ部門からの撤退です。

わが家のリビングには、きわめて高度でマニアックな機能を有する、東芝製のテレビが鎮座しています。

録画機も、東芝の製品からはオタク臭が漂うので好きです。家電と言うよりも、パソコンに近いイメージ。

過去には他社のテレビも買って来ましたが、もうこれからは東芝一筋で行こうと、そう思っていた私です。

ところがその東芝が、テレビ事業から完全撤退するかもしれないと、日経の記事にはあります。

少なくとも事業は大幅に縮小されるようで、東芝のテレビの魅力は今後失われるでしょう。悲しいことです。

数年前のNHKスペシャルで、東芝のテレビ開発者が、こう言っていました。

「(日本のものづくりはどこへ向かうべきかと問われて)職人芸の方にいくしかないでしょう」

そのおかげで、私の好きなオタクなテレビができたのですが、企業経営的には、難しかったようです。

風邪が入る

インフルエンザはまだ流行していませんが、寒くなって風邪の患者さんが増えています。

「風邪を引いた」という意味で、私の父はよく「風邪が入った」と言ったりします。

方言(山口弁)だろうと何十年も思っていましたが、最近調べてみたら、そうでもないようですね。

「風邪(ふうじゃ)が入る」という東洋医学の考え方で、「邪気」がカラダに入るということらしい。

邪気=病原体(とくに気道に急性炎症を引き起こすウイルスなど)と考えるなら、その表現が正解でしょう。

そしてその邪気を、自分のカラダに引き寄せ、受け入れることを、「風邪を引く」と言うわけです。

「風邪を引いた」と能動的に表現するか、「風邪が入った」と受動的に言うかの違いです。

「幸運を引き寄せた」と「幸運が舞い込んだ」の違いみたいなものでしょうか。

風邪なんて、好きで引き寄せるものでもないので、医学的には「入った」が正しい表現かもしれません。

いや、不摂生が原因なら、引くべくして引いた風邪とも言えるでしょう。

診察中には、引き寄せたくない病原体が、患者さんの咳とともに私の顔面をしばしば直撃します。

メガネをかけてマスクも付けていますが、それでは不十分です。

かつて豚インフルエンザのときには、専用ガウンやゴーグルを備えたものですが、ほとんど使わずじまい。

高病原性インフルエンザのパンデミック時ならともかく、日ごろの診療で重装備をするわけにもいきません。

医師が感染を完璧に防ぐのは不可能。ならば感染しても発症しないような、免疫力を付けるしかありません。

診療報酬上げ下げ

来年度の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1523.html" target="_blank" title="診療報酬">診療報酬</a>の改定方針が決まりました。

本体部分(医師の技術料相当)を0.49%引き上げる一方、薬価は1.22%、医療材料は0.11%の引き下げです。

診療報酬全体としてはマイナス0.84%で、「8年ぶりの引き下げ」と報じられています。

ちょっと待ってください。「8年ぶりの引き下げ」って言われるのには、少々違和感があります。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-813.html" target="_blank" title="前回">前回</a>(2014年4月)の診療報酬改定額は、たしかに小幅(全体改定率 +0.1%)引き上げでした。

しかし同じタイミングで消費税も5%から8%に引き上げられたのに、医療費の引き上げは0.1%だったのです。

医療費(保険診療)は非課税ですが、患者サイドからすれば、税込なのかどうかは関係ありません。

消費税が3%分上がったのに、窓口で支払う医療費の値上げは、わずかに0.1%だけだったということです。

患者負担からすれば、他の物はみな増税したのに、医療費だけほとんど値上がりしていないという感覚です。

その意味で、前回の診療報酬改定は、引き上げではなく、実質的な引き下げだったのです。

そればかりではありません。上げ下げでいうのなら、その幅(絶対値)にも、きちんと目を向けるべきです。

2000年の改定率から、2016年の改定(予定)率までを、順に書き並べてみると、

+0.2 ー2.7 ー1.0 ー3.16 ー0.82 +0.19 +0.004 +0.1 ー0.84%

こうしてみると、上げるときは小幅、下げるときは大幅、というパターンなのがよくわかります。

来年度の改定を「8年ぶりの引き下げ」というのは、間違いではありませんが、本質を見誤った表現なのです。

『夫婦別姓』合憲?

「夫婦別姓」問題。最高裁大法廷の判断が、昨日、示されました。

この報道に関連して、NHKの字幕に問題があったと騒がれていたので、録画をじっくり検証してみました。

NHKは午後3時から、最高裁前からの中継を含めて、特別報道態勢で生放送をしていました。

午後3時16分、ニュース速報のアラームとともに、画面上部にテロップが表示され、さらにアナウンサーが、

「(夫婦別姓を認めない)民法の規定については、憲法に違反しないという初めての判断を示しました」

やはり合憲と判断されたようです。ところが、そのまま見ていると、テロップが3つに増えています。

(1)夫婦別姓認めない民法規定 合憲の判断 最高裁判所(画面上部の白黒のテロップ)

(2)「夫婦別姓」合憲判断 (いちばん目立つ、画面下のカラーテロップ)

(3)「夫婦別姓」最高裁 合憲と判断(画面右上のカラーテロップ)

このうち正しいのは(1)です。それを簡略化して、おかしなことになったのが(2)と(3)です。

おそらく「『夫婦別姓』問題、合憲判断」のつもりなのでしょう。

大事なところを省いたおかげで、意味が反対になっています。かなりダメでしょう、これは。

しかも(1)はすぐに消え、誤解を招く(2)と(3)だけが、しばらく表示され続ける始末。

途中からテレビを見た人は、「夫婦別姓、合憲」の文字に驚いたことでしょう。

テロップには、簡潔な表現が求められますが、なによりまず、正確に伝わらなくては話になりません。

ダウ・デュポン

米国の化学会社「ダウ・ケミカル」と「デュポン」が経営統合し、世界一の化学企業になると報じられました。

私には直接関係のないことですが、しかし新聞記事を見て驚きました。

世界の化学メーカーの売上高トップ10に、日本企業が含まれていないからです。

日本でトップの「三菱ケミカル」は、世界第11位。惜しい、なんて言ってられません。

似たようなことは、製薬会社にも言えます。日本でトップの「武田薬品」は、世界でいうと16位前後です。

科学立国日本において、化学は得意分野のひとつと思っていましたが、こんなことになっているとは。

化学工場といえば、子どもの頃(60年代)にはとても身近な存在でした。ニオイがするほど身近でした。

私が住んでいた防府市の海沿いには、協和醗酵や鐘紡などの工場が建ち並んでいました。

例の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1532.html" target="_blank" title="華浦小学校">華浦小学校</a>や、そこに転校する前に通っていた新田小学校はまさに、その工場地帯に位置していました。

近所には「協和町」とか「鐘紡町」という地名もあり、海には工場排液が垂れ流しで、海水は醤油色でした。

海だけではありません。地域によっては大気汚染もひどかった頃です。今の中国と似たようなものです。

やがて公害問題が深刻になり、健康被害訴訟が次々と起き、環境改善が国や産業界の課題となりました。

そのような苦難の時期を乗り越えていく過程で、もしや化学工業に逆風が吹いたのでしょうか。

今となっては日本の化学企業は、自動車業界と比べると、あまりにも世界シェアが低いです。

何か問題(公害など)が起きると、とたんに萎縮・後退してしまう、日本の体質が原因かと思えてなりません。

トイレの手洗い

ノロウイルス感染に限らず、トイレでの手洗いは、感染予防の第一歩です。

これには、自分を守る(自分が感染しない)ためと、他人を守る(感染を広げない)ための、2面があります。

まず、自分が感染しないためには、トイレはあちこちが汚染されていると考えて、警戒することでしょう。

トイレの個室に入ってドアをロックしたら、まず、いったん自分の手を消毒します。

トイレットペーパーの先が三角折りされている場合には、その部分を捨ててから、もう一度手を消毒します。

さらに、ドアノブやドアロックや、水洗のレバーやお尻洗浄ボタンや便座など、あちこちを拭き上げます。

このようなことを可能にするためには、携帯用の手指消毒液を持ち歩く必要があります。

次に、自分が何らかのウイルスに感染している場合は、感染を拡大しないように、細心の注意が必要です。

用便後から手洗いするまでの間の手は、ウイルスで汚染されていると考えなければなりません。

その手で触れた、水洗レバーや洗浄ボタンや、ドアロックやドアノブなどは、すべて汚染されてしまいます。

手洗いしてからパンツを穿く人などいません。だから当然、衣類も汚染されてしまいます。

ではどのようにすれば、感染拡大を防ぐことができるのか。その理想的な手順を考えてみました。

(1)用便後に水を流し、ドアロックを解除し、ドアを開いておく。

(2)レバーやボタンやロックやドアノブを、消毒液をしみこませたトイレットペーパーで拭き上げる。

(3)手をよく洗う

(4)パンツを穿く

防府市へ納税

大河ドラマ「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1216.html" target="_blank" title="花燃ゆ">花燃ゆ</a>」は、昨日が最終回でした。

全50話の平均視聴率12.0%は、「平清盛」と並んで、大河ドラマ史上歴代ワーストタイだそうです。

ま、いいじゃないですか。盛り上がりには欠けましたが、またひとつ、歴史を学ぶことができました。

幕末から明治維新のドラマは、誰を軸に描くかによって、盛り上がり方がだいぶ異なります。

吉田松陰の妹が主人公ということで、比較的穏やかな人間ドラマになる事は、ある程度想像していた通り。

山口県出身の私の思い入れもありますが、私が育った防府市について、新たに知った史実もありました。

大河ドラマの本編終了後には、「花燃ゆ」紀行という、ちょっとしたコラムのような短編番組があります。

毎週、何気なく眺めていたのですが、その映像に驚かされることが、時々ありました。

私の母校「華浦(かほ)小学校」がいきなり画面に登場したときが、まさにそうです(5月3日放送)。

主人公の夫となった楫取素彦が教鞭を執った「越氏塾(えっしじゅく)」が、その源流なのです。

「歴史はな〜が〜く〜、300ね〜ん」と歌っていた、小学校時代を思い出します。

そして昨日の最終回では「鞠生(まりふ)幼稚園」が登場。私の妹が通った幼稚園です。

主人公の楫取美和夫妻が、その創設を支援したとのこと。そんな歴史のある幼稚園とは知りませんでした。

というわけで、もうずいぶん訪れていない遠い郷里を想い、今日は防府市に、ふるさと納税をしました。

これまでお礼品目当てであちこちに納税してきましたが、今回は、本来の意味でのふるさと納税となりました。

外食か持ち帰りか

消費税の軽減税率の対象品目が、ようやく決まりました。

生鮮食品と加工食品(飲料・菓子を含む)が対象となり、アルコール飲料や外食は対象外です。

となると次の問題は、外食かどうかの線引きですね。悩ましいケースが、いくつも想定されています。

たとえばハンバーガー。店で食べる「イートイン」なら外食扱い、持ち帰り「テイクアウト」なら軽減税率。

では、店を出て、駐車場の車内で食べた場合は持ち帰り扱いなのか。それとも店の敷地は店内とみなすのか。

そもそも、いったん金を払って買った物を、どこで食べようが自分の勝手ではないのか。

この話になると、よく引き合いに出されるのが、高い消費税率の先進国、欧州の事例です。

たとえばドイツのハンバーガー。店内で食べると19%の税率、持ち帰りなら7%と、かなりの値段差です。

これじゃ、みんなテイクアウトで買った後で、そこら辺で食べるんじゃないの、と思ってしまいます。

ところが、ドイツマクドナルドでは、イートインとテイクアウトでは価格が同じ、という記事を見つけました。

税率は異なっても、税込み価格が同じになるように、持ち帰り用は本体価格を高くしているからだそうです。

これって、軽減税率の主旨に反するような気がします。ドイツ人は納得しているのでしょうか。

ピザの宅配や出前を、外食扱いにするような話も出ていますが、その根拠は何でしょう。

そもそも「外食」とはなんぞや。その定義を明確にして、論理的に線引きをしてもらいたいものです。

新型ノロ流行か

ノロウイルスによる、感染性胃腸炎の流行が懸念されています。テレビを見ればノロの話題ばかり。

もはや、この呼称をやめるように訴えている<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1331.html" target="_blank" title="野呂さん">野呂さん</a>への、配慮のかけらもありません。

胃腸炎の原因はノロウイルスだけではないのですが、いまの時期、多くの方がノロを心配して来院されます。

ノロは潜伏期が24〜48時間程度あるので、少なくとも夕方牡蠣を食べて夜中に発症することはありません。

その確定診断は、持参便の簡易迅速検査によって行うことができますが、実際には少し、問題があります。

(1)3〜64歳では検査に保険が利かず、自費で検査すると混合診療になるので実施しにくい

(2)そもそも年長児や成人で、便を持参する方はほとんどいない

(3)簡易検査キットで、必ず検出されるとは限らない(偽陰性がある)

(4)今年流行している新型(新しい遺伝子型)のノロウイルスは、とくに検出されにくい

3歳以上の患者さんでは通常、症状と状況(家族や幼稚園等でノロが出ているか)によって診断します。

ただしノロウイルス感染であるかどうかによって、治療法は変わりません。いずれにせよ対症療法です。

最近よく聞くのが、「トイレを流す時は、便器のフタ(便フタというらしい)を閉じてから」ということ。

水が流れる際に、便器から微粒子が立ち上るのを捉えた映像が、繰り返し報じられています。

報道番組でもためしてガッテンでも、その映像を目にしました。あの微粒子を、吸い込みたくはないですね。

ただ私は、便フタを閉じて流すのには、抵抗があります。ちゃんと全部流れたかどうか、気になるからです。