多剤投与

医薬品の「多剤投与」を問題視する記事が、今日も出ています。

医者が儲けるために、不要な薬をたくさん処方していると、そう言わんばかりの論調が多いです。

そのようなケースもあるかもしれませんが、しかしほとんどの多剤投与は、必要に迫られた処方なのです。

いちばん頻度が多いのは、複数の生活習慣病の組み合わせ。とくに高齢者。どうしたって薬は多くなります。

年季の入った高血圧は、2剤3剤以上の降圧剤によってやっと管理できることも、珍しくありません。

糖尿病を合併している場合には、しばしば2剤以上の血糖降下剤を処方することになります。

高脂血症や高尿酸血症も合併している方だと、またそれぞれの薬が増えます。

すでに脳血管障害や心筋梗塞などの既往のある方には、血液サラサラの薬が必要です。

その薬の副作用で胃が荒れることも多く、しばしば胃薬を併用します。

便秘気味の方は、血圧を上げないためにも、緩下剤を処方します。

さらに、不整脈や慢性閉塞性肺疾患や前立腺肥大や、アレルギー性鼻炎や骨粗鬆症を伴っている方もあります。

ひとつひとつの病状に対して、それぞれきちんと治療しようとすると、薬はどんどん増えてしまいます。

「多剤投与」の第1の原因は「多病併存」です。まずはそのことを強調しておきます。