「リンゴ病」は4,5年周期で流行しますが、今年は流行年です。当院にもほぼ毎日、1人か2人来院されます。
正式には「伝染性紅斑」という名前の感染症で、おもな症状は、頬や四肢の網状紅斑(まだらな赤み)です。
ほっぺたが真っ赤になるので「リンゴ病」ですが、四肢はおろか、腹部や臀部まで紅斑が出ることもあります。
病原体は「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスで、風邪のように飛沫・接触感染します。
リンゴ病のお子さんは、たいてい元気なので、お母さんの心配は「いつから登園できますか」ということです。
これに対して「発疹が出た時点で、もう感染力はありません。元気なら、すぐ登園できますよ」と答えます。
B19に感染すると、まず風邪のような症状が出ます。この時は感染力がありますが風邪と区別がつきません。
やがてウイルスが減り、ほとんど感染力が失われた後に、皮膚症状(まず頬の発疹から)が出るのです。
B19感染がとくに問題となるのは、妊婦さんの感染。胎児の造血機能を障害し、強い貧血を起こします。
前回2011年の流行では、69例の胎児感染が確認されており、うち49人が流産・死産したそうです。
妊婦さんのいる家庭では、上のお子さんがリンゴ病を発症することも多く、胎児感染の心配はつねにあります。
ところがリンゴ病の感染力があるのは、発疹が出る前なので、実際に感染を防ぐのは、ほぼ不可能。
こういう感染症こそ、早くワクチンを開発してもらいたいものですが、まだ完成していません。
となると、B19の抗体を持たない女性は、妊娠していないうちに、リンゴ病に罹っておくしかないのかも。