カウントダウン

大晦日です。たまたまNHKの、「全国自治宝くじ年末ジャンボ宝くじ抽選会」の中継番組を見ました。

宝くじは買ってもいませんが、1等賞金7億円の当せん番号が決まる様子を、眺めていました。

回転するそれぞれの桁の円盤に、特殊な仕掛けで発射された矢が、一斉に刺さっていくシステムです。

1等に限り、ゲストの高市早苗総務相が千位、松平健が百位の発射ボタンを押しました。無事刺さりました。

「幸運の女神」とされる女性が、矢が刺さった番号をひと桁ずつ確認しながら、読み上げていきます。

「はちじゅう、ろくのくみの、じゅうまん、ろくせん、ろっぴゃく、れいじゅう、はちばんです」

「霊獣」? 「れいじゅう」って読み方には違和感ありますが、おそらくここでは、それが適切なのでしょう。

「れいじゅう」ではなく、「ゼロじゅう」と読んだとしても、やはり奇異な感じはします。

しかし日常的には、数字を読むときには、「れい」よりも「ゼロ」の方がしっくりくることが多い気がします。

ところがNHKは、そこらへんが厳しい。カウントダウンの場合だと、「さん、に、いち、れい」なのです。

「さん、に、いち、ゼロ」では、「いち、に、スリー」と同じぐらい違和感がある、という理屈だとか。

「事故ゼロ」のように「無」を強調するときに限り「ゼロ」を使うとNHKは言ってますが、少々頭が固い。

和語「ひとつ」、漢語「いち」、外来語「ワン」は、混ぜるなと、そういう考え方なのでしょうか。

でも「ひとり、ふたり、さんにん、・・・」のように、和語と漢語はすでに、かなり入り交じっています。

「海抜ゼロメートル地帯」はOKなのに、降水確率は「0(れい)%」と言うのでは、一貫性がありません。

「ゼロ」がしっくりくる場合には、素直に「ゼロ」を使えば良いのに。

しめ飾り準備完了

自動車のフロントに「しめ飾り」を付けて走っているのって、最近見かけませんね。

そんなことを思いながら、今日はわが家の玄関に、しめ飾りを取り付けました。

28日までに飾るのが良いのですが、仕事納めから帰宅した夜は、バタバタしていたので忘れてました。

29日に飾るのは、「二重苦」につながるとされているので、飾ることができず。

31日では「一夜飾り」と言われて良くない。なのでチャンスは今日、30日しかなかったわけです。

「しめ飾り」は漢字で、「注連飾り」と書きますね。ほかに「標飾り」とか「七五三飾り」とも書くそうです。

これらは「しめ縄」も同じ。「締め飾り」とか「締め縄」と書いてもしっくりきそうですが、間違いです。

では「締め」ではない「しめ」とはなんぞや、という話になりますね。調べたら「占め」でした。

自分の占有であることを示すしるしが、動詞「占める」の連用形を名詞化して「標(しめ)」だそうです。

とくに「神の居る地域などの立入を禁ずる」ために、木を立てたり縄を張ったりすることのようです。

その由来は、天の岩戸から出てきた天照大神がまた隠れないように、岩戸の入口に張った縄とされています。

つまり最初は、神を締め出して立ち入らないようにするための、結界だったんですね。

それが逆転して、しめ縄やしめ飾りは、内部に神様が居るので不浄の侵入を防ぐための、結界となりました。

さらに転じて、正月に年神様が家に来ていることを表す目印が、しめ飾りというわけです。

似たような結界を、中国では死者の出棺後に、再び死者の霊魂が入らないようにするために使うそうです。

これを「注連(ちゅうれん)」といい、日本の「しめ」とは意味が異なるのですが、似ています。

似ているので、漢字をいただいて「しめ」を「注連」と書くようになったそうです。誤解を招く当て字ですね。

以下余談です。

「しめ」と言えば、福岡市の東に隣接して「志免(しめ)町」があります。これも「しめ」です。

宇美八幡宮の注連縄を作った場所だというのが、地名の由来だそうです。偶然の一致ではありませんでした。

ちなみにその宇美八幡宮は、志免町の南に隣接する、「宇美(うみ)町」にあります。

三韓征伐から帰ってきた神功皇后が、応神天皇を産んだ場所です。「産み」が「宇美」の由来です。

こうしてみると「注連」も「志免」も「宇美」も、その文字そのものは、本来の意味とは無関係なんですね。

10大ニュース

「池上彰が選ぶ2015重大ニュース」と称した番組を、今夜テレビ朝日が放送していました。

この時期の報道番組はよく、「今年の重大(または10大)ニュース」などというテーマを組んでいます。

しかしこの手の番組を、まだ今年が終わってもいないうちから放送するのは、いかがなものか。

年末にとんでもない大事件が起きたら、いったいどうするつもりなのでしょう。いつもそれが気になります。

たとえば「慰安婦問題の日韓合意」は、年末に飛び込んできた、日韓関係ではかなり重大なニュースです。

つまり理論的には、今年のニュースは、今年が終わってからでないと総括できないはずなのです。

なので正月こそ、新年への展望や教訓につなげる意味で、前年の重大ニュースを振り返る好機だと思います。

ところが元日のテレビは、行き当たりばったりな、お笑い番組ばかりが目立ちます。

この状況は、私の記憶する限り、何十年もずっと同じです。芸人が徐々に代替わりしているだけです。

正月早々、過去を反省したり、堅いこと考えたりするのは控えようというのでしょうか。

前年の重大ニュースを交えつつ、元日に報道特集をやる放送局が、ひとつぐらいあってもいいと思うのですが。

池上さん、いかがですか。

多剤投与

医薬品の「多剤投与」を問題視する記事が、今日も出ています。

医者が儲けるために、不要な薬をたくさん処方していると、そう言わんばかりの論調が多いです。

そのようなケースもあるかもしれませんが、しかしほとんどの多剤投与は、必要に迫られた処方なのです。

いちばん頻度が多いのは、複数の生活習慣病の組み合わせ。とくに高齢者。どうしたって薬は多くなります。

年季の入った高血圧は、2剤3剤以上の降圧剤によってやっと管理できることも、珍しくありません。

糖尿病を合併している場合には、しばしば2剤以上の血糖降下剤を処方することになります。

高脂血症や高尿酸血症も合併している方だと、またそれぞれの薬が増えます。

すでに脳血管障害や心筋梗塞などの既往のある方には、血液サラサラの薬が必要です。

その薬の副作用で胃が荒れることも多く、しばしば胃薬を併用します。

便秘気味の方は、血圧を上げないためにも、緩下剤を処方します。

さらに、不整脈や慢性閉塞性肺疾患や前立腺肥大や、アレルギー性鼻炎や骨粗鬆症を伴っている方もあります。

ひとつひとつの病状に対して、それぞれきちんと治療しようとすると、薬はどんどん増えてしまいます。

「多剤投与」の第1の原因は「多病併存」です。まずはそのことを強調しておきます。

がん予防ワクチンの危機

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1186.html" target="_blank" title="子宮頸がん">子宮頸がん</a>を予防するための、世界中で広く行われているワクチンの接種が、日本では完全に滞っています。

世界よりもずっと遅れて導入した、そのワクチンの副作用に過剰反応し、接種を事実上中断しているのです。

欧米諸国も、副作用については承知していますが、がん予防のメリットを重視して、接種を続けています。

日本の医療団体や関連学会や、WHOまでが、ワクチンの勧奨接種の再開を求め続けています。

将来、欧米諸国では子宮頸がんが激減することが期待されているのに、日本だけが取り残されかねません。

予防できるがんを予防しないという選択の誤りに、早く日本人(世論とマスコミ)が気付いてほしいものです。

肝臓がんなどを予防するために、世界中で行われている<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1195.html" target="_blank" title="B型肝炎ワクチン">B型肝炎ワクチン</a>の接種も、日本では危機的状況です。

来年4月から、ようやく定期接種になる方向でしたが、国の予算がつかず、開始時期は無期延期されています。

欧米どころか、アジアや南米やアフリカのほとんどの国で定期接種なのに、日本はまだ予算がつかないのです。

もはや日本は、「ワクチン後進国」ではなく、「ワクチン最後進国」と言わなければなりません。

おまけに、B型肝炎ワクチンの国内シェア79.9%の化血研が、もうじき営業停止です。

他社が製造していない薬剤は、例外的に流通が認められるようですが、79.9%だと、どうなるんでしょうね。

現在ワクチンの流通量は激減しており、このままでは定期接種どころか、任意接種すら危ぶまれる状況です。

小児科学会は先週、緊急性のある患者さん以外に接種するのを控えるよう、要請を出しました。

化血研は厳しく罰して欲しいですが、子どもたちに罪はありません。ワクチンの流通だけは保ってほしい。

夜中の侵入者

クリニックは「セコム」で警備しています。異常事態が発生すると、警備員の方が駆けつけてくれます。

これまでに十数回、そのような緊急出動をしていただいたでしょうか。すべて、事件性はありませんでした。

パトカーと警察ヘリまでが出動して、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1134.html" target="_blank" title="大捕物になったこと">大捕物になったこと</a>も、一度ありました。恥ずかしい出来事でした。

警備システムのセットを忘れて院長室で寝ていた私が、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-828.html" target="_blank" title="不審者と間違われて恥をかいたこと">不審者と間違われて恥をかいたこと</a>もありました。

今朝5時台の緊急出動は、院内キッズコーナーのセンサーが、何者かの侵入を感知したためです。

あわてて駆けつけたセコムの警備員が目にしたのは、不審者ではなく、揺れるサンタクロースなのでした。

タイマーをセットしていたエアコンが起動して、風でクリスマスの飾りが揺れ、センサーが反応したのです。

「ぬすびとはサンタクロース♪」というフレーズを、セコムの人は連想したかもしれません(たぶん違う)。

「侵入者はサンタ、繰り返す、侵入者はサンタ」と、バウアー風に電話連絡したかもしれません(絶対違う)。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-887.html" target="_blank" title="似たような事例">似たような事例</a>(失態)は、何度も経験してきました。吊り下げたモビールとか、窓際の観葉植物とか。

そのたびにセコムの方にはたびたび駆けつけていただき、恐縮しています。

このようなことが多くなると、ついにセコムの人も来なくなりゃしないかと、心配になります。

東芝メディカル売却へ

当院が所有する高額医療機器といえば、X線撮影(レントゲン)装置と超音波(エコー)検査装置が双璧です。

いずれも、東芝メディカル製。とくに故障も不満もなく、開院して8年間、ずっと使い続けています。

開院当初からのリース期間を終え、再リース、再々リースを経て、このたび買い取ることにしました。

買い取る前提としてのメーカーの点検整備を受け、買い取り契約を完了し、今後は、当院の所有物となります。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1538.html" target="_blank" title="先日も書いた">先日も書いた</a>ように、私は意外と、東芝ファンなのです。もちろん、Appleの次ですが。

ところがその東芝は今週、東芝メディカルを他社に売却する方針を表明しました。リストラの一環です。

テレビをはじめとする家電から手を引こうという東芝が、定評あるメディカル部門も切り捨てるとは。

東芝のヘルスケア事業といえば、エネルギーとストレージに続く「東芝<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-674.html" target="_blank" title="3本目の柱">3本目の柱</a>」のはずでした。

けっして業績は悪くないのに、東芝本体の財務状況改善のために、東芝メディカルは売られてしまうのです。

好調だからこそ、高く売れるうちに売ってしまえ、ということらしいです。

残る柱のひとつがエネルギー分野ですが、たとえば原発事業などは、どう考えても逆風に晒されています。

ストレージ事業だって、新興国との競争が続きます。10年後にどうなるか、わかったものではありません。

「サザエさん」のスポンサーは続けるらしいですが、原発とメモリーの東芝って、お茶の間に合いますかね。

門前薬局は安い

「門前薬局は他の薬局よりも薬代が安い」 今朝のテレビ番組で、そのようなことを話していました。

「門前薬局」とは、医療機関のすぐ隣近所にあって、その医療機関の処方箋をおもに扱う薬局です。

薬が安い理由を番組では、「値引きしているから」と解説していましたが、とんでもない誤解、大間違いです。

保険調剤に、値引きなどあり得ません。門前薬局での料金を安く設定したのは、国です。

門前薬局が儲からないようにするために、国がその薬局の調剤報酬(調剤基本料)を減額しているのです。

その結果、患者が窓口で支払う薬代も、安くなるわけです。

特定の医療機関からの処方箋の割合が、70%あるいは90%以上あると、調剤基本料が下がる規定があります。

その詳細は、とても複雑なので割愛しますが、門前薬局に対する、一種のペナルティーのようなものです。

国の狙いは、複数の病院から処方された薬を、患者が1つの「かかりつけ薬局」で受け取るようにすること。

そのためのインセンティブとして、門前薬局以外の薬局が儲かるように、点数に差を付けているのです。

ところが、薬局が儲かるということは、その分、患者が余計な負担を強いられるということになります。

少しでも薬代を安くしたい患者から見れば、このような国のインセンティブは、明らかに逆効果です。

結果的に、国が推進する「かかりつけ薬局」よりも、「門前薬局」の方が安くて患者に優しい薬局なのです。

リンゴ病流行中

「リンゴ病」は4,5年周期で流行しますが、今年は流行年です。当院にもほぼ毎日、1人か2人来院されます。

正式には「伝染性紅斑」という名前の感染症で、おもな症状は、頬や四肢の網状紅斑(まだらな赤み)です。

ほっぺたが真っ赤になるので「リンゴ病」ですが、四肢はおろか、腹部や臀部まで紅斑が出ることもあります。

病原体は「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスで、風邪のように飛沫・接触感染します。

リンゴ病のお子さんは、たいてい元気なので、お母さんの心配は「いつから登園できますか」ということです。

これに対して「発疹が出た時点で、もう感染力はありません。元気なら、すぐ登園できますよ」と答えます。

B19に感染すると、まず風邪のような症状が出ます。この時は感染力がありますが風邪と区別がつきません。

やがてウイルスが減り、ほとんど感染力が失われた後に、皮膚症状(まず頬の発疹から)が出るのです。

B19感染がとくに問題となるのは、妊婦さんの感染。胎児の造血機能を障害し、強い貧血を起こします。

前回2011年の流行では、69例の胎児感染が確認されており、うち49人が流産・死産したそうです。

妊婦さんのいる家庭では、上のお子さんがリンゴ病を発症することも多く、胎児感染の心配はつねにあります。

ところがリンゴ病の感染力があるのは、発疹が出る前なので、実際に感染を防ぐのは、ほぼ不可能。

こういう感染症こそ、早くワクチンを開発してもらいたいものですが、まだ完成していません。

となると、B19の抗体を持たない女性は、妊娠していないうちに、リンゴ病に罹っておくしかないのかも。

1票の格差是正問題

衆院定数の「1票の格差」是正問題は、8増18減によって1.621倍に縮小されるとのこと。

熊本選挙区も比例代表九州ブロックも、それぞれ定数が減ります。やむを得ないですね。

いや、そうなのでしょうか。議員定数を人口に比例させることって、本当に正しいことなのでしょうか。

たとえば、アジア各国の代表が集まり、アジア地域の問題を議論して多数決を採るとします。

議決権はふつう、各国が均しく1票ですが、もしも人口に比例した票数にするとなると、中国の一人勝ちです。

アジア地域に住む人間はみな平等なのだから、議決権は人口に比例させるべきだというなら、そうなります。

実際には、そうではありません。国の規模に関係なく各国は対等の関係にあり、1国1票です。

同様に、もしも都道府県が対等の関係なら、国会議員定数も、各都道府県に均等に割り振られるべきです。

逆に、都道府県という単位が国政には何も影響しないのなら、国会議員定数は人口に比例してしかるべきです。

「1票の格差」を是正することは後者の考え方ですが、私は両者の中間ぐらいが良さそうに思えてなりません。

各都道府県に、まず1議席ずつ配分する「一人別枠方式」なんて、生ぬるいことするから問題が出るのです。

いっそ定数の半分を各都道府県に均一に割り振って、残りの半数は全部比例代表にする、なんてどうでしょう。

人口の少ない地域の発言力が強まり、地方の活性化と首都機能の分散に貢献します。面白そうじゃないですか。