「飲み放題」に聞こえたので、テレビに目をやったら、「ど見放題」でした。ジェイコムのCMのようです。
「ど根性・どストライク・ど見放題、ど素人・ど下手・ど見放題」のように、韻を踏んでいます。
「どシンプル・ど天然・ど見放題、ど遅刻・ど忘れ・ど見放題」のバージョンも、あるようです。
この「ど見放題」に限らず、最近「どM」だの「どS」だのと、品の無い言葉が氾濫しています。
「ど○○」などという言葉は、私が子どもの頃は「ど真ん中」か「ど根性」か「ど近眼」ぐらいのものでした。
あらためて辞書(日国)を引くと、接頭語としての「ど」の意味は2つ。
(1)ののしる意味を込める。近世以来の上方の俗語で、現在も関西方面を主として用いられている。
(2)まさにそれに相当する意であることを強調する俗語。
たとえ(2)の場合でも、どちらかと言えばネガティブな言葉が多いのは、(1)の意味があるからでしょう。
強調の「ど」に似たものに、ずば抜けた規模を表す「超ド級(超弩級)」という言葉があります。
「ドレッドノート級戦艦(ド級戦艦)」を越える規模の戦艦を、「超ド級戦艦」と呼んだのが由来ですね。
その軍事用語が一般化したのは、「超ド級」の「ド」に、強調の「ど」を感じるからではないでしょうか。
もはやいま使われている「超ド級」は、「ドレッドノート」の「ド」ではなく、「ど迫力」の「ど」なのです。
しかし強調表現というのは、徐々に陳腐化するもの。
やがて、「超ど真ん中」のように、二重に強調する接頭語「超ど」も、一般的になりそうです。