厚労省が「がん対策加速化プラン」をまとめました。その柱は「予防」「治療・研究」「共生」の3つ。
進行がんの「予防」という意味では、早期発見が重要ですが、「がん検診」の受診率が低いことが問題です。
たとえば乳がん検診の受診率は、欧米では70〜80%以上なのに、日本ではまだ40%だそうです。
胃がんも、肺がんも、大腸がんも、子宮がん(子宮頸がん)も、検診率が50%を越えるものはありません。
治療や研究では世界最高の医学水準を誇る日本ですが、予防(検診)ではまだ、後進国なのです。
内閣府の調査によると、がん検診率が低い理由は、主なものから順に、
(1)受診する時間がない(勤務時間が長い、夜間・休日に検診がない)
(2)費用がかかる
(3)がんであるとわかるのが怖い
(4)健康に自信がある
(5)いつでも医療機関を受診できる
(6)検査に伴う苦痛が不安
などだそうです。健康のために、積極的に時間やお金を使うという発想が、日本人には乏しいのでしょうか。
女性の受診率が全般に男性よりも低いことを考えると、(1)や(2)が主因ではないかもしれません。
一般外科で研修していた頃、極度に進行したがんの患者さんを、何人も見かけました。
受診が遅くなった理由は、ほとんどが(3)でした。これこそ、日本人的情緒なのかもしれません。
誰だって、進行がんという告知は受けたくありません。許容できるのは、早期がん。だからこそ検診なのです。