ワクチンの製造と販売

「インフルエンザのワクチンは、国産ですか?」と尋ねられました。「そうです。全部、国産です」と私。

例外は、数年前の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-19.html" target="_blank" title="新型">新型</a>」のとき。しかしその際も、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-46.html" target="_blank" title="輸入ワクチン">輸入ワクチン</a>はほとんど市場には出回りませんでした。

インフルエンザワクチンを製造している、国内メーカーは、以下の4社です。

(1)化学及血清療法研究所:地元企業です、通称「化血研」

(2)北里第一三共ワクチン:北里研究所と第一三共が共同出資して4年前に設立

(3)阪大微生物病研究所:通称「ビケン」

(4)デンカ生研:東芝の子会社として設立、のちに電気化学工業に譲渡された変わり種

4社が製造したワクチンは、販売会社を介して薬品卸へと供給され、そこから医療機関に納入される流れです。

その、メーカーと販売会社の関係は、けっこう複雑です。インフルエンザワクチンの場合は、

(1)化血研 → アステラス製薬、武田薬品工業、第一三共

(2)北里第一三共 → 北里薬品、第一三共

(3)ビケン → 田辺三菱製薬、MSD

(4)デンカ生研 → アステラス製薬、武田薬品工業、デンカ生研

製薬業界1,2位の武田とアステラスは、自分ではインフルエンザワクチンは作らないけど、販売網を握る形。

その他のワクチンも含めて従来は、上記4社や武田薬品などの国内メーカーが、ワクチンを製造してきました。

ところが、この数年増えてきた、子どもの定期接種ワクチンでは、事情が異なります。

肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン、子宮頸がん予防ワクチン、ロタウイルスワクチン、すべて外資系です。

国内メーカーはただ、これらの外国製のワクチンを販売するだけなのです。

日本の科学技術なら、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-810.html" target="_blank" title="ワクチン開発">ワクチン開発</a>でも、きっと世界の最先端に立てるはず。なのに現状は異なります。

行政や多くの国民が、ワクチンに対して消極的(あるいは懐疑的)だからなのでしょうか。

その意味ではまだ、日本は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-626.html" target="_blank" title="ワクチン後進国">ワクチン後進国</a>から脱却できていないのかもしれません。

一億総活躍担当大臣

第3次安倍改造内閣が、発足しました。さて今回も、ツッコミどころ満載です。

まず「一億総活躍担当大臣」。これは「生活の党と山本太郎となかまたち」を聞いたとき以来の衝撃でした。

そのヘンテコリンな大臣名を聞いて、もう、日本中が「一億総脱力」ですよ。

ていうか、日本の人口は1億2千万人以上いるんだから、「一億」じゃあ足りないのでは?

それとも、乳幼児とか実際にはあまり活躍できそうにない人を差し引いたら、ちょうど1億人なのか。

真面目に少子化対策しないと、そのうち1億切りますよ。

「活躍」も何を意味するのやら。仕事や家庭や地域活動や、スポーツや芸術や趣味での活躍のこと?

私の診療も、ブログ執筆も、BBQ活動も、一億総活躍担当大臣の管轄に入るのかもしれません。

民主党の岡田代表は、「全ての人に居場所と出番を」という民主党スローガンのパクリだと、批判しています。

でも、良いスローガンだからこそパクられたんじゃないですか。批判したら、墓穴を掘ることになりますよ。

なんといっても最大のツッコミどころは、組閣後の記念撮影での、石破茂氏のヨレヨレのズボンでしょう。

「一億相」の創設によって閑職に追いやられた「地方創生担当相」の、ふてくされた姿に見えます。

蕎麦屋巡り

蕎麦を久しく食べてないことに思い至り、休診日の今日は、蕎麦屋巡りをすることにしました。

巡りというからには、何軒か「ハシゴ」しなければなりません。もちろん中心市街ではなく、周辺山間部です。

熊本近郊で蕎麦といえば、黒川温泉の近くにある、南小国そば街道でしょうか。まずはそこから。

数軒あるうちの、有名な「吾亦紅(われもこう)」に、昼ごろ入店。民芸調の、雰囲気の良い店です。

「吾亦紅セット」をざるそばで注文。噛み応えがあり旨い。デザートの「葛きり」で満腹になりました。

そば街道で何軒かハシゴするだけでも十分なのですが、それでは芸がありません。おまけにお腹もすいてない。

時間稼ぎも兼ねて、次は、阿蘇を中心として南小国とは正反対に位置する、南阿蘇に向かいます。

噴煙は東に漂っていたので、西側のルート(赤水経由)で南下しました。

南阿蘇は「久木野庵」という店を選びました。十割蕎麦は売り切れていたので、二八の「せいろ蕎麦」を注文。

ちなみに「十割」に疑問の余地はありませんが、「二八蕎麦」の由来には、諸説あります。

(1)蕎麦粉と小麦粉の配分説:「八二」じゃないのか、「二八うどん」はどう説明するのか、等の問題あり。

(2)十六文という価格説:2x8=16というシャレ。もっと安い価格の頃から二八蕎麦が存在する点が矛盾。

元々の由来はともかく、いまは(1)の意味で使っていますが、私は(2)の遊び心が好きです。

久木野庵の二八蕎麦は「外二仕立」でした。蕎麦粉10:小麦粉2の意味ですね。厳密には二八じゃありません。

この店では「蕎麦がきぜんざい」をデザートに選択。甘さ控えめですが、蕎麦がきがズッシリきました。

超満腹になったので、今日の蕎麦屋巡りはこれで終わりです。ハシゴは2段止まり。

蜂の音

「ドローン(drone)」の意味を調べてみると(なぜ今ごろ調べるのかはともかく)、色々ありますね。

(1)雄(オス)ミツバチ、(2)無人飛行物体、(3)怠け者、(4)退屈な人、

(5)単調な仕事であくせく働く人、(6)型どおりのやり方で仕事する人、

(7)持続低音、(8)ブンブンいう音、(9)単調な話し方の人、(以上、名詞のみ)

サラリーマンのことを「働きバチ」なんて言ったりもします。それって(5)(6)の意味なのでしょうか。

でも、ミツバチの働きバチは全部メスだそうですね。となると、オスミツバチは(3)(4)ですか。

それはともかく、最近の話題は(2)の意味です。恥ずかしながら私は、まだ現物を見たことがありません。

プロペラ音が蜂の翔ぶ羽音に似ているから「ドローン」と呼ばれることなら、私も知っています。

しかしその蜂の羽音も、最近あまり聞きませんね。耳元で聞きたくもありませんが。

「当て字・当て読み 漢字表現辞典」を眺めてたら、「蜂音」と書いて「ぶ」と読むことを知りました。

せめて「ブーン」にしてほしいところですが、これが万葉集に使われているとなると、話は変わります。

調べてみると、とても有名な万葉仮名のようです。これは無学を恥じねばなりません。

万葉集の、ある歌の一節に「馬聲蜂音石花蜘蟵荒鹿」とあり、「いぶせくもあるか」と読むそうです。

「いぶせし」という形容詞は、息が詰まるさまを表すので、「息が詰まりそうだ」ぐらいの意味らしいです。

「ぶ」という音を書き表すのに「蜂音」という字を当てるとは、奈良時代の人も面白いことをします。

「いぶせ」のために「馬聲蜂音石花」と書く、そのコスパの悪さは気にしないようです。

インフルいつ打つか

いまでしょう、インフルエンザワクチンを接種すべきなのは。

その理由を含めて、インフルエンザワクチンの効果を最大限に発揮させる方法を、ご説明します。

1回接種よりも2回接種の方が、当然、有効性は高いです。なのでここでは、2回接種を前提に話を進めます。

2回接種の場合、1回目と2回目の間隔は、4週間以上あけた方がより強い免疫が付きます。6週間でもOK。

米国では、1カ月以上の間隔をあける規定になっているぐらいです。

ワクチンの予防効果は、2回目の接種の2週間後ごろから、約5カ月間続くと考えられています。

さて、インフルエンザの流行期は、例年12月から3月ごろです。

12月初めまでに予防効果を得るためには、11月半ばまでに2回目の接種をする必要があります。

となると、1回目は10月前半に接種しなければ間に合いません。それが、今なのです。

ワクチンの効果は5カ月間続くので、2回目が11月であれば、4月までカバーできる計算です。

以上より、私が推奨する接種時期は、1回目が10月前半、2回目がその4週間後、ということになります。

もともとインフルエンザワクチンは、それほど有効性の高いワクチンではありません。

だからこそ、どうせ接種するのなら、その効果を最大限に生かせるタイミングで打つべきなのです。

それが、いまでしょう。

大村智先生、ノーベル賞

ノーベル医学生理学賞が、北里大学特別栄誉教授の大村智先生に贈られることが決まりました。

オンコセルカ症に有効なイベルメクチンを開発し、途上国の多くの人々の失明を防いだ功績などに対してです。

わが愛犬も、かつてフィラリア予防で、お世話になった薬です。

大村先生の人柄や経歴はとても興味深く、ノーベル賞受賞までの道のりは、小説や映画にもなりそうですね。

先生は、山梨県の韮崎出身。韮崎といえば、かつては日本住血吸虫症の流行地域でした。

中間宿主が判明して対策が講じられ、やっと患者が減り始めたのが、ちょうど大村先生の幼少期に一致します。

周囲にはまだ罹患者が多く、大村先生はそのような重病を患った人を、何人も目にしていたかもしれません。

日本では、すでに撲滅した日本住血吸虫症ですが、アジア諸国ではまだ、毎年数万人が罹患しています。

この寄生虫病については、Wikipediaが物語調の記事を掲載していて、なかなか読み応えがあります。

大村先生が、別の寄生虫病治療薬を開発したのは、もしかすると、韮崎での体験が関係しているのでしょうか。

そのことの究明も兼ねて「大村智–2億人を病魔から守った化学者」(中央公論新社)を買うことにしました。

が、今朝いちばんに紀伊國屋書店に電話したら、すでに「品切れ」。遅かった。Amazonでも2週間待ち。

入手を諦めていましたが、やっぱり買おうと午後にAmazon見たら、今度は「入荷時期未定」。しまった。

こうなったら、出版社(中央公論新社)から直接購入しようと、サイトを見たら「増刷待ち」。後手後手です。

iPhone不具合あれこれ

私のiPhone 6s Plusは、少なくとも今のところ、快調です。キビキビ動いています。写真も綺麗に撮れます。

しかし、一部の機種では不具合が生じていると、ネット上で報じられています。

やたら熱くなる、電源が突然落ちる、音量が変動する、3D Touchの動作不良、の4つがおもなものです。

いったいどのぐらいの頻度で、不具合が起きているのでしょうね。特定Lotだけの問題なのでしょうか。

そんなことが気になっていたら今度は、iPhoneのOSである、「iOS」の不具合が報じられました。

iPhoneのハッキングにもつながる、iOSのセキュリティー上の脆弱性ですが、これがなかなか、興味深い。

「iOS 9.0.1」では、以下の操作によって、ロック解除を迂回して端末にアクセスできるとされています。

(1)ロック画面で、間違ったパスコードを5回入力し、

(2)5回目のパスコード入力中の特定のタイミングで、「Siri」を音声起動し、

(3)「Siri」に現在時刻を尋ねる

このような操作によって、iPhoneが乗っ取られてしまうとのこと。これはたしかに問題です。

問題ですがそれ以前に、誰ですか、このようなハッキング法を発見した人は。まずそれに驚きます。

今朝あわてて「iOS 9.0.2」へのアップグレードを試みたのですが、うまくいきませんでした。

リリース直後の最新バージョンではよくあることですが、それともすでに、ハッキングされているのか。

「ひまわり会」で検索

当ブログは「ひまわり通信」という名称です。

ブログ自体は2008年の6月に開始しましたが、「ひまわり通信」になったのは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-187.html" target="_blank" title="2012年の4月">2012年の4月</a>からです。

2012年から、当院が「医療法人ひまわり会 つるはらクリニック」になったので、ブログ名も刷新したのです。

ところがあとで「ひまわり通信」でググってみたら、あるわあるわ、世の中「ひまわり通信」だらけ。

いやそれ以前に「ひまわり会」なる組織が、たくさんあるのに驚きます。「ひまわり会」で検索すると、

(1)女性の尿失禁・骨盤臓器脱 元患者の会

(2)「らくらく毛管運動」や「正心調息法」などの健康法を広めようとしている組織(よくわかりません)

(3)福岡県内で、特別養護老人ホームなどを運営している社会福祉法人

(4)宮崎県内で、特別養護老人ホームなどを運営している社会福祉法人

(5)岡山県内で、知的障害者支援施設などを運営している社会福祉法人

(6)滋賀県内で、保育園を運営している社会福祉法人

(7)千葉県内で運営されている、不登校・引きこもりを考える親と市民の会

(8)日本人渡米者の相互援助(教育・社交・募金等)をおこなっている非営利団体

(9)大阪千代田短期大学同窓会

(10)福岡を拠点に、青少年の健全育成活動をおこなっている、ボランティア団体

(以下略)

まあ多い。社会福祉法人が無数に存在しますが、医療法人も多い。ひまわりのイメージがいいのでしょうか。

悲しいことに、Google検索の結果を、何ページ見ても何ページ見ても、ちっとも当院が出てきません。

1ページ10件で50ページほどめくり続けたところで、ついに、Googleからの警告が出ました。

「お使いのコンピュータネットワークから通常と異なるトラフィックが検出されました」と。

どうやら私は、不正な検索ロボットと疑われたようです。Googleも、いろんなことチェックしてるんですね。

難民受け入れ問題

国連演説後の記者会見で安倍首相は、難民受け入れに消極的な発言をして、海外メディアにたたかれています。

「日本はシリア難民への経済支援を表明したが、難民を受け入れる可能性はあるか」と聞かれた安倍首相は、

(1)難民問題は、まさに国際社会で連携して取り組まなければならない

(2)人口問題としてなら、日本は移民を受け入れる前に、女性・高齢者・出生率などでやるべきことがある

(3)難民の問題においては、日本は日本としての責任を果たしていく

と答えました。つまりこういうことです。

記者「シリア難民を受け入れないのか」

首相「大丈夫、人口は自前で工夫して増やすから」

トンチ問答じゃありません。首相は、難民を受け入れたくないとはっきり言えずに、はぐらかしているのです。

「難民は受け入れないが金は出す」というのは、いかにも日本らしい、海外から嫌われかねない態度です。

今後ずっと、そのような姿勢を貫くのは難しいかもしれません。これは日本人全体が考えるべき問題です。

ハイタタキ

NHKは定期的に、有識者を交えて「放送用語委員会」なるものを開催し、「用語の決定」をします。

6月の委員会における、放送表記と読みの決定事項が、昨日、NHKのサイトに公開されていました。例えば、

【十把一からげ】 「ジッパヒトカラゲ」を推奨、「ジュッパヒトカラゲ」も許容

これまでは、両者には優先順位は付いてなかったのに、今回から「ジッパヒトカラゲ」が優先です。

同様に、【十中八九】は「ジッチューハック」が推奨されています。伝統的読みを優先させる方針とのこと。

【蠅】 「ハエ」のみ(「ハイ」は認めない)

これまでは「ハイ」も認められていたことに、逆に驚きます。東京下町では「ハイ」と言う人が多いとか。

さらに驚くのは【蠅叩き】。今回から「ハエタタキ」推奨ですが、従来は「ハイタタキ」限定だったようです。

「ゆれ」のある言葉は、必ずしもすべてを許容せず、伝統や語源も考慮するのがNHKの姿勢のようです。

しかし次のように、実情をようやく反映してくれた決定もありました。

【腹腔】 「フククー」を推奨、「フックー」も許容、「フクコー」は使わない(医学用語以外でのみ使う)

これまでは「フクコー」だけが認められていたので、【<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1323.html" target="_blank" title="腹腔鏡">腹腔鏡</a>】の「フククーキョー」と食い違っていました。

今後は「フククー」も「フックー」も「フククーキョー」も「フックーキョー」も堂々と使うことができます。

少なくとも、「フクコーキョー」というオカシな読みは、もうなくなるはずです。