科学の進歩30年

1985年(昭和60年)に医学部を卒業して医師免許を取得したので、私が医者になってちょうど30年です。

この30年の間に医学は進歩し、病気の原因が次々に解明され、さまざまな検査法や治療法が開発されました。

研修医のとき、最初に受け持った患者さんは、肝内胆管がんの50代の女性でしたが、亡くなられました。

女優の川島なお美さんが患っていたのと同じ病気です。30年を経てもなお、治療の難しい疾患です。

映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」が封切られたのも、1985年。評判だったので、観に行きました。

第1作は、30年前にタイムスリップする話でしたが、Part 2では、30年後の未来の世界が舞台でした。

その未来の日がちょうど、2015年10月21日、つまり今日だというので、ネットなどで盛り上がっています。

この際、時差のことは言いますまい。ともかく、あの映画で描かれた未来に、我々はついに到達したわけです。

WOWOWが昨日から、3夜連続で「バック・トゥー・ザ・フューチャー」シリーズを放送しています。

この映画が、2015年という未来をどのように予測したのか、今夜放送されたPart 2で確認してみると・・・

映画の中では、車が自由に空を飛んでいます。これはさすがに、まだ無理でしたね。

ひどく違和感があったのは、街ゆく人々が誰一人として、携帯端末を手にしていないことです。

歩きスマホはおろか、立ち止まって電話したり、イヤホンで何か聴きながら歩く者もいません。

事故現場に人垣ができたシーンでも、誰も写メしたりしません。皆はただ、現場を眺めているだけ。

誰もが一日中、多機能携帯端末を持ち歩く未来など、80年代には予測もできなかったようです。

無洗米はどうなのか

わが家でもときどき「無洗米」の袋を見かけます。手抜きかと思ったら、必ずしもそうとは言えないようです。

「無洗米」という言葉については、あちこちで語り尽くされたネタですが、まずはそこから。

炊飯前に「洗う必要の無い米」が無洗米。そのツッコミどころは重層的です。

(1)「無洗米」=「洗っていない米」という意味にとれるんじゃないの、という日本語としての問題

(2)そもそも米は、「洗う」のではなく「研ぐ」ものだ

無洗米の英訳には、 “pre-washed rice” や “no-wash rice” が見つかります。これじゃ外国人も困りそう。

「無洗米」がしっくりこないのなら「既洗米」にすればいい、という意見もありますが、

(3)無洗米製造では、精白米表面の肌ヌカを特殊な方法で剥ぎ取る方法が主流で、米を洗ってはいない

だいたい、炊飯前に米を研ぐ「儀式」こそ、日本の伝統ではないのか、とお怒りの方もいるかもしれませんが、

(4)無洗米工場で除去したヌカは肥料や飼料に使えるが、家庭から出る研ぎ汁は環境汚染につながる

なるほど、無洗米は必ずしも手抜きではなく、環境に優しいようです。これは一考の余地があります。

私が思いついた名称は「無糠米(むこうまい)」。これ、いいでしょう。肌ヌカを完全に除去したという意味。

あるいは、「精白米」をさらに白くしたという意味で「純白米」。

象印などから「家庭用無洗米精米器」が出ています。玄米でも精白米でも、精米して無洗米にできるそうです。

炊飯の直前に精米できるし、研ぎ汁も出ないというのは、とても良いですね(すでに欲しくなっている)。

インドアビュー

毎日の通勤経路はおおむね決まっていますが、常に、新たなルートを開拓しようと考えながら走っています。

とくに自転車では、知らない路地に入り込み、意外な場所に抜け出たりでもすると、これは楽しい新発見です。

あるいは袋小路にはまり込み、結局元の道に戻る羽目になったとしても、それもまた、発見なのです。

走行経路はiPhoneのアプリに記録されるので、あとでそれを見ながら、Googleマップで確認作業を行います。

とくにストリートビューが便利ですね。「そうそう、ここ走ったな」なんて思い出しやすい。

ストリートビューって、こんなとこまで撮影したの?、と思うほど細い道まで入り込んでいて、驚きます。

おまけに最近は「インドアビュー」というのまでありますね。建物の内部まで入り込めるヤツです。

大規模な建物だけではなく、小規模な民間施設も、インドアビューで内部を見られるようになりつつあります。

最近、ついに当院にも、「インドアビューの撮影をさせてもらえませんか」と、Googleから提案が来ました。

どうせ、バカ高い掲載料のようなものを取るんだろうと思いながらも、いちおう話を聞いてみました。

来院されたのは、Googleではなく、「認定パートナー」と称する業者の方でした。

院内を、一定の間隔で数カ所、360度撮影し、インドアビューでぐるっと見られるようになるとのこと。

話はとても面白かったし、料金も許容範囲だったのですが、掲載はお断りしました。

Googleマップからの延長で、そのまま建物の内部まで見られたとしても、それはただ興味本位の見方です。

飲食店などなら、インドアビューで印象が良かった店に、一度は行ってみようと思うかもしれません。

しかし医療機関は、そのような見た目だけで選ぶとは、とても思えません。

そんなことに広告料をかけるより、まず、クリニックのHPを充実させようと、あらためて思ったのでした。

過ちは好む所にあり

「ホリエモン密着1680時間」という番組をやってました。

まっ先に、「1680時間って何日に相当するのか」というところが気になりますよね。なりませんか?

それほど暗算が得意でもないので、頭の中でしばらくこねくり回して、1680時間=70日と出ました。

番組は、大方の予想を裏切って、ホリエモンがアイアンマンレースを完走するという結末。

そこまではまあ、どうでもいいのですが、最後に何か教訓をと問われたホリエモンが、こう言いました。

「過ちは好む所にあり」(失敗は、得意なことを行っているときにこそ起こりやすい)

レースの準備では、苦手な水泳ばかり練習して、得意の自転車を見くびっていた、ということなのでしょう。

よく考えてみれば、ホリエモン自身の過去にも当てはめることができる、人生訓かもしれません。

このことわざを聞いて思い出したのは、「徒然草」の中の『高名の木登り』の段です。

木登りの名人が、高い木から下の方まで降りてきた部下に対して、

「ケガするなよ、気をつけろよ」と声をかけていたので、

「いま頃になって、なに言ってんの」とツッコんでみたら、

「ケガは必ず、安全な所になってから、するものです」と答えたという、徒然草の中でも私の好きな話です。

学生時代に、海辺のドライブから帰って来て、自宅の駐車場の塀で車をこすったことを思い出します。

秋刀魚は七輪に限る?

帰宅して玄関のドアを開けた私を、今晩出迎えてくれたのはサンマの香りでした。サンマが旬です。

夕食には、皮が少し焦げたぐらいの、アツアツのサンマを、できれば2匹ほどいただきたいものです。

私は醤油はかけません。何もかけず、そのまま食べるのがいちばん美味い。

専用の細長い皿に、骨格標本を残すかのごとくに、綺麗に食べ上げるのが流儀でしょう。

漱石の「猫」には「三馬」という当て字が登場します。「秋刀魚」が考案されたのは、明治後期とのこと。

このように複数の漢字からなる「熟字」を訓読みしたものは、「熟字訓」と呼ばれます。

「秋=サ、刀=ン、魚=マ」ではなく、「秋刀魚」の3文字の塊で「さんま」なのです。

当て字と言えば当て字ですが、音読みの「三馬」よりも、訓読みの「秋刀魚」の方が、味があります。

いやいや、そんな話を書きたいのではなく、問題はサンマの焼き方です。

IHクッキングヒーターには、いろいろ不利な点がありますが、サンマもフライパンで焼く羽目になります。

オール電化って、調理のバリエーションを減らし、その結果、味覚にも妥協を強いるものなのです。

それではいけません。せっかくBBQ用品を完備しているのなら、サンマは七輪で炭火焼きでしょう。

そこで予習。炭火は着火してから少し置き、灰被りの状態になってから、遠火の強火で焼けと。ふむふむ。

網で焼くとくっつきやすいので、串焼きにしろと。なるほど。早速、魚用の金串をネットで購入しました。

物品の準備だけは、いつも完璧です。決行は3日後。(つづく)

軽減税率の連立方程式

軽減税率についての議論は、いったい深まりつつあるのか、混乱しているのか。

自民党と公明党、政府と財務省など、あちこちが絡み合っている中で、麻生財務相が時々、混ぜっ返します。

先月は、マイナンバーを使って増税分を還付する、財務省案をぶち上げた挙げ句、

「カードを持ちたくなければ持って行かないでいい。その代わり、その分の減税はないだけだ」

などと語ってブーイングを浴びたり、先日は、

「財務省は(軽減税率は)反対ですよ、本当は(中略)面倒くせえって、みんな言っている」

と、今さらそれ言いますか、とツッコミたくなる発言も飛び出しています。

麻生氏の口も、ますます曲がってきています。財務省の本音に加えて、首相官邸主導への不満もあるようです。

しかし、軽減税率が面倒臭いというのは、誰もが思うところでもあります。

店舗での支払いがややこしくなりそうだし、対象品目の線引きには、利権も絡んでこじれるでしょう。

そもそも、食料品を軽減税率の対象とすることが、はたして格差是正方向に働くのかどうか。

さまざまな要素を勘案しつつ、落としどころを探るわけですが、必ずあちこちに不満は残るでしょうね。

これを昨日の読売は、「バランスをとりながら、連立方程式を解くことになる」と表現していました。

「連立方程式」は言い得て妙です。ただ私は、軽減税率を導入しないという「解」もあると思うのですが。

杭、改めよ

横浜のマンションが傾いている問題は、旭化成の子会社、旭化成建材の不正行為が原因でした。

地盤に杭を打ち込む工事で、杭が強固な支持層に到達したように見せるために、データを改ざんしたようです。

インクの不具合等のためにデータの記録に失敗し別のデータを転用した、などと言い訳していますが、苦しい。

今後、マンションをどのように補強・修復するのでしょう。建て替えなしに、それが可能なんでしょうか。

昨年も横浜では、杭の施工不良が原因でマンションが傾いた事例がありました。

横浜じゃ今、乱れた杭で揺れているようです(中村雅俊風)。

昨年の一件は、熊谷組と下請けの確認・経験不足が原因だったので、今回の旭化成の方がずっと悪質です。

日本の一流建設会社がこのような不正をするようでは、もう、近隣他国の手抜き工事を笑えませんね。

旭化成といえば、さきの鬼怒川氾濫の激流に耐え抜いた、あのヘーベルハウスの会社です。

あの白い家がびくともしなかったからこそ、その下流にいた「電柱おじさん」も助かったのです。

そのヘーベルハウスは、地盤に18本の杭が打ち込まれた設計だと報じられ、日本中が感心したものです。

「旭化成は杭がすごいらしい」という情報が、当時ネットに溢れ、旭化成の株も上がりました。

ところが今回、旭化成系列の会社が、いいかげんな杭打ちをしたために、旭化成の評判も株価も激下がりです。

悔い(杭)が残ります。

マイナンバー漏洩

マイナンバーを記載した住民票を、うっかり自動交付機で発行してしまったミスが、昨日報じられました。

受け取った人は、そこにマイナンバーが記載されているとは知らずに、それを公共機関等に提出したようです。

公共機関に限れば、もともとマイナンバーを取り扱う組織なので、さほど問題にはならないかもしれません。

しかし勤務先に住民票を提出したケースもあるようで、これは下手をすると、マイナンバー漏洩事案です。

とは言え、マイナンバー制度が稼働したら、従業員は勤務先にマイナンバーを提示する必要が出てきます。

来年からは、雇用保険の資格申請書類等に、さっそくマイナンバーを記入しなければなりません。

再来年からは、社会保険の届出書類等にも、従業員本人と被扶養者のナンバーの記入が必要になりそうです。

事業所は、このような公的書類を作成するために、その都度、従業員にマイナンバーを尋ねることになります。

ナンバーを聞いて、書類を作成したあと、雇用主は、その番号を忘れなければなりません。

あとでそれがどこからか漏洩した場合に、番号を知っている人間に、その嫌疑がかけられてしまうからです。

間違っても、個人ナンバーカードを預かったり、ナンバーを記載したメモを受け取ってはなりません。

できることなら、ナンバー欄だけ従業員本人が記入して、プライバシー保護シールでも貼ってもらいたい。

しかし従業員のマイナンバーを見て、しかも覚えてしまったら、いったいどうやって忘れたらよいのでしょう。

私は、大事なことはよく忘れるのに、昔の思い出や忘れるべきことは、むしろ強く記憶に残るタチなのです。

ま、そんなことも言いたくなるほど、ナンバー漏洩への不安ばかりが高まっているようです。

化血研出荷停止問題

インフルエンザワクチンの製造メーカーは4つあると、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1468.html" target="_blank" title="先日">先日</a>書きました。

そのひとつである「化血研」からのワクチン供給が、今シーズンはまだ、ストップしたままです。

例年なら、9月末までには医療機関に届くところですが、10月中旬のいまも、納入のめどが立っていません。

問題の発端は、日赤から供給を受けた献血由来の血漿を元に、化血研が製造販売している「血液製剤」です。

それが厚労省から承認された方法とは異なる製造工程であったことが判明し、出荷停止となりました。

これには、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-447.html" target="_blank" title="血友病">血友病</a>治療に用いられる血液凝固因子製剤などが含まれます。

「代替品がないか、代替品に切り替えると患者の生命に影響を及ぼす」とされる、重要な薬もあります。

そのような製剤は、安全性を確認しつつ在庫の出荷ができるように、特別な配慮がなされています。

この問題の影響で化血研は、インフルエンザワクチンも、製造工程を確認するために出荷を停止しています。

インフルエンザワクチンは、他社も製造しており、化血研の出荷停止で危機的状況に陥るわけではありません。

しかし化血研は、4社で3千万本製造するうちの、850万本を担う予定でした。その影響は小さくありません。

しかも接種には「旬」というものがあります。出荷停止が長引けば、接種のタイミングをのがします。

さいわい当院は、化血研以外のメーカーのワクチンを準備していたので、今回の被害には遭いませんでした。

しかし過去には、インフルエンザワクチンの納期が数日遅れて、9月末にバタバタしたことはあります。

インフルエンザワクチンは、流行する「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1338.html" target="_blank" title="株">株</a>」を予測して製造するので、流通するのは毎年ギリギリになります。

予約受付を開始する時点では、ワクチンの納期はまだ確定しておらず、医療機関は毎年ヒヤヒヤなのです。

ハッピーマンデー

「体育の日」は、かつて10月10日が定位置でしたが、「10月第2月曜日」に変わってもう15年たちます。

「成人の日」も同様に、長い間1月15日でしたが、2000年からは「1月第2月曜日」となりました。

「ハッピーマンデー制度」によって移動した祝日のうちでも、とくにこの2つには、いまも違和感を感じます。

国民の余暇に寄与するための<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-721.html" target="_blank" title="3連休">3連休</a>かもしれませんが、世の中の重要な<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-270.html" target="_blank" title="サービス">サービス</a>も、3連休してしまいます。

いつも言うことですが、例えば、お役所や銀行の主なサービスが止まります。そして医療。

土曜の夜中から子どもが高熱を出したりすると、とても困ります。

朝まで待てる状態であれば、日曜日の朝いちばんから、当番医や当院などを受診することになります。

高熱や喘息や腹痛や嘔吐など、いろんな症状を堪え忍んで翌朝を迎えた人たちがみな、怒濤の如く受診します。

日曜日に診察や処置や処方を受けたとしても、そのような病状が、すぐに治るわけではありません。

その翌日がハッピーマンデーであれば、また救急病院や当番医などを駆け回らなければならないのです。

親御さんにしてみれば、アンハッピーマンデーです。

そろそろ法律を改正して、ハッピーマンデーは解消し、祝日は元に戻してもらいたいものです。

だいたい、全国民に同じタイミングで一斉に3連休を取らせようっていう発想が、時代遅れでしょう。

私など、週に3日休むとすれば、月・水・金の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-48.html" target="_blank" title="飛び石">飛び石</a>ぐらいが、いちばん好きです。