蜂の音

「ドローン(drone)」の意味を調べてみると(なぜ今ごろ調べるのかはともかく)、色々ありますね。

(1)雄(オス)ミツバチ、(2)無人飛行物体、(3)怠け者、(4)退屈な人、

(5)単調な仕事であくせく働く人、(6)型どおりのやり方で仕事する人、

(7)持続低音、(8)ブンブンいう音、(9)単調な話し方の人、(以上、名詞のみ)

サラリーマンのことを「働きバチ」なんて言ったりもします。それって(5)(6)の意味なのでしょうか。

でも、ミツバチの働きバチは全部メスだそうですね。となると、オスミツバチは(3)(4)ですか。

それはともかく、最近の話題は(2)の意味です。恥ずかしながら私は、まだ現物を見たことがありません。

プロペラ音が蜂の翔ぶ羽音に似ているから「ドローン」と呼ばれることなら、私も知っています。

しかしその蜂の羽音も、最近あまり聞きませんね。耳元で聞きたくもありませんが。

「当て字・当て読み 漢字表現辞典」を眺めてたら、「蜂音」と書いて「ぶ」と読むことを知りました。

せめて「ブーン」にしてほしいところですが、これが万葉集に使われているとなると、話は変わります。

調べてみると、とても有名な万葉仮名のようです。これは無学を恥じねばなりません。

万葉集の、ある歌の一節に「馬聲蜂音石花蜘蟵荒鹿」とあり、「いぶせくもあるか」と読むそうです。

「いぶせし」という形容詞は、息が詰まるさまを表すので、「息が詰まりそうだ」ぐらいの意味らしいです。

「ぶ」という音を書き表すのに「蜂音」という字を当てるとは、奈良時代の人も面白いことをします。

「いぶせ」のために「馬聲蜂音石花」と書く、そのコスパの悪さは気にしないようです。